健康的で美しい体を競う「フィットネスコンテスト」が盛んになっている。筋肉の大きさや脂肪の少なさを追求するボディービルと異なり、大会や部門ごとに審査基準が違うため、初心者でも目指しやすい。2018年7月、競技が盛んな韓国から2大会が「上陸」した。このうち横浜市で開催された「NICA JAPAN」(ニカ ジャパン)では、男女約100人が自慢の肉体を披露し、会場は大いに盛り上がった。
韓国発祥のコンテストが上陸
NICAは韓国で16年にスタート。18年7月1日に初めて日本で開催され、8部門に10〜50歳代の男女約100人が参加した。
大会が開かれた横浜市西区の市教育会館。「36番きれい!」「肩がシュークリーム(のように盛り上がっている)!」。舞台上で水着姿の選手がポーズを決めると、ジム仲間や家族、ファンらで埋まった観客席から口々に声援が飛んだ。
大会初挑戦の会社員、片橋真由さん(30)は、トレーニング歴3か月。最初は産後のダイエット目的で始めたが、ジムのトレーナーに勧められて出場した。
週4日運動し、大会約1か月前からは厳しいカロリー制限に加え、ゆでた鶏胸肉などたんぱく質を中心に食事管理も行った。
つらい減量にイライラしやすくなり、家族にあたってしまったことも。夫の直人さんから「周りにもストレスをかけるならやめた方がいい」と厳しい一言があったり、トレーナーの助言で食事制限を緩めたりして、乗り越えた。直人さんは2人の子どもの世話や家事を買って出て、支えてくれたという。
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初出場ながら大健闘
片橋さんの身長は165センチ。トレーニングで体重は5キロ・グラム、体脂肪率は10%近く減少した。
今大会8部門のうち、出場したのは女子フィットモデル部門。ダイエットは特に求められないが、ドレス審査もあり、着こなしやスター性が求められる。
緊張のせいか、舞台上で転んでしまう一幕があったものの笑顔で乗り切り、特訓したポーズを披露した。
結果は19人中8位入賞と大健闘。応援に駆けつけた片橋さんが通う「BOOTY FITNESS」代表の野田真奈さんは「心が折れそうな時もあったけど、目標を持って頑張ってくれた」とねぎらった。
「トレーニングで体もメンタルも強く変われました」。そう語る片橋さんの笑顔は自信に満ち、輝いていた。

表現力や均整美で勝負可能
「NICA JAPAN」主催の井出萬里(まさと)さん(36)は、「一昔前は筋肉の大きさのみを競ったが、長い間、他の人生を犠牲にして鍛えなくてはいけない。経験が浅くても表現力やバランスで勝負できる大会が求められるようになったのでは」と分析する。
井出さんは、外資系家電メーカーで技術者として働きながら、フィットネスの普及を目指している。自身も11年からボディービルを始め、16年には「神奈川県ボディビル選手権」の75キロ・グラム級で優勝。17年には韓国の複数の大会に出場し、NICAの幹部と出会ったことが日本開催のきっかけだった。
「大会を経験すると表現力も磨かれ、実社会でも役に立つ。自分の骨格や筋肉量などに合わせて、好きなところに出てみては」と話している。

(読売新聞地方部 松崎美保)