住みたい場所を選ぶとき、チェックすべきなのは、その場所の小学校の学区です。最近は、独自色を打ち出して人気を集めている公立小学校も増えています。学区内のエリアに住んでいれば、そのまま子どもを入学させることができますが、道路1本挟むと、別の学区になってしまうこともしばしば。住みたいところがどの小学校の学区になるのか調べておくと、のちのち助かることもあります。
越境入学は当たり前?
学区外の学校に越境入学することは、何か特別な事情がある場合のみ、という地域で育った人もいることでしょう。学区内に住む子どものほぼ全員が、決められた通りの学校に進む地方もありますが、東京では越境入学は珍しいことではありません。小学校の場合、「将来の中学受験を見据えて、“受験が当たり前”の環境の中で育てたい」「(学区内の)指定校よりも家から近い」など、越境する理由はさまざまですが、中には越境に並々ならぬ努力をする親たちも存在します。

人気の公立小学校の一例として、文科省の「教育課程特例校」に指定されている大田区立清水窪小学校が挙げられます。同校では、「サイエンスコミュニケーション科」を設置し、科学教育に力を入れています。近隣の東京工業大学と連携しており、児童たちは大学の研究室を訪問したり、教授から指導を受けたりと、ロボット研究や宇宙開発など最先端の科学に触れられる機会が設けられています。同校には、学区外からの入学希望者が多く、ここ数年は抽選が行われています。
公立学校への入学は“住んだもの勝ち”
東京都内の公立学校には、子どもが通う学校について、自由に選べる「学校選択制」という制度があります。しかし、23区に限って見ても、学校選択制の採択は各区によって様々。渋谷区のように自由に選択できるところもあれば、地域とのつながりを大切にするなどを理由に、学校選択制をやめて住む地域によって学校を指定している葛飾区のような自治体があります。
学校選択制でなくても、地理的な理由や友人関係、特色ある教育活動などを理由に、指定校を変更できる地域もあります。住みたいエリアがあれば、その自治体がどのような規定を設けているのかもチェックしておくといいでしょう。
いずれにしても、学区外の生徒の受け入れは、学区内の入学希望者を全員入れた上で、学校側が収容能力、学級編成に問題がないと判断した時のみオープンとなります。人気校を希望する場合は、その学区に住んでしまえば問題は解決します。
小中、中高一貫校の公立も
都内では小学校と中学校、中学校と高校が一緒になっている公立の一貫校があり、私立をしのぐ人気ぶりとなっています。その中でもユニークなのが千代田区立九段中等教育学校。区内在住と区外在住で募集枠が分かれています。18年度の倍率を見ると、区内在住は1.89倍、これに対して区外在住は8.61倍と、かなりの開きがあります。このため、少しでも入試に有利になるためにと千代田区に引っ越す家庭も出ています。
「小学校も中高も公立で良い教育を受けさせたい」と考えるならば、こうした学区の特徴を踏まえて、住む場所を選ぶのもいいかもしれません。