片道4時間以内の近距離路線が中心だった格安航空会社(LCC)が、中長距路線を充実させている。LCCを利用して、ちょっと遠くまでお得に旅をしてみては。
旅客便数の3割弱
国土交通省によると、国際線の旅客便数に占めるLCCの割合は年々増加し、2018年夏期のスケジュールでは27・1%を占める。従来は近距離路線が中心だったが、アジア圏の航空需要が伸び、片道5時間以上の中距離路線も増えている。
現在、日本発着の中長距離路線を運航しているのは海外LCCが中心だが、日本の航空会社でも、ANAホールディングスが傘下のLCC2社を19年度末に統合し、20年をめどに中距離路線に進出する計画だ。日本航空も、20年をめどにLCC事業に参入し、米国や欧州と日本を結ぶ路線を開設する。
アジア便充実
先行するのは、海外LCCだ。
シンガポール航空傘下のスクートは、昨年12月に関空―ホノルル線、関空―シンガポール線をそれぞれ開設。特に最低運賃が片道1万円を切るホノルル線は人気だ。
LCCは座席が比較的狭いが、スクートは米ボーイング社の787型機(最大375席)を使用し、ビジネスクラスにあたる「スクートビズ」もある。
エアアジアグループ(マレーシア)では、エアアジアX、タイ・エアアジアX、インドネシア・エアアジアXの3社が中距離路線を日本に乗り入れている。成田や関空だけでなく、新千歳や羽田とクアラルンプールを結ぶ便など、ネットワークが充実している。日本路線の増便、新設が相次いでおり、4月に新千歳―バンコク線、5月に成田―ジャカルタ線が新設された。
エアアジアグループも、各便に12席だけ「プレミアム・フラットベッド」というビジネスクラスを用意している。フラットになる座席や機内食サービスなどが利用できる。
豪州観光地も安く
豪カンタス航空傘下のジェットスター航空は約10年前からオーストラリアの代表的な観光地であるケアンズ、ゴールドコーストへの直行便を運航している。
近年はアジア路線も増やしており、ジェットスター・パシフィック航空で、関空からベトナムのハノイやダナンなど、日本人にはまだなじみの薄い都市に行けるのも面白い。
往路と復路で別会社利用も
今年は、混雑を避けて9月に夏休みをとり、関空からホノルルに行くことにした。スクートのウェブサイトを開いてみた。9月下旬の運賃を調べると、日によってかなり変わるが、比較的安価な24日関空発、30日関空着にした。
行きは荷物が少ないので航空運賃だけの「フライ」プラン。帰りは現地で買った雑貨やお土産で荷物が増えるはず。預け入れ荷物が20キロまで無料の「フライバッグ」プランを選んだ。機内食は利用せず、食事は持ち込むことにした。これで運賃に空港使用料などを加えても往復で4万5000円程度だ(17日午後5時時点、価格は支払いが終わるまで変動する)。
往路はスクート、復路はエアアジアXなどと異なるLCCを利用する手もある。各社のメールマガジンに登録すると、キャンペーン料金などの案内も届くのでおすすめだ。
(読売新聞経済部 木引美穂)