季節の羊羹 笹ほたる
2300円(税抜き)
※8月末まで販売予定。
※オンライン(http://shop.wakuden.kyoto/shop/)でも購入可能。
店舗 紫野和久傳 伊勢丹新宿店
東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店B1F
電話 03-5367-8218
営業時間 10:00~20:00
不定休(伊勢丹新宿店に準じる)
※ほかにも店舗あり。
夏に必ず味わいたい和菓子を聞かれたら、真っ先に思い浮かぶもののひとつが、「紫野和久傳」の「笹ほたる」。こんなに詩情をそそられるお菓子は他にないのではないかしら、と思うほど奥ゆかしい情緒と口福に満ちた、大好きなひと品です。
切り分けてお皿にのせると、深みある緑色が鮮やかな抹茶餡の水羊羹の間から、まあるい琥珀色のほうじ茶ゼリーが温かな光を放ちます。そこに映し出されているのは、夏の夕暮れ時、清らかな水辺で緑深い笹の葉の間からふわりとのぞく、ホタルの明かり。角度を変えれば光がふっと消え、また少し角度を変えれば再び光が透けてぽっと輝き始める様は、儚くも懸命に生命の光を灯すホタルそのものです。
ああ、なんて美しい! 冷たいうちに味わいたい。でも、ずっと眺めていたい。淡い光に見とれてため息をつきながら、いつも葛藤してしまいます。
それでも心を奮い立たせて口に運べば、訪れるのは至福のひととき。じっくり炊き上げた白小豆と宇治抹茶を使った水羊羹が、さらりとほぐれて喉を潤し、奥深いお茶の香りが豊かに押し寄せます。そこに心地よい渋みと香ばしさを加えるのが、同じく宇治産のほうじ茶を使った透明感あふれる寒天ゼリー。歯の間で砕けるような固めの食感がまた、つるりとなめらかな水羊羹とコントラストを成して、とっても魅力的です。
食べ進めると、二つの異なるお茶の香りが互いに寄り添って混じり合い、後に残るのはしみじみとした清々しい余韻。季節の移ろいと和の文化を伝える京都の料亭が、丹精こめて仕立てる涼やかな夏の美味です。
瀬戸理恵子さんが取材・文を担当した、「アテスウェイ 川村英樹の菓子」が出版されました。7月1日発売、柴田書店、税込5184円です。都内屈指の人気パティスリー「アテスウェイ」のお菓子を、詳細なレシピと作り方とともにていねいに解説。オリジナリティあふれるプチガトーからアントルメ、焼菓子、アイスクリームを使ったデザート、チョコレート菓子など56品を全276ページにわたって紹介しています。
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