2018年春夏コレクションシーズンが始まった。ショーでは、ブランドが発表する服とともに、さっそうとランウェーを歩くモデルたちにも注目が集まる。日本人モデルで世界的に活躍しているのが、 萬波 ユカさん(26)。看護師から転身した異色の経歴も持つ。

黒髪のロングヘア、眉の上で切りそろえた前髪がチャームポイントだ。身長1メートル75。三重県出身で、大阪の大学を卒業後、看護師として働き始めた。しかし、病院で人の生き死にを目の当たりにする中で、「人生は一度きり。モデルに挑戦してみよう」と思い立った。
学生時代、知り合いのカメラマンのモデルを務めたことがあった。雰囲気があると褒められたことや、撮影されて楽しかったことが、心に残っていたという。バレエが特技で、人前で何かを表現することも好きだった。
2015年7月、東京のモデル事務所に所属。その直後、東京で開催されたイタリアの高級ブランド「フェンディ」のショーに出演する大きなチャンスに恵まれた。「ウォーキングもまともに習ったことがなかったので、自分が歩いている様子をビデオに撮って、特訓しました」

その後、ミラノ、パリコレクションと立て続けに出演。瞬く間に注目の逸材になった。海外ではショーの前日に出演が決まることもあるなど、競争の極めて厳しい世界。「東洋人ならではの美しさとして、欧米では切れ長の目がもてはやされる。でも、自分は二重。世界の大舞台にいていいのか、実は自信が持てなかったんです」と振り返る。
しかし、様々な国から集まるモデルたちと交流を深めるうち、「皆、それぞれの魅力がある」と思えるようになった。「外国で雑誌の仕事がしたい」など、モデルとしての目標も明確になった。

急な仕事に対応できるよう、今年初めからニューヨークで暮らす。今春には、米国版ヴォーグの撮影に携わることができた。
「クールビューティー」という言葉がぴったりの容姿だが、どんな質問にも明るく笑顔で答える。どこか殺伐とした現代社会では、そんな人当たりの良さも大きな魅力になるのだろう。
看護師時代に「スタッフ側」を経験したからこそ、現場の雰囲気が和やかだといいものができると思っている。「明るさを大事にしつつ、チャレンジ精神を忘れずにいたいです」(読売新聞生活部 山村翠)