【お悩み相談】30代独身「一人で生きていく自信」とはどんなこと

お悩みアドバイザー・谷生俊美

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お悩み相談は、キャリア、恋愛、仕事と子育ての両立……働く女性の悩みや不安に、人生経験豊富な「お悩みアドバイザー」が回答します。

「一人で生きていく自信」とはどんなことでしょうか。わたしの祖母は、長い間一人暮らしをしていました。
また、私の妹は祖母と同様に、精神的に落ち込むことが多く、私は妹のことが苦手でした。
2人からお金を要求され、もめることも多く、「なんで楽しそうに生きられないのかな」と思っていました。
私も32歳独身、一人暮らしです。会社では明るい方だと思いますが、私は家族も含め、周りの人に、自分のことを話すことが、全くと言っていいほどできません。
それでも、たった一人、15歳のときからの友人にだけは、悩みを話すことがあります。
私は、少し依存的かもしれないほど、彼女のことが好きです。彼女とは、地方と東京で離れていても、月に1度会うくらい仲のよかった友達ですが、外出自粛もあって、なかなか会えなくなってしまいました。
彼女は、地元の実家に暮らしているため、寂しいと思うことはないみたいです。私が寂しいと思う時に同意してくれる人がいないことが、寂しいなと思います。コロナ禍もあって、家族とも疎遠になり、近くには連絡を取り合う人もいなく、最近、妹のように精神的に落ち込むことが増えました。
そんな中、祖母や親戚のことを思い出します。わたしも将来、陰うつな老人になって、遠い親戚にお金の無心をしたりするのかなと思うと不安です。そうはなりたくないのに、孤独感にさいなまれ、心が不安定になった時、どうするのがいいのでしょうか。
本を読んだり、映画を見たりしても、気持ちが晴れることはなく、これからくる更年期や、老後について、不安に思っています。
友達に話すのも迷惑かなと思うと、自分で解決できるようになりたいと思います。アドバイスがあれば教えていただけますか。(ハンドルネーム・8月)

A.心地の良い人間関係を増やして

ご相談文を拝読し、まず思ったことは、8月さんが一番必要としているものは、「心を許せる自分以外の人間とのコミュニケーション」だということです。印象的だった言葉があります。「私が寂しいと思う時に同意してくれる人がいないことが、寂しい」という一文です。実は、一人で生きていくことは寂しいことだ、という結論を経験などから導かれているのではないでしょうか。その上で、それでも、「友達に話すのも迷惑かなと思うと、自分で解決できるようになりたい」と思われているとのこと、自立精神を強くお持ちの真面目な方なんだなと思います。

提案があります。「一人で生きていく自信」を身に付けようと精神的に自分を追い詰めるより、「一人で生きていかなくてもいい人生」を今からでも全力で目指される、というのはいかがでしょうか。コロナ禍もあり、地元のご友人とも会えなくなり、ご家族とも疎遠になったことで、あなたは明らかに寂しいと感じているのです。

それは、心を許せる自分以外の人間との接触、心の通ったコミュニケーションが減っているからです。その結果、精神的に落ち込まれることが増えている、ということを自覚されているのですから、その対症療法を優先的に考えるのが有益かと思います。人間は弱いものです。一人でいると、気が楽な面やリラックスできるという利点もありますが、不安な気持ちにさいなまれたり、寂しさを覚えたりしてしまうのは、私も含めほとんどの人間に共通していることです。

自分一人で抱え込まなくてもいいのです。あなたは「会社では明るい方」なのですし、他人とのコミュニケーション自体をうっとうしく感じられているわけでもなさそうです。コロナ禍の制約はあるものの、少しずつ「新しい日常」の過ごし方も一般的になってきています。仕事やプライベートのいかんを問わず、少しでも気の合う人、好感を持てる他人を見つけて、交流されてみてはどうでしょう。そこから思いもかけない友人やパートナーシップ、交際関係に発展するかもしれません。

ひとつ気になったことがあります。「自分のことを話すことが、全くと言っていいほど」できない、ということです。それがなぜなのか記載がないので想像でお話しすることをお許しいただくと、「私の話なんかに興味をもってもらえない」「自分のことをさらすのは恥ずかしい」「退屈な人間と思われたり、バカにされたりするのでは」といったお考えがよぎるのでは、と推察します。確かに、そういった展開になる人間関係や会話も当然存在します。

ただ、断言しますが、この世界のほとんどの人は、あなたや私とそれほど変わらない「普通の人」なのです。一般的に天才といった形容をされる人たちでさえ、普通の人間ですし、むしろ「偏屈」だったりします。つまり、自分をさらして話をすることは、何一つ恥ずかしいことではないのです。若かりし日、私自身も、「へんこ(関西弁で変なヤツの意味)」と言われて傷つき、引きずっていたことがありましたが、「世の中の卓越した人間はみんな変なんだ」という映画の一節に計り知れない勇気を得て、ポジティブに人生を生きられるようになっていった経験もあります。いちいちその時の相手の反応を気にする必要はありません。本音でぶつかり合える方が心は通わせやすいものです。仕事などの利害関係がない他人同士だと一層その傾向は強まります。15歳からのご友人ともそうした関係なのだと思います。その方と友情を育めているのです。ほかの人とできないわけはないと思います。

どうか、幸せな老後を過ごすためにも、笑顔を忘れずハッピーでいてください。そして心の扉を解き放ち、外部からの新鮮な空気を入れてください。「密な空間」にずっといると増えるのはウイルスのような不安感だけです。繰り返しますが、8月さんに必要なのは、「心を許せる自分以外の人間とのコミュニケーション」です。そのために、「別にいいんだ、私は私でしかないんだから」と自分を肯定し、抱きしめてあげることです。「一人で生きていく自信」を体得しようとするのは、あらゆる努力を重ねた上で、結果そうなってからでもいいと思います。

8月、夕立がやんで、少しだけ暑さが和らいだ新鮮な空気に包まれる瞬間のような、心地の良い人間関係を少しでも増やし、8月さんが心穏やかに過ごされる日が一日も早く来ることを願っています。

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谷生俊美(たにお・としみ)
 

日本テレビ映画事業部プロデューサー。神戸市出身。東京外国語大学、同大学院博士前期課程(修士課程)修了後、2000年、日本テレビに入社。報道記者として社会部、外報部(現・国際部)カイロ支局長を歴任。12年、編成局に異動し、「金曜ロードSHOW!」プロデューサーとして勤務。トランスジェンダー女性であることを明かし18年10月から「news zero」のゲストコメンテーターに。12月、事業局映画事業部に異動し、映画製作に関わる。