人気アイドルグループ「Kis-My-Ft2(キスマイフットツー)」の北山宏光さん(33)が、映画初出演にして初主演を果たした「トラさん~僕が猫になったワケ~」(2月15日公開)は、板羽皆さんによる同名の漫画を実写映画化。同作で北山さんは、事故死したものの猫に生まれ変わり、期間限定で家族の元に戻る、売れない漫画家を演じました。いい加減で能天気なダメ夫・高畑寿々男を支える妻・奈津子を演じた、女優の多部未華子さん(30)に映画の見所を聞きました。
――映画の企画を聞いたとき、どのような感想をお持ちになりましたか?
最初に、原作の漫画を読んだのですが、温かい家族愛を描いたエピソードに感動しました。でも実際に脚本を読んで、映像としてどのように撮るのかなと思いました。
夫の寿々男(北山さん)は、仕事もせず、ギャンブルにおぼれる日々を過ごし、あげくに交通事故で先立ってしまいます。その後、人生を挽回するために、猫の姿で「トラさん」として、1か月の期間限定で家族の元に戻ってきます。
――猫に生まれ変わった寿々男とのかけあいは?
寿々男は人間の言葉を話しますが、奈津子には、「ニャーニャー」としか聞こえないので、寿々男のせりふが聞こえないように見せるため、間髪いれずにわざとかぶせてせりふを言うように意識しました。
映画初主演の北山さんは……
――北山さんとの共演は?
周りのスタッフさんや共演者の方とも分け隔てなく接してくれ、場を盛り上げてくれるとても明るい方です。でも、私が真剣に台本を読んでいる時も、お構いなしに話かけてくるんです(笑)。
――苦労したシーンは?
漫画の背景を書く、アシスタントをするシーンが難しかったですね。ちゃんと漫画指導の方もいらしたのですが、筧監督から、「ここはこうしたほうが書きやすいですよ、ああした方がいいですよ」と、細かくアドバイスを受けました。映画監督をする前は本格的に漫画家を目指していたと聞いて、「なるほど、だからかこんなに熱心だったのか!」と納得しました。
――お気に入りのシーンは?
寿々男が猫のトラさんになって空から舞い降りて、地上に着地するシーンが、かわいくて好きです。脚本を見ておもしろいなと思っていたのですが、本編を見た時に「あ、そろそろあのシーンが来る」と楽しみにしていました。
――母親役はむずかしかったですか?

そうですね。最初から全編通してずっと母親というのは初めてでした。しかも、娘の実優(平澤宏々路さん)が小学校高学年ということもあり、ここまで大きな娘は初めてなので、難しいかなと思っていました。でも実優とは友達感覚の親子関係だったので、撮影の合間も北山さんと3人でおしゃべりをして、コミュニケーションが取れ、楽しくスムーズにお芝居ができました。
思い描いていた30歳は?
――先月30歳を迎えたばかりですが、心境に変化は?
10代のころは自分が高校を卒業して、受験して、大学に入って……と、見えていない未来に期待しすぎていました。でも、今はそういうことをやめて、ちゃんと目の前にある現実を受け入れて、少しのことでも幸せを感じられるよう、日々を送れたらいいと思っています。
――10年前、ハタチのころは、どんな30歳になると、想像していましたか?
ハタチのころは23歳くらいで結婚するものだと思っていました。30歳にはもう子どももいて、と思っていたような気がします。
――今回母親役でしたが、多部さん自身、理想の家庭像はありますか?
ありきたりですが、子どもが二人くらいいて、犬を飼って、家族団らんで夕ご飯をたべるというような家庭を築きたいです。
――どんなことに幸せを感じますか?
最近忙しくて湯船につかれなかったので、ゆっくりお風呂に入ることと、部屋の片付けをすることです。当たり前の生活を送ることに幸せを感じます。
――今年の目標は?
特に大きな目標はありませんが、シンプルに毎日楽しく生きていきたいです。会いたい人に会うとか。
――最後に映画の見所を
死んでしまった寿々男が猫に生まれ変わるという変わった設定ですが、とてもシンプルな家族愛を描いています。寿々男は、与えられた運命を受け入れて、残りの時間を家族と大切に生きようとします。みなさんに感動していただけると思います。
(聞き手:読売新聞メディア局・遠山留美、撮影:金井尭子)