映画「たちあがる女」
2018年カンヌ国際映画祭批評家週間の受賞映画「たちあがる女」が3月9日から日本で公開されるのを記念して、駐日アイスランド大使のエーリン・フリーゲンリングさんをゲストに招いてのトークショーが4日、東京で行われました。
映画「たちあがる女」の主人公は、アイスランドに住むセミプロ合唱団の講師の女性ハットラ。実は環境活動家という周囲に知られざる一面を持っている彼女に、長年の夢だった養子縁組の知らせがやってきて、母親になる決意をしたことから巻き起こる騒動を描いています。
ベネディクト・エルリングソン監督の最新作である今作は、昨年、カンヌ国際映画祭批評家週間の劇作家作曲家協会賞を受賞し、ジョディ・フォスター監督・主演でハリウッドでのリメイクが既に決定しています。
自分を信じる
ハットラは幸せを手に入れるために行動することをためらわない女性です。フリーゲンリング大使は「これは愛についての映画ですが、男女の愛というよりは、国、自然、家族に対する愛が強く描かれています。また同時に、『個人としてどういう人生を生きたいのか、何を大切にしたいのか、何を信じていけばいいのか』が強調されています」と感想を述べました。
国立女性教育会館の研究国際室専門職員の越智方美さんもゲスト登壇し、「アイスランドは10年連続で、世界で最もジェンダーギャップ(男女間の格差)が少ないことで有名」と説明しました。
大使は、主人公の女性を見てオノ・ヨーコさんの「人に頼らず、自分で自身のマントラを作りなさい。他人が作ったマントラは、フィットしないジャケットのようなものだから」という言葉を思い出したそうです。「主人公は、誰でもなく自分自身のことを信じています。もしかしたら、それはアイスランドの女性の特徴と言えるかもしれません。私たちの国はとても小さいので、いろいろな物事を非常に個人的に受け取って、個人的に変えていこうとするのです」と話しました。
才能ある日本女性、謙遜しないで
では日本はどうでしょうか。大使は、「さまざまな方とお会いして、日本には才能がある女性や教養のある女性が多いと思いました。けれど、なぜかあまり現状を幸せに思っていない女性も多いと感じました」と語り、日本の女性はもっと自分の意見を言うべきだと言います。
「みなさん、とても謙遜なさいます。時々、ちょっと謙遜しすぎるのでは、とも感じます。自分の夢がある、自分自身の道を探すことは可能である、ワークライフバランスも可能である、などということをもう少し声高に言ってもいいのではないでしょうか」と提言しました。(取材:読売新聞メディア局編集部 杉山智代乃)
【公開情報】
「たちあがる女」3月9日(土)YEBISU GARDEN CINEMA ほか、全国順次公開