働く女性に聞く、それぞれの新しい日常「ニューノーマル」

わたしのニューノーマル

川上久美子さん(写真・吉川綾美)

新型コロナウイルスの影響で、働き方やライフスタイルに変化が求められている。女性向けサイト「OTEKOMACHI」で連載している働く女のランチ図鑑に登場した30代の女性3人に、それぞれの新しい日常「ニューノーマル」について聞きました。

仕事も家庭も 気負いすぎない…ミクシィ 川上久美子さん(36)

ビューティー系アプリのデザイングループでマネジャーをしています。オフィスは「渋谷スクランブルスクエア」(東京)の28~36階。今年1月に入居したばかりでしたが、2月からテレワークになりました。

子育て中なので、コロナ前は仕事を早々に切り上げてはデパートの地下で総菜を買って急いで帰る、慌ただしい日々でした。周囲から「子どもは母親が面倒をみた方がいい」などと言われることもあり、仕事を辞めようかと悩んだことも。それが、夫婦でテレワークになって家族に向き合う時間が増え、仕事と子育ての両立の仕方も変わりました。

テレワーク中に、小学3年生の息子が「家にいるのにかまってくれない」とぐずったことがありました。「家で仕事をする理由」や「なぜ仕事をするのか」といったことを丁寧に説明しました。これまでだったら、仕事をする姿を見せることも、話して聞かせることもなかったはずです。

ゲームばかりしている息子にいらだつことも。でも自分が仕事に集中するためには、仕方ないと黙認しました。仕事でも、家庭でも「ちゃんとしすぎない」と割り切りました。できないことを探して文句を言うのではなく、できることに感謝するようにしました。仕事と子育てがより密接になり、様々な出来事をおおらかに受け止められるようになった気がします。

週1ウェブ雑談 仲間との潤滑油…イケア・ジャパン 大島真理さん(38)

大島真理さん(写真・安藤光里)

「ついに犬を飼い始めたの」「仮想背景の壁紙のビーチ、夏にぴったりね!」

週1回30分ほどのオンラインフィーカ(スウェーデン語でコーヒーブレイクの意味)で、仕事のチームメンバーとの雑談に花を咲かせます。会社が始めた取り組みですが、参加は自由。お気に入りの飲み物を片手に、以前と変わらないみんなの笑い声を聞いていると、なんだかホッとします。

新規店舗のインテリアデザインを担当していて、6月8日に「IKEA原宿店」をオープンしました。冬には渋谷店の開店があり、準備に追われています。

オンライン会議は、対面の時より一つの議題に集中できて効率的です。ただ、議題以外のちょっとした仕事の話がしづらい。だから、オンラインフィーカは、店の開店時の様子を共有したり、小規模な会議を対面にするかどうか尋ねたりできて、貴重なコミュニケーションの場になっています。

ウィズコロナ時代の新しいコミュニケーションツールを使って何ができるのか、みんなで可能性を探っていきたいと考えています。

趣味充実 新しいアイデアに…パナソニック 東江あがりえ麻祐さん(30)

東江麻祐さん(写真・安藤光里)

デザイナーとして、会社の持っている技術を新しい事業に結びつけるヒントを探るのが仕事です。3月からテレワークになり、通勤や身支度に費やしていた約3時間を趣味に充てています。

自宅にある手回しろくろと電気窯を使って、陶芸に没頭。以前はボタンを作るぐらいでしたが、今はコップや照明のフード作りにも挑戦できています。びっしり並べた作品を眺めていると、充足感があります。

(写真は本人提供)

「最近どうしてる?」。外出自粛期間中、友人からそう聞かれる機会が増えました。陶芸作品の写真を見てもらうのが、やりがいになっています。シェアリングサービスなどの普及でモノを持たない生活に憧れていましたが、自分にとってかけがえのないモノに囲まれていたいと思うようになりました。

自粛や規制のある日常の中で、いかに豊かな時間を過ごすかを考えることで、多くの人に夢と快適さを与えるアイデアが生まれたら。先行きの見えない未来は不安を覚える一方で、可能性も広がると信じています。

自分の基準 どこに置く?

小野陽子・横浜市立大学データサイエンス学部准教授

私たちは今、これまで「ノーマル」と思っていたことを、なぜそうとらえていたのか見直す局面に立っています。考えてみれば、働く女性は、常に「ニューノーマル」を探ってきたと言えるかもしれません。

キャリアを目指す女性の場合、ある年齢になると、幼少期からのがんばる方向性を外圧によって変化させられることがあります。「結婚しないの?」「子どもは?」といった声によって、これまで自分が「ノーマル」だと思っていた景色と、まったく異なる空間に飛ばされるようなことがあります。その度に、自分の進む方向性を問い直すことになります。

データサイエンスは、数理科学、統計学、情報科学を用い、社会の課題解決を目指す学問です。ビッグデータなどと言われる世界中の多種多様なデータを基に現状を分析し、近未来の社会像を予測するのです。

横浜市立大データサイエンス学部の小野陽子准教授

新型コロナ後の社会では、働き方、学びの方法、人間関係など新しい生活様式を迎えるために、人々は男女関係なく自分の価値観や基準をどこに置くか、自分で決めることが求められるでしょう。報道やインターネットで知る情報や、そこに示される個々のデータに振り回されることなく、自分のスタンダードと照らし合わせ、冷静に読み解き、柔軟に行動することが大切です。

◇◇◇

OTEKOMACHIでは、「ニューノーマル」について、実践例や意見を募集しています。名前、年齢、性別、職業を明記し、メールでotekomachi@yomiuri.comへ。7月20日まで。投稿内容はサイトなどで掲載されることがあります。