僕の住んでいるアメリカでは、今、ほとんどのニュースリポーターがマスクをしてテレビに出ています。もともと誰もマスクなんてしない国だったのに……。最初のうちはただしょうがなくやっていたように見えたマスクも、最近は服に合わせてコーディネートしたりして、おしゃれを楽しんでいる人もいます。
その立役者のひとりは、この女性……かもしれません。
マスクの必要性が唱えられていた時期に出された、メラニア夫人のこのツイートは、マスク嫌いで有名なトランプ大統領とは裏腹に、周知に役立った感じがします。
それまでのマスクのそっけないイメージが、シックな白のドレスシャツを合わせ、さりげなくも洗練された美しいマスクルックに。
「これなら私もマスクしてみようかしら?」っていう気持ちを嫌悪感なく起こさせたかもしれませんよね。
今やファッション誌までも……。

どんなに時世が変わっても対応していく人々に、僕はただただ感心するばかりです。
そして、毎日マスクの顔ばかり見ていると、いろいろ気づいてくることがあるので、今日はそのお話を。
マスクが不足している地域ではおしゃれに気を遣う余裕はないと思いますが、手に入りやすくなっていたり手作りしたりできる状況なら、きれいに着けたいって思いませんか?
マスクをして美しく見える人
ポイント1 「隠す」じゃなく「見せる」
マスクをしたらきれいだなんて失礼なようですが、顔を隠した方がいいっていう意味じゃないのです。僕が美しい女性を見て思うのは、顔の作りがどうこうじゃなく、自分の個性の上手な見せ方を知っているなって。
そう、そういう人にとってマスクは、顔を隠すんじゃなくて、出ている部分を見せて、強烈にアピールしてくれる「道具」になっているんですね。例えばファーストレディーのメラニア・トランプさんの場合も、マスク初心者なのにそれができている。さすがは元モデルだけあって、美のプロなんですね。
では、そうなるためのテクを簡単にですが、ひもといてみますね。
ポイント2 顔を美しいかたちに見せるテクニック
英語のcontourという言葉は、美容用語でもあって、顔の立体や形を整えきれいに見せることを表しています。
具体的には、日本でも人気の化粧テク、シェーディングやハイライト、顔周りの髪で上手に影を作って顔の形をバランスよく整えることも含めて、要は自分の顔の長所を生かして見せるための全てのテクのことなので、この場合、マスクもしかりなのです。なぜなら、ドレスがボディーを隠しつつ胸元のカットデザインでデコルテと顔をきれいに見せるように、あなたの顔をきれいに隠してきれいに見せることができるから。
こだわるべき最初のポイントはマスクの上端のライン。
ストレートや凸形カーブ、いろいろ出ているのでこだわってみましょう。
例えば、女優ののんさんは、インスタで手作りマスクを披露していますが、マスクのラインと目の形があっていて、かわいい目の形が強調されています。
せっかくいろんな形が出ているので、ただ買ってつけるのではなく、こんなふうに美意識をもってマスクを選ぶとずいぶん変わりますよね。
次は、マスクの高さ。正確には鼻筋をどこまで出して、目の下のスペースをとるかとらないか。
アメリカのニュースリポーターで、鼻の先端ギリギリにマスクを下げた方が似合う女性がいて、美しいのですが話しているうちにマスクが動いて鼻の穴が出てしまい、直しながら話すということもあるので(なぜかその所作がちょっと色っぽかったですが)、コロナ防止効果がある範囲内でということを忘れずに。
こんなふうにマスクの形や着け方をちょっと意識してみてはどうでしょうか。
ポイント3 出ている部分を美しく見せるメイクで想像をかき立てる
マスクは人をミステリアスにします!と断言しましょう。顔が半分見えないんですから当然ですよね。
今まで見えて当たり前だった唇がマスクで覆われると、男目線だなんて思ってほしくないのですが、見えない部分への想像力を誰でも膨らませてしまうものです。
「気になってしまう……」。その効果を高められるのは、見えるところ次第。だからこそ目元が大切なのですが、メイクが濃いとそこしか見えないだけに、ただの「怖い人」に見えちゃうからくれぐれもご注意を。
ちなみにメラニアさんも怖くならないように、彼女にしてはナチュラルなアイメイクをしていますね。目の下ギリギリまでマスクを上げることと、眉をいつもより優しく仕上げることで目が自然に強調され、印象に残る目ヂカラに。その印象がミステリアスな見えない部分への興味へとつなげます。
マスクで隠された唇から始まる魅力の演出をやってみませんか?
次回は、そのメイクの深掘りをしたいと思います。
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