【お悩み相談】夫の転勤後も仕事を継続したいが、子どもを甘やかす実家を頼ることに迷い

お悩みアドバイザー村木厚子

画像はイメージです

 小2と3歳児がいる、都内在住・30代のワーママです。今は夫の会社の社宅に住んでいますが、あと数か月で夫が転勤するため、退室しなければならなくなりました。
 私は仕事を続けたいし、約3年で戻ってこられるので、仕事は辞めず、夫には単身赴任してもらおうと考えています。
 そこで、夫がいない間、実家の近くに住もうかと考えています。私の実家は、通勤可能な距離にあります。両親は元気で、「何かあったときに気軽に行けるので、近くに住んだら?」と誘ってくれています。
 でも少し不安があります。というのも、私の両親が孫にすごく甘く、おやつの与え方から始まり、勉強への声かけ、言葉遣いなどのしつけも全くしません。
 私が出張しているときも、テレビを一日中見せているか、スマホを渡してそれで遊ばせています。 親に止めてほしいと言っても、「たまにだから、いいじゃない」と言います。
 子どもも、おばあちゃんがしからないのをわかっていて、宿題なども全くやりません。 実家の近くに住めば、親に頼る機会は増える一方、子育ての面で大きな不安が残ります。昔から「ばあちゃん子は三文安い」といわれるとか。実母のことは好きだし、頼りたいけれど、四六時中お願いはしたくないと思います。
 日ごろから、夫の帰宅が遅いので、平日も休日も子どもの世話や家事・育児をほぼ一人でやっているので、単身赴任による不便は感じません。夫が長期出張の時は、こんなに快適なのかと驚いたくらいです(夫には言えませんが)。
 保育園と学校には学童保育があり、仲の良いママ友もいて、頼れる人がいない時はお互いに助け合っています。 多少無理してでも、一人でがんばって仕事と子育てをするべきでしょうか。それとも、素直に実家に甘えて、実家近くに家を借りて放課後などは子どもの世話をお願いするべきでしょうか。 ワンオペで大変な人が多い中、ぜいたくな悩みかもしれませんが、どうしたらいいのでしょうか。(ハンドルネーム・カヌレ)

A.突発の事態に備え、ゆとりある態勢を

 お子さん2人を育てながら仕事を続ける姿勢が、とても自然体で、すてきですね。ご両親を頼るかどうか、なかなか悩ましいところですが、あなたなら、きっとよく考えて、いい選択をされると思います。いずれにしても、「正解」といったものはないと思うので、判断をする上で参考になるかも、と思う私の経験をお伝えします。

 我が家の場合、転勤による夫婦の別居期間は2年半でした。上の子どもが生まれて、2歳になったころに別居がスタートして3歳半ごろまで続きました。最初の1年半は、私が娘を連れて東京から島根に転勤。残業のない職場だったので、保育所に預けて、それにプラスして、時々ある出張や夜の付き合いの時に子どもの面倒を見てくれる方を探しました。

 職場の人もみんな「子連れ赴任」のわれわれ母子のことを気にかけて親切にしてくれて、職場の飲み会は子連れ参加OKでした。この1年半は、母子で一緒に暮らした「濃密」な時間として今でもよい思い出となっています。

 次の1年は、私と娘が東京に戻り、夫が地方転勤という形の別居。私の仕事が忙しく残業続きで、保育所と保育ママさんの二重保育の体制を作ったにもかかわらず、大変厳しい状況になって、子どもにもさみしい思いをさせました。この時は、本当に親の助けがあればとつくづく思いました。

 あなたの場合も、これからの仕事の状況を考えながら、子どもの病気など突発的な事態が起きたときのために、「少しゆとりのある態勢」を作っておかれるといいと思います。

 もう一つ忘れてはいけないのは、面倒を見てくださるご両親の視点です。私の娘夫婦は共働きで、保育所に通う4歳と2歳の子どもがいます。近くに住んでいるので、時々子どもたちの面倒を見るように頼まれます。もちろん孫はかわいい。でも孫の面倒を見るには気力、体力が必要です。やってみると、自分たちの体力や気力の範囲内で、孫たちとできるだけ「平和な時間」を過ごせるようにするのが精いっぱい。しつけ、栄養バランス、勉強などと言われると、これは相当な負担になってきます。

 実は、我々夫婦には苦い経験があります。かつて、2人目の子どもができた時に、夫の両親が、近くに住んで、保育所が終わった後の時間、子どもたちの面倒を見てくれました。しつけや食事のバランスなどとても気を使ってくださって、本当にありがたかったのですが、毎日のことで大きな負担になったようで、体調を崩してしまいました。

 「孫は来て良し、帰って良し」とはよく言ったもの。もし、ご両親を頼るとしても、日常の保育に組み込んでしまうのではなく、病気や、不意の残業など緊急の場合に限るなど大きな負担にならないようにしてはどうでしょうか。それより、親子で遊びに行って、親子ともどものんびりさせてもらえば、ご両親にとっても、あなた方親子にとってもいい思い出になるでしょう。もちろん、しつけは親の責任です。私が見る限り、「三文安い」おじいちゃん子、おばあちゃん子はいません。みんな優しくていい子に育っています。

 どういう選択をするにしても、一つ、ぜひお伝えしておきたいことがあります。働きながら子育てをすると、どうしても、いろんなことを「効率的にしなくては」とか、家事、育児を「きちんとやろう」と思いがちです。でも、今振り返ってみると、大切なことは、子どもたちが、「あの時、〇〇して楽しかったね」「お母さんに〇〇してもらう時間が好きだった」と思い出せるような楽しい時間、楽しい思い出作りをすることのようです。それがあれば、自分は親に愛された、自分は価値のある人間だと思えます。家事は少しさぼって、お子さんと楽しい時間を過ごしてあげてください。(村木厚子さんの担当は今回で終わりです)

村木厚子(むらき・あつこ)
津田塾大学客員教授

 元厚生労働次官。伊藤忠商事社外取締役。1955年生まれ。高知県出身。78年に旧労働省に入省。2009年に郵便不正事件で逮捕されたが、冤罪とわかって無罪になり、厚生労働省に復職した。17年4月から現職。

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