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シャルル・ペローの童話では、シンデレラは靴をなくしてからプリンセスになります。しかし、イザベル・ボージの場合はその逆です。「メゾン・アーネスト」のオーナー兼アーティスティックディレクターを務める彼女は、本当にプリンセスであるだけでなく、シンデレラに靴を履かせる側の人間でもあるんです!
アルジェリアとインドネシアのジャワ島にルーツを持つイザベル。顧客ももちろん国際色豊かですが、本人もインターナショナルな存在です。ご先祖はインドネシアの紙幣にもなっているんですよ! それでも、ジャワ王室の伝統を伝えるのに彼女が選んだ場所は、パリでした。靴を通して、自分のヴィジョンを他の女性と分かち合おうと思ったのです。イザベルは自分でまず靴を履いてみるので、履き心地もよくわかっています。

「靴はただ身につけるだけではなく、一緒に生きるもの。装飾品で唯一、体全体を委ねるものだから」と話す彼女にとって、靴は単なるアクセサリーの一つではなく、「フランス流エレガンスの根幹」です。
イザベルは幼い頃から自分の考えた靴をデッサンするのが好きだったといいます。スタジオ・ベルソー(パリのモード専門学校)で学び、パストールグループのデザイナーとしてキャリアをスタート。その後、フランスのレッグウェアブランド「セルヴァン」のアーティスティックディレクターに起用されました。昔ながらのやり方でタイツやストッキングを製造するこのメゾンで、女性性(フェミニニティ)に対する確固としたヴィジョンを養ったのでしょう。古くは1904年から続くシューズブランド「アーネスト」を買い取り、「メゾン・アーネスト」として蘇らせたのです。

ムーラン・ルージュのすぐ近くにあるブティックはラグジュアリーと洗練を体現する存在ですが、噂が噂を呼び、ケイト・モスやビヨンセ、ディタ・フォン・ティースなど多くのセレブリティーが訪れています。クリシー通りにある本店の他に、もうすぐサンジェルマン地区に新しい店舗もオープンする予定とのこと。
エナメルのヒールやレースアップブーツに代表されるように、エッジィなコレクションには、しなやかでありながら危うい世界が表現されています。映画『ツイン・ピークス』にインスパイアされたという格子の床も、デヴィッド・リンチが見れば喜ぶことでしょう。
「アーネスト」の靴はかつてヘルムート・ニュートンにも愛されていました。イザベル・ボージは見事にブランドを蘇らせてみせたのです。もちろん、彼女はそれだけでは終わりません。パリをとび出して、3月に日本で初めてコレクションを展示したのですよ。