東京五輪は延期になりましたが、スポーツの魅力やすばらしさは変わりません。読売新聞のカメラマンたちは、競技に全身全霊を傾けてきた選手たちの姿を追いかけてきました。この1年間に撮影した写真から、美しきアスリートたちの姿を紹介します。
◇◇◇
バドミントンの桃田賢斗選手(NTT東日本)の写真は、あと1点で世界選手権優勝という場面。撮影した大原一郎カメラマンは、「100台ほどのカメラが囲むこともあるなかで、写ることも意識した彼らしい瞬間」と話します。注目の選手を撮影するときは、場所取りも重要です。「このときは、こっちを向くと思ったのですが、狙いがはずれました」と苦笑いします。
バドミントンの会場は、コートは明るく照らされていて観客席が真っ暗になっています。「海外の大会ではよくあるのですが、選手が映えるような配慮だと聞いています。印象的な写真が撮れます」

バドミントンや卓球の試合では、コートの周囲にスポンサーの看板が立てられています。手前に看板が入るようにして、奥の選手にピントを合わせて撮ると、看板がぼやけて選手が浮き立ちます。「プレーの途中で、こうした少し遊び心のある写真を狙うようにしています」

女性ファンも多いカヌーの羽根田卓也選手(ミキハウス)は、モノクロです。「水の勢いを表現したかった」そう。水しぶきが競技の激しさを感じさせます。

卓球の伊藤美誠選手(スターツ)の写真は、横から撮影しました。通常は、撮影対象の選手の向かい側にいることが多いのですが、サーブの瞬間を狙うためです。

「選手の一番かっこいい瞬間を撮りたい。カメラマンの技量はもちろん、選手をよく知ることが大事だと思っています」。この選手は、試合中に追い込まれたときに決まった動きをするとか、勝ちが見えてきたときにこういうことをするなど、撮影を繰り返しながら選手の特徴を覚えていくのだそうです。
新型コロナウイルスの影響で、スポーツの撮影機会も減っています。「また実戦の場でアスリートたちを撮影できるのを楽しみにしています」
(写真=読売新聞写真部・大原一郎)
読売新聞写真部のスポーツ写真は、「THE MOMENT」で見ることができます。