「オハヨー」のあいさつとともに、ツイッターにアップされる色とりどりのドレスをまとった女性のイラスト。バラやアジサイ、スミレなど、その時々の季節の花を用いた作品を見ると、慌ただしい朝に仕事のことを考えて険しくなった表情も、ひととき柔らかくなるような気がします。これらのアート作品の作り手は、福岡在住の葉菜桜花子さん。リアルな花や葉を使ってドレスを表現したイラストに癒やされると、SNSで話題になっています。

花びらや葉を重ね合わせてドレスに見立て、そのあと女性のフォルムをイラストで表現する――。描かれた女性たちは、軽やかに、しなやかに、まるでダンスを踊っているみたい。作品づくりのきっかけは、葉菜桜さんの花への強い愛情から生まれてきたそうです。
「もともと花を飾るのも絵を描くのも好きでした。花が傷んできたり、枯れてきたりすると処分しなくてはいけないのですが、そのまま捨てるのが忍びなくて……」と葉菜桜さんは振り返ります。
処分する前に、最後にもう一度飾りたい。そんな思いで、花や葉を一枚一枚、画用紙に置いてみたところ、ドレスのフォルムに見えたのが始まりだったといいます。
2017年4月から投稿を始めた葉菜桜さん。現在はほぼ毎日、新しい作品をツイッターとインスタグラム「はな言葉」(@hanacotoba_jp)にアップしていて、花言葉とともに見る人に癒やしを届けています。季節によって花の色や種類、大きさは様々で、作品をつくるのは難しそうに思えます。「お花を画用紙に置いて、その花言葉とともにイラストを考えていきます。女性の気持ちや情景も思い浮かべますね」と葉菜桜さん。

萎れた花や植物の葉が、作品の中でドレスや着物の帯に生まれ変わっていきます。例えば、鮮やかなピンクの百日紅の花をふわりとしたスカートに、緑の葉をトップスに見立て、百日紅の花言葉「愛嬌」をイラストに表現しています。
その作業は、短いときで1時間ほどで出来上がるそう。「花言葉って、お花の印象に近いと思います。だから、お花を画用紙の上に置いたときの印象を大事にしています」。実は、あまり時間を置いてしまうと、花自体の水分が画用紙に移ったり、変色したりするので、なるべく素早く仕上げていかなくてはならないそうです。
今まで約1000点の作品をSNSで発表していて、ツイッターでは現在、約13万のフォロワーがいる葉菜桜さんですが、7月には、作品をまとめた『季節を彩る「はな言葉」~花のドレスと花言葉109』(扶桑社、税込み1188円)を出版しました。
ネット上でしか見ることができなかった作品が書籍となったことで、さらにファンが増え、「今まで花に興味がなかったが、身近に感じるようになった」といったコメントが寄せられているそうです。

最近では国内だけでなく、海外からも反響があるといいます。葉菜桜さんは「毎日投稿し続けることができるのも、日頃から絵を見てくれる人たちのおかげ。これからも皆さんと一緒に、季節の移ろいや草花の美しさに感動しながら過ごしていけたら」と語っています。
(取材:メディア局編集部 杉山智代乃)
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