【お悩み相談】このまま年を重ねて死んでいくだけだと思うとむなしい

お悩み相談アドバイザー押切もえさん

 フルタイムで働いています。私の職場は、私の前後の年で新卒採用をしなかったこともあり、先輩後輩とそれぞれ10歳ほど離れています。中堅社員は私しかおらず、あらゆる仕事がふってきます。先輩たちは私に仕事を引き継いでいきます。自然と私に仕事がたまっていくという構造です。
 本来であれば、下の代に引き継ぎたい仕事もあるのに、それができません。部の飲み会のイベントなど、毎回私が幹事です。たまには他の人にやってほしいけど、言えません。
 本当は仕事以外にも時間を使いたいのです。例えば、ジムに行ったり、友だちと食事に行って、仕事以外の人生を充実させたいのです。パートナーを見つけようという気力も起こりません。時々、このまま年を重ねていくだけなのかなあと思うとむなしくなります。
 毎日があっという間に過ぎていきます。このままあとは死んでいくだけだ、という気持ちになります。
 しかし、人生100年だと思うと、あと50年以上は生きるわけですから、もう少し前向きに生きたいとも思います。どうしたらいいでしょうか。(ハンドルネーム・狭間世代)

A.感情的にならないように相手に伝えて

 お悩みを拝読して、先輩と後輩に挟まれた立場で任される業務が多く、息抜きの時間も取れずに、かなり疲れがたまっている様子がひしひしと伝わりました。

 時々、友達やパートナーなどに話を聞いてもらえれば、もう少し気持ちが軽くなるかもしれないのに、それも許されない状況。長い間、たいへん息苦しい思いをされていることとお察しします。

 こちらを読む限りでは、会社の基本の仕事に不満があるとか、会社自体を辞めたいということではなさそうですね。自分がやらなくてもいい業務を分担してもらって、ご自身の時間を少しでも取り戻せるといいですよね。

 狭間世代さんはご自身で、どんなふうに今の状況を変えたいかをご存じのようです。苦しい状況の中、この点は強みであるように感じました。

 「下の代に引き継ぎたい仕事がある」「イベントなどの幹事をたまにはやってほしい」「仕事以外の時間も充実させたい」。このような願望が明確に書かれていますが、「できない」「言えない」とおっしゃっている。内容を整理すると、こちらがクリアされればお悩みの解消へ近づくように思えます。

 「できない」「言えない」理由については書かれていませんでしたが、推測できる理由としては、「上司が怖い人で、自分の意見など口に出せない」「それどころかむしろ後輩の方がとんでもなく怖い人で(以下同文)」「とにかく誰にも嫌な顔をされたくない」、「自分勝手だと思われたくない」「もはや疲れてすぎていて言う気力もない」……などがあるでしょうか。年も離れている会社の方々に、自分の思いをストレートに伝えるのはきっと難しいですよね。

 私自身も20代の頃は、自分の意見や主張を仕事関係の人に伝えることへ苦手意識を持っていました。あまりにも悶々もんもんとした思いを一人でためすぎたせいで、伝える段階になって心の余裕を失い、相手のちょっとした反応を見逃してしまったり、お互いに真意が伝わらずに誤解を生んでしまったりして交渉が失敗に終わったこともあります。

 でもその反省を踏まえて、どうしたら自分の意見や言いにくいことを誤解のないように伝えられるのか、よく考えるようになりました。

 具体的にやってよかったのは、基本的なことばかりなのですが、まず自分の思いを客観的に見つめること。利己的すぎてはいないか、思い込みはないか、などいろんな角度から見直します。

 次に、相手の気持ちに寄り添いながら伝えていきます。そのためにも、最初から最後まで決して感情的にならないように。

 できれば、「私にもう少し時間を与えてくれれば、会社にとってより良い仕事に集中できて、全体の効率も上がる」など、話を聞いてくれる相手にもメリットになるような点を考えてから伝えると、なお良いと思います。

 最初からうまくいかなくても、伝わる、と信じて気持ちを込めて相手と向き合えば、きっと熱意はくみ取ってともらえるんじゃないでしょうか。

 実際、私の場合は伝えた後、自分の想像していた以上に相手の反応が良く、「もっと早く伝えればよかった」と思ったことが多々あります。「いやな顔をされるかもしれない」というのは単なる自分の思い込みだったのです。伝えなくては、まるでわかってもらえないことってあるんですよね。相手も、狭間さんが「今、この状況でいい」と思っているから何も言ってこないのだろう、と思っている可能性もありますから。

 ちなみに、イベントの幹事などは私もよく担当するのですが、そのおかげで周りの人の好みやお店、トレンドなどに詳しくなるという利点があります。細々としたトラブルにも見舞われたこともありますが、それも含めて楽しんでいると、予想もしなかったところで誰かが見てくれていたり、そのスキルが役に立ったりすることがあります。

 誰かの食の好みに思いを巡らせたり、みんなが来やすい場所を考えたり、予算に応じてお店の方と交渉したりと、狭間さんが皆さんのことを思って行動したことは、相手にも少なからずきっと伝わっているんじゃないでしょうか……。まあ、でも、これは余談で、もうやりきったというなら他の人に交代してもらうのがいいですね。

 今回の場合は、何か一つの大きな問題というよりは、一つ一つの悩みが積み重なって、相談者さんの心を重くしているように感じました。その一つ一つをひもとくように、「なぜいやなのか」「それがどう変われば自分にとって良いのか」「そのために自分は何ができるのか」を考えていくと、少しずつ解決していくのではないかと思います。同じことをぐるぐると考えてしまうようなら、紙に書き出して整理してみるのもいいかもしれません。

 たくさんのお仕事を担当されている狭間さん。そんなあなたがもし体を壊して会社を辞めるなんてことになれば、皆さんも困るはず。まずは、やんわりとでもいいので、少しずつ行動してみましょう。

押切もえ(おしきり・もえ)
モデル、小説家

 1979年生まれ。千葉県出身。雑誌「Popteen」などの読者モデルを経て、女性誌「CanCam」、「AneCan」の専属モデルとして活躍。2013年小説「浅き夢見し」で小説家デビュー。16年には小説「永遠とは違う一日」が山本周五郎賞にノミネートされた。15年、16年、17年と3年連続で「二科展」で入選するなど、多方面で才能を発揮している。

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