小西真奈美「音楽づくりは財産」コロナ禍の現在とこれから

女優としてテレビドラマや映画、舞台などで活躍を続けながら、4年前に本格的に始めた音楽活動にも力を注ぐ小西真奈美さん。11月25日には、2枚目となるアルバム「Cure」(ユニバーサルミュージック)をリリースします。自身も作詞・作曲を手掛けた新譜の制作エピソードや理想のライフスタイルについて、話を聞きました。

Cure】「等身大の大人のポップ・アルバム」をテーマに、亀田誠治、後藤正文、堀込高樹 、Kan Sanoの人気プロデューサー4人がそれぞれオリジナル曲とカバー曲を1曲ずつ手掛けた。収録曲は、小西が作詞・作曲した「君とはもう逢えなくても」、椎名林檎の曲をカバーした「ギブス」、ジャネット・ジャクソンのカバー曲「Again」など全9曲。「君とはもう逢えなくても」のミュージックビデオとそのメイキングを収録した初回限定盤は3500円(税別)、通常盤(写真)は2800円(同)。

――ファーストアルバム「Here We Go」から2年ぶりの新譜です。制作の経緯を聞かせてください。

はじめに、スタッフさんから「4人のプロデューサーに、オリジナル曲とカバー曲を1曲ずつプロデュースしてもらう。カバー曲の中には洋楽も含まれる」という企画を提案いただきました。4人のプロデューサーさんと一枚のアルバムを作るのはもちろん初めてだし、今まで洋楽をカバーしたこともなかったので、「これは面白そうだな。ぜひやってみたい」と。

アルバムの制作は、新型コロナウイルスによる外出自粛期間中に進めることになりました。プロデューサーやスタッフの方々とじかに会えず、レコーディングも思うようにできない状況が続きました。オンラインでのやり取りで音楽づくりを進めていくのは、難しい面もありましたが、「一緒にいい作品を作りたい」という気持ちがあれば、たとえ相手が遠い外国にいる人であっても、一緒に作品を生み出せる。そんな可能性も見いだすことできました。そう考えると、いろいろ大変でしたが、すごくいい経験ができたと感じています。

自ら作詞・作曲、名曲のカバーも

――椎名林檎さん、星野源さんらの曲をカバーしていますが、どのように選曲したのですか?

 「ギブス」は、椎名林檎さんがリリースした当初から好きで、ずっと聴き続けてきた曲です。椎名さんのギブスをプロデュースした亀田誠治さんご自身が以前、この曲が好きだとおっしゃっていたので、「亀田さんにプロデュースをお願いするなら、ぜひ『ギブス』を」と考えていました。亀田さんのもとにはこれまでも、「ギブスのカバーをプロデュースしてほしい」というオファーが何度かあったそうですが、今回、「真奈美ちゃんなら」と引き受けてくださいました。ジャネット・ジャクソンの「Again」は、私が生まれて初めて聴き込んだ洋楽と言えるくらい、思い入れの強い曲で、星野源さんの「Ain’t Nobody Know」は、(プロデューサーの)後藤さんが提案してくださいました。それから、私の周りの方々に「小西真奈美の声を通して聞いてみたい曲」があれば、歌ってみたいという気持ちもあって、それでスタッフさんが挙げてくれた曲が、アダム・レヴィーンとキーラ・ナイトレイが歌った「Lost Stars」です。

――「君とはもう逢えなくても」など3曲は、小西さん自ら作詞・作曲を手掛けています。作詞・作曲はいつから?

3年ほど前にリリースした4曲入りEP「I miss you」で作詞・作曲したのが最初です。私にとって音楽は、日常生活に欠かせないものなんです。それをよく知っているスタッフに「曲を作ってみたら」と提案されたのがきっかけです。

――女優として長らく活動してきた小西さんにとって、音楽活動とは?

私の人生になくてはならないものです。音楽を作る機会に出合えたことは、私の大きな財産になりました。

女優・歌手の小西真奈美さん
(c)シンドウ ミツオ

おばあちゃんになっても踊っていたい

――コロナ禍で、何か気づかされたことはありますか。

「人に会えるって、素晴らしい」ということですね。外出自粛で誰にも会わない毎日が続いて、自粛が解けて最初にお会いした方が亀田さんでした。レコーディングスタジオでお会いした時には、もう感激で半泣き状態になってしまいました(笑)。人とじかに会って、お互いの熱量を肌で感じながらコミュニケーションを取ることの大切をあらためて思い知らされました。

――仕事などで失敗したり、スランプに陥ったりした時、どんなふうに克服していますか。

私の場合は、とことんまで落ち込みます。若い頃は、うまくいかないことがあった時、それを忘れるために何か別のことをやってみたりしていました。でも結局、そうするよりも、自分とちゃんと向き合わないとダメだと。ある時、部屋の隅っこで、膝を抱えながら落ち込んでいたことがありました。そうしたら、「これって、意外と自分と向き合えるな」って気づいたんです。一度ちゃんと落ち込んで反省したら、翌日からは、自分のやれることをやる。例えば、人間関係で悩んだ時には、ちゃんと落ち込んで反省し、自分からもう一度相手に話しかけてみる。仕事で失敗した時は、ちゃんと落ち込んだ後、やり方をもう一度変えてチャレンジしてみます。それに、失敗しないで物事を通過するよりも失敗した方が、学びがあったり、よりクリエイティブになったりします。だから、失敗は自分にとってすごく必要なことなんだと思うようにしています。

――体のために取り組んでいることは何かありますか。

バレエを習っているのですが、外出自粛でレッスンに行けなくなってしまいました。それで、毎朝お散歩をするようになったんです。それなりに長い距離を歩いて体を動かすと、体にいいものを欲したくなります。それで、フレッシュな野菜や果物をよく取り、お水をたくさん飲むようになりました。すると、「もうちょっと運動してみようかな」という気になって、ジョギングやエクササイズをするようになりました。それは今も日課になっています。以前は、仕事が忙しくてバレエのレッスンに行けなくなると、「体がちょっとなまってきたかな」と感じることもあったけれど、今はそんなふうに体を動かしているので、「コロナ以前」よりも調子がいいです。

――これから、どんな生き方を目指しますか。

私がバレエを始めたのは、30代になってからなんです。発表会に出るつもりはなくて、「じゃ、何のために続けているの?」ってよく聞かれます。「何のためなんだろう?」って自問してみたら、おばあちゃんになっても元気に踊っていたいからなんだと。特に女性の場合は、年齢を理由にして「こんなことはできない」「こんなことはしちゃいけない」と思いがちだけれど、年齢にとらわれずに、いくつになってもやりたいことを始められて、続けられたら、人生って楽しいと思うんです。音楽活動を始めたのだって、つい最近のことです。周りに「え? どうして今から?」と言われても、「やってみたかったから始めた」と答えるしかありません。興味のあることに臆せずチャレンジできる体と精神があり、あとは、すてきな仲間とともにお仕事をして生きていけたら。そんなふうに思っています。

(取材・読売新聞メディア局 田中昌義)

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小西 真奈美(こにし・まなみ)

1978年生まれ 。女優・歌手 。98年、つかこうへい演出の舞台『寝盗られ宗介』でデビュー。女優として数々のドラマ、映画、CMに出演中。歌手としては、2016年、舞台「 KR EVA の新しい音楽劇『最高はひとつじゃない2016 SAKURA 』」で初めてラップに挑戦。KREVAのシングル曲のカバー「トランキライザー」を初めて本人名義でリリース。同曲はiTunes の HIPHOP チャートで 1 位を獲得。17年 、インディーズで EP 「I miss you」と、亀田誠治プロデュースのシングル「君とクリスマス」、「クリスマスプレゼント」を発表。18年、全曲自身が作詞作曲したメジャーファーストアルバム「Here We Go」をリリース。「Cure」リリース当日の11月25日、無観客ライブ「小西真奈美 “Cure” Online Live at Blue Note Tokyo」を配信

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