半身浴の効果は!? 女性が実践しがちな入浴法3つの「間違い」

11月26日は「いい風呂の日」です。寒さが日に日に増していくこの季節は、ぽかぽかのお風呂で体を温めたくなるもの。今年は、新型コロナウイルスの影響なのか、女性の入浴時間が長くなっているという調査結果も出ています。お風呂は美容や健康に良いとも言われますが、入り方によっては、むしろ体に良くないこともあるそうです。意外と知られていない「正しい入浴法」について、専門家に聞きました。

女性の2割が「湯船によりつかるようになった」

美容機器の製造・販売などを手掛ける「ヤーマン」(本社・東京)はこのほど、20~40歳代の女性300人を対象にアンケート調査を実施。コロナ禍以前と比べて湯船につかるようになったかどうかを尋ねたところ、21.0%が「よりつかるようになった」と答えました。入浴時間も、コロナ禍以前より平均して1か月で72.3分延びていることが分かりました。

また、「お風呂時間をより充実させたいと思いますか」との質問に対し、「そう思う」「ややそう思う」を合わせて59.7%が「充実させたいと思う」と回答。具体的には、お風呂にゆっくり入りながら動画や読書、音楽を楽しんだり、美容アイテムを使ったりしているといった声が寄せられました。

調査結果について、ヤーマンの担当者は「おうち時間が増えたことで、入浴を『特別な時間』と捉えて楽しんでいる人が多いのではないか」と分析しています。

「むくみ解消」「ターンオーバーの促進」…働く女性にうれしい効果

女性の中には、美容や健康への効果を期待して入浴する人も大勢います。「ただし、正しい入浴法でなければ、効果は得られないどころか、体への危険性が高まります」。そう強調するのは、東京都市大学教授で温泉療法専門医の早坂信哉さんです。

早坂さんによると、入浴には次の三つの作用があります。

〈1〉「温熱作用」……体が温まることによって血の巡りが良くなる。新陳代謝が高まり、体内の老廃物や疲労物質などが取り除かれる
〈2〉「静水圧作用」……体にかかる水圧がポンプの役割を果たすことで、手足にたまった血液やリンパの流れを良くし、むくみの解消につながる
〈3〉「浮力作用」……水中での体重が普段の10分の1ほどになるため、体を支える筋肉が休まり、リラックス効果が得られる

こうした作用によって、「肌のターンオーバーの促進」や「冷え性の改善」、「むくみの解消」など、女性にうれしい効果が期待できます。

意外と知らない、入浴法3つの「間違い」

ところが、美容や健康に良いと言われていながら、実は効果の乏しい入浴法があるといいます。

〈1〉まっさらな「一番風呂」に入る
まだ誰も入っていない「一番風呂」は気分が良いものです。ところが、肌が敏感な人には強い刺激になることも。日本の水道水は、ミネラル分が少なく、一定量の塩素が含まれているからです。先に誰かが湯船につかることで、その問題は解決されます。早坂さんによると、人の汗などがお湯に溶け出すことで、塩素が中和され、ミネラルの濃度も上がるそう。一人暮らしなどで必然的に「一番風呂」になってしまう人は、入浴剤やレモン果汁(小さじ1杯分)を入れると、お湯を肌に優しい状態に近づけられます。

〈2〉健康のためにじっくり半身浴をする
女性に人気の半身浴ですが、「お湯の量が半分になれば、三つの作用が低下するため、得られる効果も半分になると考えてください。効率の良い入浴法とは言えません」と早坂さん。長時間の入浴は、肌の水分を守る「セラミド」がお湯に溶け出し、肌の乾燥を招くおそれもあります。ただし、心臓や肺に疾患がある人は、半身浴の方が負担がかかりません。

〈3〉ダイエットのためにお風呂で汗をかく
入浴による発汗は「受け身の汗」とも言われるそう。運動でかく汗は、動いて脂肪を燃やした結果、体温が上がって出るもの。それに対し、入浴でかく汗は、お湯の熱のおかげで体温が上がって出るものです。汗の出る仕組みが違い、ダイエット効果はあまり得られないそうです。

このほか、熱めのお湯につかったり、入浴前に十分な水分を取らずに、入浴後だけ水分を取ったりすると、熱中症やヒートショックのリスクを高めます。

正しい入浴法5ステップ

早坂さんは、理想的な入浴法を「40℃で10分、全身浴」として、入浴時の五つのステップを提唱します。

〈1〉入浴前に水分補給する
〈2〉40℃のお湯に5分程度、しっかり肩までつかる
〈3〉体や髪の毛を洗って、再び5分ほどお湯につかる
〈4〉体をふいて10分以内にクリームなどで保湿する
〈5〉風呂上がりにも水分補給する

熱めの41℃のお湯に15分つかると、800ミリ・リットルもの汗が出るとの研究報告もあります。補給する水分は、ミネラル入りの麦茶がおすすめ。できれば、入浴中にも水分をこまめにとるのがいいそうです。体の洗いすぎにも要注意。ゴシゴシこすると、すっきりしたように感じますが、女性は30歳を過ぎると皮脂が減るため、必要な皮脂まで落としてしまいます。

「正しく入れば、お風呂には体にうれしい効果がたくさんあります。手抜きでOK。湯船につかって、体の内側からキレイになるのを楽しんでくださいね」と早坂さんはアドバイスしています。

(読売新聞メディア局 安藤光里)

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早坂信哉(はやさか・しんや)
温泉療法専門医

東京都市大学人間科学部教授、博士(医学)。一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長。1968年生まれ宮城県出身。93年に自治医科大学医学部卒業後、地域医療に従事。2002年に同大大学院医学研究科修了後、浜松医科大学医学部准教授、大東文化大学教授などを経て現職。20年間にわたり、3万人を調査し入浴・温泉の医学研究を行う。著書「最高の入浴法」「入浴検定公式テキスト」など。

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