猫クイズ!(四つの選択肢から選んでください)
Q.成猫の平熱は何度?
(1)33.5~34.9度
(2)35.5~36.9度
(3)37.5~38.9度
(4)40.5~41.9度
(3)37.5~38.9度
【解説】成猫の平均的な体温は37.5~38.9度くらいで、老猫になると体温が少し下がります。
(ねこ検定公式ガイドブックより)
うーたんのお引っ越し
「私、“うーたん”の里親になります!」と宣言して2週間。
保護猫カフェ“小豆沢の森”のSNSでは“うーたん”の仮卒業が報告され、待ちに待った我が家へのお引っ越しの日がやってきた。
ワクワクを通り越し、ソワソワが止まらない中、アイさんの車がマンションの前へ到着し、彼女の仮住居となるケージセットが運び込まれた。
「いよいよ念願だった猫暮らしが始まりますね!」
「はい!」
笑顔でそう答えながらも、アイさんの一言で、フワフワと夢見心地だった“猫暮らし”がようやく私の中でリアルになった。
“うーたん”が当面暮らすことになるケージは、高さはないものの、中が2段構造になっていて、トイレや食事などの生活空間と、寝たりゴロゴロしたりするリラックス空間がちゃんと分けられていた。
ほんの数日、長くても数週間の仮住居といえども、アイさんの手により丁寧に作られた“うーたん”のお部屋は、素人の私が見ても、機能性が高く、かつ快適そうに見えた。
「慣れるまではケージに布をかけて、隠れられる場所を作ってあげてください」
というアドバイスの下、リラックススペースとなっている上半分は布で覆うことに。
「じゃあ、入居してもらいましょうか」
キャリーケースの中で鳴くことも、動くこともなく、ひたすら静かに待っていてくれた“うーたん”。キャリーケースからケージへの移動も、されるがままという感じでスムーズに完了。
鳴き声は「ニャーン」ではない!?
「本当におとなしいですね」
「緊張して落ち着きがなくなる子もいますけど、“うーたん”は静観するタイプみたいですね」
「そういえば“小豆沢の森”でも鳴き声を聞いたことがなかったんですけれど、鳴くこともありますよね?」
「はい、もちろん鳴きますよ。あ、でも、“うーたん”の鳴き声は『ニャーン』ではないです」
「ニャーンではない!?」
それにしても、おとなしい女の子だなぁと思いつつ、“うーたん”をお預かりするトライアル期間から正式譲渡までの一連の流れを聞き、これといった質問もなく、これまたスムーズに手続き完了。
私の悪いクセなのだが、何から何まであまりにスムーズに事が進みすぎると、かえって不安になる。そして、ケージの中の彼女は、そんな私の不安を知っているかのように静観の構え。
「丸一日はこんな感じだと思っていてください」
「えっ?」
「警戒心が解かれるまで、微動だにせず固まったまま、飲まない、食べないはよくあります。でも、新しい環境に慣れるにつれ、動き回ったり、感情も出てきたりするので、まずはゆっくり見守ってあげてください。なにか相談したいことがあったら、いつでもメッセしてくださいね」
先日、自宅訪問で来てもらった際、アイさんとはメッセンジャーの連絡先を交換させてもらっていた。
「ありがとうございます。元々おとなしいいい子だとは思っていたんですけど、なんかいい子過ぎて不安になっちゃって」
「そもそも、そんなにおとなしい子でもないんですけどね」
「えっ?」
「知れば知るほど面白い子なので、いろいろな面が出てくるのを楽しんでください」
なにそれ? どういうこと!? でも、アイさんがあまりにも満面の笑みで話すものだから、やんわりポジティブな気分になれた。
いよいよ始まった私の猫暮らし。しかし、彼女がいる部分を布で隠しているせいか、現在のところ、猫暮らしの醍醐味ゼロ。彼女との直接的なコンタクトは、ケージの隙間から指を突っ込み、ちょっとだけ毛先に触れた程度。
なんだろう……想像とは全く違った猫暮らし。
布をチラッとめくったら、めっちゃ至近距離に“うーたん”がいてびっくりした。
結局、リラックススペースから降りた気配がないまま深夜になり、私も寝ることにした。
かすかに香る、猫砂で使っているひのきチップの香り。結局、トイレも使ってくれなかったなぁ。お水も飲んでないみたいだし、明日の朝になっても使っている様子がなかったらアイさんに相談しよう。
“うーたん”の様子が気になりつつも、ベッドに横になるとすぐに眠りに落ちた。
「シャーーー」と衝撃体験!
パターンパターン!
バンバン、バターン!
何かに体当たりしているような衝突音にビックリし、慌てて飛び起きると、ケージの中に置いておいた紙製の爪とぎがひっくり返り、床の方まで水が飛び散っていた。
な、なにごと!?と思いつつ布をめくると、ハンモックの上で香箱座り(自分のおなかの下に前足・後ろ足をすべてしまい、長方形の香箱のように見える座り方)の“うーたん”が「シャーーー」と一声。
衝撃体験……「シャーーー」言われたんですけどぉ!!!
(※この物語は、実在する飼い主募集型保護猫カフェをモデルにしたフィクションです)
<保護猫カフェ時代の“うーたん”>
(Photo by 保護猫写真家ねこたろう/写真提供・協力 CAT’S INN TOKYO)
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