【お悩み相談】コンプレックスが多すぎて今まで恋愛経験がありません。どうしたらいい?

お悩み相談アドバイザー・谷生俊美

 割と裕福な家庭に生まれ、過干渉な親に育てられました。一方で、親に依存もしていたと思います。中高大と女子校に通い、卒業後は実家に住みながら、大企業の地方支社で派遣社員として働いていました。その後、仕事ぶりが認められ、正社員に昇格しましたが、プレッシャーと、自己肯定の低さ、その上、注意欠陥・多動性障害(ADHD)傾向もありました。
 現在は、母親との距離を取るため、都内の企業に転職し、ADHDの治療も受けながら一人暮らしをしています。長々と生い立ちを書き連ねましたが、相談は、自分へのコンプレックスが多すぎて、今まで恋愛経験がないことです。あこがれの気持ちはあっても、相手に好意を持つことがなく、逆に好意を持たれることに、嫌悪感があります。自分の性的指向も同性なのか異性なのかもわかりません。
 自分と向き合い、一歩ずつ自立した生活を送っているという自覚はあるのですが、こと相手ありきの恋愛に関しては、母親からどう見られるか、自分の「性」への羞恥心が強いなど、いろいろ頭の中で考えすぎて、まとまりません。
 自己分析をすると、理想が高い、潔癖気味、依存気味、自尊心が強い……などコンプレックスばかりです。恋愛をするしない、結婚をするしない、子供を持つ持たないと、多様性が重視される昨今、私には選択肢が少なすぎます。恋愛とはなんなのでしょうか? こんな私でも恋愛することはできるのでしょうか?(ハンドルネーム・ゆかのいろ)

A.人生という物語の主語は常に自分

 恋愛とはなんなのか、私にもよくわかりません。一般的にはセクシャルな欲求を伴う他人への関心や興味、特別な愛情を持つことやそうした関係を指すのかもしれません。ただ、多様なセクシャリティーのあり方が認識され、また許容もされつつある今日では、あまりその定義などを考えることに意味はないと思います。まずこの点について、考えすぎるのはやめましょう。

 ご相談を拝読して、自分のことを客観視して見られている真面目な方だなという印象を持ちました。過干渉気味なお母さまから自立を目指し、一人暮らしを開始したり、治療を受けたりと、自分の力で人生を前向きに変えようと努力をされているのはすばらしいと思います。

 派遣社員から働きぶりが認められて正社員に昇格されたことからは、仕事もできる方であるとうかがえます。それでも、「母親からどう見られるか」を気にしていろいろ考えてしまうのですね。おそらくあなたは、裕福で幸せな家庭を築かれたお母さまへの畏怖の念が大変強いのでしょう。だから、あなたに恋愛を意識する相手がいたとして、自身の感情よりもお母さまにどのように思われるか、評価されるかということが気になってしまい、そこで全ての感情の扉を閉じてしまっているのだと思います。

 あなたの人生はあなた自身のものですし、人は誰しも自分の幸せの最大化のために生きているのだ、と私は考えています。両親の幸せや満足のために、自分自身の気持ちや幸せが阻害されるのは、本末転倒なのです。あなたは、お母さまに喜んでもらったり、評価されるために生きているのではないのです。例え、あなたが選んだ道がお母さまの気に入らないものであっても、あなたが幸せであれば、それでいいのです。人生という物語の主語は常に自分だからです。

 性的指向についていえば、異性を好きになるかもしれませんし、同性かもしれませんし、あるいは両方かもしれません。性的欲求を感じない「アセクシャル」や、性欲はあるけど恋愛感情を持たない「アロマンティック」という人もいます。そのいずれでもいいのです。あなたが幸せであると感じることができるのであれば。「(周囲、母から)どう見られるのだろう」という感情や自意識など、あらゆることからあなたは自由になるべきなのです。その時、あなたの前には無限の選択肢が広がっているでしょう。

 自分の興味があるもの、人、事などを素直に受け入れ、心の赴くままに楽しんでみることをお勧めします。その先に、恋愛でも前向きな展開があるかもしれません。

 自由になって、感情の扉を開け放ちましょう。きっと幸せへの清流や爽やかな希望の風があなたの心に入ってくるはずです。どうか曇りなき心で、あなたの内なる声に耳を澄ましてくださいね。

谷生俊美(たにお・としみ)
 

 1973年9月26日生まれ。神戸市出身。東京外国語大学、同大学院博士前期課程(修士課程)修了後、2000年、日本テレビに入社。報道記者として社会部、外報部(現・国際部)カイロ支局長を歴任。12年、編成局に異動し、「金曜ロードSHOW!」プロデューサーとして勤務。トランスジェンダー女性であることを明かし18年10月から「news zero」のゲストコメンテーターに。12月、事業局映画事業部に異動し、映画製作に関わる。

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