須賀健太さん主演のドラマ「江戸前の旬 season2」(BSテレ東ほか)が、19日深夜にスタートします。昨年放送された深夜ドラマの続編。人気漫画「銀座柳寿司三代目 江戸前の旬」(作・九十九森、画・さとう輝/日本文芸社刊)を原作に、老舗のすし店を継いだ若きすし職人・柳葉旬の奮闘ぶりとその家族の絆を、人情味豊かに描きます。昨年に続いて旬役を演じる須賀さんは、19日が25回目の誕生日。ドラマの見どころや、25歳になった心境などを聞きました。
撮影はすしがおいしく見えるように
――season2が制作されると決まった時は、どんな気持ちでしたか。
原作の漫画自体が100巻も続いている作品なので、シーズン1の時からみんなで「(シリーズとして)続いたらいいね」といった話はしていました。数か月前にシリーズ化が正式に決まって、素直にうれしかったです。実は、ちょうどシリーズ化のお話をいただいた頃、大阪で仕事をした帰りの新幹線で、40代ぐらいのサラリーマンの方に「江戸前の旬、良かったよ。season2はやらないの?」と言っていただいたことがあったんです。SNSなどでもドラマの感想は目にしていたけれど、見てくださった方から直接、感想を聞かせてもらえたのは、やはりうれしかったですし、その方のためにも、season2をやれて良かったです。
――漫画や小説が原作の作品に出演する時は、原作をかなり読み込みますか。
作品にもよりますが、漫画や小説の登場人物を生身の人間が演じるわけなので、役柄にリアリティや説得力があって、不自然に見えないように演じることを大切にしています。「江戸前の旬」は、おすし屋さんの職人の物語で、役作りという点では、あまり難しく考える必要はないかなと。登場人物たちがそれぞれ抱えているドラマをしっかり演じることを心がけています。
――昨年10月に開場した豊洲市場(東京)では、初めてのドラマ撮影だったそうですね。
シーズン1は、築地市場での最後のドラマ撮影だったんです。築地は屋外の市場で、撮影は夏場だったから、役者もスタッフもみんな汗だくになっていました。豊洲市場は屋内なので、冷房も空調も管理されていて、快適さがレベルアップしているなと感じます。市場が豊洲に移転したら、築地が閑散としてしまうのではないかと心配していたけれど、今も海外からの観光客などでにぎわっているので、すごくうれしいですね。
――しゃりの握り方をはじめ、すし職人の所作を表現するために、相当練習したのではありませんか。
シーズン1の時から、銀座にあるおすし屋さんで何度か勉強させていただいています。すしの職人さんって、違う仕事を同時進行でするんですよ。例えば、すしを握りながら、お客さんの飲み物が減っているかどうかを確認したり、お客さんに次の料理を出すタイミングを考えたりしているんです。初めて勉強しに行った時、「何をしていても、すしを握れるようになることが大事」と教えられました。そして、さらしをしゃりような形に巻いて、それをテレビを見ながら握る練習をしろと。手元を見て握るんじゃなくて、テレビを見ながらでも握れるようになれということなんです。
それに、ただおいしいすしを握れるようになればいいというわけではありません。ドラマだから、握ったすしがおいしく見えるように撮らないといけない。僕たち役者もスタッフさんも全員が手探りで、どう撮ったら一番おいしく見えるかを考えました。その経験が積み重なったおかげで、season2では、すしの映像が進化したと感じています。視聴者の皆さんに映像を通じて、おいしいおすしをお届けできると思います。
もう若いとは言っていられない
――最近、行きつけのすし屋ができたそうですね。
シーズン1に出演してから、おすしを食べるのも、握っているところを見るのも好きになって。回転ずしを5回我慢して、行きつけのお店に1回行く感じです。まさか、回らないおすし屋さんの行きつけができるなんて思いもしませんでした(笑)。そのお店も仕事が素晴らしくて、その日の魚のコンディションによって、すしダネの処理の仕方を変えたりするんです。そういうことって、ただお店ですしを食べているだけじゃ分からないじゃないですか。「江戸前の旬」のおかげで、すしに興味を持つようになって、食べるのが本当に楽しくなりました。

――10月19日で25歳になりました。思うところはありますか。
一応、アラサーになるんですよね。正直、もう若いとは言っていられない年齢になったと感じています。現場では10代の役者さんも多いですし、僕より年下のスタッフさんも増えてきました。シーズン1が放送された去年は、芸能生活20周年だったんです。そういう節目に主演した作品がシリーズ化されたのは、それだけでうれしいし、願わくば、僕が年を取るのに合わせて、シリーズも続いていったらいいですね。
――今後、演じてみたい役はありますか。
医者や刑事の役でしょうか。最近、やっと学生以外の役を演じさせてもらえるようになりましたが、社会人の役にはまだ、憧れのような気持ちがあります。役者としてもっとたくさんの役柄を演じさせてもらって、渋くなっていけたらいいですね。今はテレビドラマや映画だけでなく、舞台にも挑戦させてもらっているので、これからも幅広く、いろんな場所で、それぞれの場所に合う役者でいたいです。
――最近、関心のあることは何ですか?
「江戸前の旬」では包丁を使うシーンもあるので、やはり料理や食への関心は広がりましたね。それまでは料理はまったくしなかったけれど、少しずつするようになって、自炊の面白さを知りました。料理は気分転換にもなりますし。
――得意料理はありますか。
煮込みを作ることが多いです。とにかく煮込む(笑)。一人暮らしで、どうしても食材が余ってしまうので、前の日に残った食材でうまく料理するよう工夫したりもしています。
――料理以外に、オフはどんなことをして過ごしていますか。
よく映画を見に行きます。あとは買い物。実は、趣味と言えることが全然ないんですよ。役者という仕事は、何に挑戦してもその経験が血肉になると思っているので、いろんなことに挑戦してみたいとは思っているのですが。
――好きな女性のタイプを聞かせてください。
一緒にいて楽しそうにしてくれる女性が一番ですかね。このような仕事をしていると、どうしても生活が不規則になりがちなので、そのことを理解してくれる女性であることが、現実的には一番大事なのかもしれません。
(取材/読売新聞メディア局 田中昌義、写真も)