インターネット通販の拡大で、宅配便の取扱量が激増する中、宅配便各社はスムーズに配達するためのウェブ上のサービスを充実させている。度重なる再配達は受け手にとっても負担が大きいもの。無料のサービスを活用して、「受け取り上手」になろう。
配達時間の事前通知やコンビニ受け取りも
東京都港区の会社員(26)は、一人暮らしを始めた約1年ほど前、ヤマト運輸の再配達手配などが簡単にできる会員制サービス「クロネコメンバーズ」に登録した。きっかけは、新居に引っ越してすぐの頃、実家の母親が送った荷物を受け取れなかったこと。平日は仕事が忙しく、不在届にも気付かないまま、1週間以上が過ぎ、送り主に戻ってしまい、心配した母親から「生きてるよね?」と連絡があった。そこでサービスを利用することにした。
クロネコメンバーズでは、荷物が届く前日までに何時頃配達するかをメールなどで知らせてくれる。不都合がある場合は、受け取る日時だけでなく場所も変更できる。所定の時間までに帰宅できないときは、最寄りのコンビニなど自宅以外の場所で受け取ることもできる。
通勤電車の中や仕事のちょっとした合間に再配達の手続きをすることができるようになり、「この前、祖母が荷物を送ってくれたときは、前日にお知らせのメールが来たので、今度は無事に受け取れた」。

宅配便の2割が再配達
国土交通省によると2016年度の国内宅配便の個数は約40億1900万個で20年前の約3倍。右肩上がりで成長し続けるインターネット通販市場に伴い、取扱量が増えている格好だ。このうち受取人の不在などで複数回配達しなくてはならない再配達は宅配便全体の2割を占めるとみられる。
とくに配達時間が集中するのは在宅時間と重なる夜間で、ヤマトは今年4月から当日再配達の締め切り時間を1時間~1時間20分繰り上げるなどして対応。人手不足にも悩まされる物流業界では、いかに再配達の回数を減らすかが、喫緊の課題となっている。そのため各社は、受け取りをサポートする無料のサービスをウェブ上で展開し、スムーズに受け取ってもらうための工夫をこらしている。
「LINE」で手軽に再配達手続き
日本郵便が提供する、無料通信アプリ「LINE」を使ったサービス「LINEで郵便局」は、事前に住所と名前などのIDと郵便局の公式アカウントを登録すれば、配達予定日の事前通知や不在通知などが自動で配信される。不在通知を受け取った場合、トーク画面で「再配達依頼」と送信するだけで、再配達の手続きを開始できる。今年7月からは、再配達の希望日時をワンタップで指定できるようリニューアルした。これまで希望日時をわざわざ手で入力していた手間がはぶけ、より手軽になった。現在764万人が登録しているといい、日常的にメールよりもLINEで連絡をとる機会が多い若者世代でも使いやすい。
佐川急便「WEBトータルサポート」も他社と同様配達予定の日時を配送前にメールで通知してくれるサービスを展開。メールを受け取った時点で都合のいい時間に変更することができる。(野口季瑛)