仕事や家事で忙しい毎日を送る女性たちは、疲れやストレスによる体の異変をどう捉えているのでしょうか。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、「みなさんの『疲れ注意報』はなんですか?」という投稿が寄せられ、これに対して、頭痛、肌荒れ、不正出血など数々の症状が書き込まれています。こうした体の異変をどう考えたらよいのか、婦人科医の丸山真理子さんに聞きました。
トピ主「ろろ」さんは、疲れがたまると、目にものもらいができたり、生理でもないのに不正出血をしたりすることがあります。婦人科で診てもらったこともありますが、「異常なし」との診断。仕事のストレスのせいだろうと言われました。ものもらいや不正出血の症状が出たときには、1日寝るとスッと良くなることが多いそうです。「だから、私はこれを自分の『疲れ注意報』と思って、どんな家事もやめて早く就寝するようにしています。みなさんの『疲れ注意報』はどんな感じですか? 教えてください」と、発言小町で呼びかけました。
不正出血・口唇ヘルペス・足のむくみ
この投稿に60件余りの反響が寄せられています。風邪のひき始めや免疫力が低下したときに多く見られる症状を挙げる人が目立ちました。
「トピ主さんと同じく、不正出血、ありますね。これは自分基準で、無理に忙しく立ち動き過ぎた時が多い」(「パン大好き」さん)
「私の場合、(疲れ注意報は)口唇ヘルペス、口内炎です。風邪ひきそうとか疲れがひどい時は必ずです」(「みい」さん)
「疲れがたまりすぎると、『足の裏、誰か踏んで~っ』となります。その翌日くらいに軽く微熱が出たり、本格的に風邪をひいたり……」(「おばはん」さん)
「数年前に発症した帯状疱疹のあとがうずき、次に舌がビリビリし始め、最終的にじんましんが出ます。数日続くとメンタルがやられるので、きちんと食べることと早めの就寝を心がけます」(「バタしょっと」さん)
このように自覚症状は様々なようです。
その警告を無視し続けると?
「頭痛、背中の痛み、足のむくみ、口内炎などの症状が出ます。それをサインに、体を休めるようにしているのですが、忙しくてそれが出来なかった時、寝不足も過労も解消していないのに、急に痛みや苦痛がなくなって体調が良くなったら、『これはヤバイ』と思って、何を置いても、休養するようにしています。以前、この最終警告を無視した結果、倒れて救急搬送される羽目になったので……」(「一人娘」さん)という体験も寄せられました。
最近は、知識を持つことで、自分の不調は自分で手当てし、生活習慣病の予防や健康維持に役立てるという意味で、「セルフメディケーション」という言葉がよく使われるようになってきました。この投稿もその一環と考えていいのかもしれません。
早めに自分の症状に気づく、専門家に相談
「早めに自分の症状に気づく、という意味で『疲れ注意報』を挙げていらっしゃる方は多いですが、『本当に放置して大丈夫?』と思うケースもあります。『不正出血などはきちんと専門医にかかって、定期健診も受け続けたほうがいいですよ』と教えてあげたくなりました」。発言小町の投稿に対してこんな感想を述べたのは、2019年1月に東京・八丁堀で「EASE(イーズ)女性のクリニック」を開院した婦人科医の丸山真理子さん。不正出血は、甲状腺などのホルモンバランスの乱れや子宮がんのサインの可能性もあるからです。
乳房と子宮の検診が同時にできるクリニックを
丸山さんのクリニックでは、乳がん検診と子宮がん検診の両方を同じ日に受けることができるようにしています。「どちらの検診も、生理の周期によって、適切な時期があります。例えば、乳がん検診は生理の終わった4~5日後が最適。乳がん検診も子宮がん検診も生理中は避けたほうがいいのに、多くの医療機関では専門科が異なるため、なかなか同じ日に受けることができません。忙しい女性こそ、欠かさず検診を受けてほしいと考えてのことなんです」と丸山さん。乳房のマンモグラフィーなどは、適切な時期か否かによって、検査時の痛みや見え方にも違いが出ることがあるそうです。
「1年に1回、検診はできるだけ同じ機関で受け続けましょう。そうすることによって、経年変化もわかりやすくなります。女性はホルモンの影響を受けます。かかりつけ医というと内科の先生をイメージされる方が多いかと思いますが、女性の場合は、婦人科のかかりつけ医もぜひ持ってほしいです」と強調します。
無月経・生理不順・生理痛も相談を

今年3月ごろから無月経状態が続いていたのに、新型コロナウイルスの影響で、最近ようやくクリニックを訪れた若い女性もいました。「生理がないことを簡単に考えていたのでしょうが、急激なダイエットやストイックな生活で無理をしてしまうと、卵巣機能が正常に戻るのに時間がかかってしまうこともあります。卵巣はナイーブな臓器です。生理が1週間も遅れたら、それは生理不順。生理痛もあって当たり前ではありません。婦人科医に相談して対処することで、もっと快適ライフを手に入れられますよ」と話します。
数々の症状を「疲れ注意報」として挙げる女性たち。「この症状が出たら即休む」という目安を設けること自体が悪いことではありませんが、何もかもを疲れのせいにするのは無理があります。真の原因を探り、対策を立てるためにも、素人判断は避けて、身近な専門医に相談した方がよさそうです。
(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)
【紹介したトピ】
▽みなさんの「疲れ注意報」はなんですか?