女性の美しいバストラインを作ってくれるブラジャー。でも、選ぶとき、AカップやBカップなどのカップサイズをイコール「胸の大きさ」と勘違いしていませんか? 読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、ブラのサイズに悩む女性の声が寄せられています。ブラのサイズの謎と選び方を下着の専門家に聞きました。
薦められたのはHカップ、そんな大きいはずは…
トピ主のmoriさんは、「F70」のブラを使っていましたが、窮屈に感じたため、下着専門店でバストを測ってもらいました。そのときのサイズは「バスト90、アンダーバスト65」。「G65」を目安に何着か試着しましたが、カップに胸がおさまらず、あふれてしまったそうです。結局、「H70」が一番胸にフィットしたため、それを買って帰宅しました。
「でも、冷静になってみると、そんなに自分の胸が大きいとは思えないんです。(店では)服の上から採寸されたので、下着を外して、家にあるメジャーで自分で測ってみたらバスト90、アンダーバスト70で、たぶんこれだとEカップですよね? Eカップの人がHカップを着けるなんて、変ではありませんか?」と問いかけました。
この投稿に、同じような経験を持つ女性から反響がありました。
自分で測ると小さい…ブラジャーあるある
「しおん」さんの場合、自分でバストのサイズを測ると、アンダーは75~76で、トップは86~87。カップ数は75Aだろうと思って、下着専門店に行ったところ、「70E」を薦められるそうです。不思議に思って、これまで3店舗で試しましたが、いずれも薦められるサイズは「70E」。
「私の場合、70Eのブラを着けたって、見た目は世間のイメージするBカップ程度。ブラのカップサイズは『トップとアンダーの差』というあまりに単純な理由で分類されているので、一番フィットする下着が、実際の計測値や胸の見た目(大きさ)と異なることは結構あると思います」と「しおん」さんは指摘します。
「大人女子はブラ・ショーツで体型を変える」の著者で、下着専門のセレクトショップ「ブティックシーン青山店」(東京都港区)を営む国保和子さんにこの“謎”を聞きました。
「カップサイズ=胸の高さ」は間違い
「カップサイズは『アンダーとトップの差』で決まりますが、胸の高さとイコールではありません。円錐形の山を思い浮かべてもらえば分かりやすいのですが、カップサイズは容量。底面積が広くて高さがさほどない場合でも、その逆の場合でも、両方ありますから、カップはあくまで目安に過ぎません」と国保さんは話します。

国保さんは、ショップをオープンした1990年以来、ブラのサイズに悩む多くの女性の相談にのってきました。初めて来店した女性に一つ上のアンダーサイズ(5センチ刻み)で、一つ下のカップサイズのブラを薦めたところ、泣き出されたことがあるそうです。
「たぶん、アンダーバストが小さくて、カップサイズが大きいのが理想、と思い込んでいたんでしょうね。でも、その方は、お薦めしたブラを購入され、次に来店されたとき『おかげで肩凝りが改善されました』と言ってくださいました。大切なのは、試着したときのフィット感。思い込みで自分のサイズを決めてしまわないで」と強調します。
フィット感に大きく関係するのが、胸の下辺の曲線(バージスライン)。とくにワイヤー入りのブラの場合、バージスラインが合っていないと、ワイヤーが肋骨に当たって、赤くなったり、不快な痛みを感じたりします。このバージスラインを意識した上で、胸の形に合わせて、ブラを選ぶと良いそうです。そのためには、試着が不可欠です。国保さんは、同じブラでサイズ違いの3つを試着して、比べることをおススメします。
サイズの違う3つのブラを試着
普段C70のブラを着けている場合、次のような3つのサイズを用意してもらいます。
・1つ目はC70…いつものサイズ
・2つ目はD70…一つ上のカップサイズ
・3つ目はB75…アンダーを大きく、カップサイズは小さく
この順番で試着してみましょう。1つ目の「C70」と3つ目の「B75」はカップの大きさにそれほど違いがありません。「C70」と「D70」のほうが、カップ差があるそうです。
国保さんによると、体重の増減によって胸のサイズは変わるほか、加齢による体形の変化で気づかないうちにアンダーバストがきつくなることもあります。「体重に変化がないという人でも、半年に1回は専門ショップなどで、自分のサイズに合ったブラを買い求めてサイズを確認してほしい」と言います。
また、ブラは着け方によっても効果がまったく違います。売り場のフィッターさんに相談して、正しい着用方法のコツを教わるとよいそうです。
「骨格によっても、合う、合わないがあります。服を着たときにきれいに見えるかというポイントで、納得するまで選んでほしいですね。試着してみて合わないと思ったら、勇気をもって断ってください」と国保さんはアドバイスします。
ブラを長持ちさせるには

ぴったりとフィットするブラを長持ちさせるため、取り扱い方も気をつけましょう。洗濯機で洗うと、形崩れを起こしやすいため、国保さんは入浴中の「漬け置き洗い」を勧めます。おしゃれ着用の洗剤で、漬け置き時間は洗剤の表示に従います。「洗面器などを使うと簡単です。やさしく洗い、2~3回ためすすぎをしたら、後は、体をふき終わったバスタオルに包んで水気を取ります。ハンガーに肩ひもをかけてホックを留めて干すか、逆さまにして、アンダーベルトの布地を洗濯バサミで挟んで干しましょう」と言います。
ワコールが20代から40代の女性900人を対象にしたインターネット調査(2019年2月実施)では、胸の谷間について、「谷間ができている時のほうが幸福度が上がる」(21.8%)と「やや幸福度が上がる」(58.8%)を合わせて、10人中8人が胸の谷間と幸福度を関連づけている結果となりました。
多くの女性が悩む胸の大きさとブラ選び。数字やカップサイズに惑わされずに、快適で自信や幸せにつながる着心地だといいですね。
(読売新聞メディア局編集部・永原香代子)
【紹介したトピ】