宅トレ系YouTuber・竹脇まりな 自分自身の価値で勝負

30代の挑戦

奥西義和・撮影

人気フィットネス動画クリエイターの竹脇まりなさん(30)は元会社員という経歴の持ち主だ。自分のやりたいことに正面から向き合い、組織に頼らなくても個の力で勝負できる自分でありたいと、行動し続けてきた。

夫の考え衝撃

大学卒業後、大手金融会社に入社。営業や人事部の新卒採用を担当し、約6年間勤めました。入社当時は安定志向。したいことより、福利厚生や女性の働きやすさで就職先を選びました。

仕事はやりがいもあって楽しかった。でも、「このままでいいのか」ともやもやした思いにとらわれ、悩みすぎて体調を崩したこともありました。

そんな私に影響を与えたのは、入社5年目の時に結婚した日系アメリカ人の夫でした。当時、外資系金融機関に勤務し、リーマン・ショックで解雇された経験があります。「会社のブランドがなくても、自分自身で勝負できるか」を常に考えている人で、会社の知名度イコール自分の価値だと思っていた私の価値観は大きく揺さぶられました。

自分はどう生きたいのかを考えた時に浮かんだのが、地元の秋田で30年以上フィットネス講師をしている母。幼い頃、自宅で振り付けを考える母の姿を見て、母のようにいつまでも美しく、体を動かす仕事をしたいと思ったのです。

2017年12月、ヨガ講師を目指すため退職し、単身アメリカとインドに渡ってヨガを学びました。約4か月後に「仕事するぞ」と鼻息を荒くして帰国。ヨガ講師として東京都内のスタジオに応募したものの、書類審査すら通らずじまい。2年以上の実務経験が必要でした。やっとのことであるスタジオに入りましたが、収入は安定せず、自立できないつらさを味わいました。

そこで自分で集客しようと、会社員時代のように飛び込みでカフェに営業し、開店前の店舗を無料で借りてレッスンを行う代わりに、受講生には終了後にカフェでランチを食べてもらうシステムを提案。協力店舗が広がり、受講者も増えました。

動画で楽しく

18年12月、夫の仕事の都合でニューヨークに移ったのを機に、活動の場をYouTubeに移しました。

動画作りで心がけているのは、運動経験のない人も楽しめること。視聴者と楽しい時間を共有できる友だち的な存在でありたい。当初のタイトルは「アラサー健康ちゃんねる」で、同年代がターゲット。でも、子育てや介護など様々な理由でジムに通えない人も見てくれて、自宅で実践している。幅広い世代の反響があり、潜在的なニーズを掘り起こしたのかもしれません。

体も心も疲れていた20代、自分を押し上げてくれたのは運動でした。今年2月に帰国しましたが、これからもっと多くの人に、心と体の健康を伝えていきたいと思います。

◇ ◇ ◇

【取材後記】YouTubeのチャンネルで見せるのと同じ、顔いっぱいにはじける笑顔で、竹脇まりなさんは取材場所に現れた。
運動したいと思っていても、仕事や育児などに追われてジムに通う余裕がない人にとって、自宅で気軽に取り組める「宅トレ」はありがたい。息が上がりそうなトレーニングでも、画面越しの竹脇さんの笑顔に励まされて、「もうちょっと頑張ってみよう」と思う視聴者は多いことだろう。
取材には、チャンネルを共同運営する旦那さん(36)が立ち会った。話をうかがう中でそれぞれの口から自然と、互いの良いと思うところが飛び出し、仲むつまじい様子を垣間見ることができた。
「30代に入ってから、自分の得意、不得意が分かるようになり、人に助けを求められるようになった」と竹脇さん。竹脇さんの笑顔の秘密は、尊敬し合うパートナーシップにあるのかもしれない。(読売新聞教育部 金来ひろみ)

あわせて読みたい

竹脇 まりな(たけわき・まりな)

1989年、秋田県生まれ。夫と2人でYouTubeチャンネル「Marina Takewaki」を運営。チャンネル登録者数は150万を超えた。