【お悩み相談】仕事が長続きしない。なぜかヒステリックな人物を引き寄せてしまう……

お悩み相談アドバイザー村木厚子

 何度か転職をしていますが、私の行く先々でいつも、ヒステリックな人と一番近い距離に配属されます。事務職なので、一日中、問題ある人物と一緒に過ごすことに耐え切れず、数年で退職してきました。そんな中、今の仕事ももうすぐ辞めることが決まりました。次の仕事は見つかっていませんが、心を病んでしまいそうなのでギブアップしました。仕事を紹介してくれる知り合いもおらず、いつもハローワークの求人に応募するだけなので、ブラック企業かどうかを見極められず、同じ運命になってしまうのかもしれません。ヒステリックな人物を引き寄せてしまうのは自分に非があるのかと悩み、次の仕事を探す気力も今はなく、しばらく休養したいと思っています。この運命から逃れ、仕事で落ち着くためにどう改めたらよいでしょうか。(ハンドルネーム・りんこ)

不愉快な言動を繰り返し思い出すのは自分

 それは災難でしたね。あなたの性格も、相手がどんなふうにヒステリックなのかも、詳しいことがわからないので一般論になってしまいますが、参考になりそうなことを整理してみました。

 まず、心にダメージを受ける程度は、一つは外からの攻撃の強さ、もう一つは受け止める側の感度の大きさで決まるといいます。そうすると対応も二つの方向から考えることができます。一つは相手の攻撃を弱める工夫です。

 職場にだれか味方はいませんか。ご相談の中に、ほかの職場の人が登場していませんが、ヒステリックな人の被害に遭っているのはあなただけではないかもしれません。あるいは、あなたへのその人物のヒステリックな対応を内心、心配してくれている人がいるかもしれません。そういう人も、あなたが何も言わないと、「まあ大丈夫かな、本人が何も言ってないんだから」と、何も行動を起こしてくれません。会社が対応してくれる可能性もあります。誰かに話をしてみてはどうでしょう。本人に注意するといったことだけでなく、担当を変えたり配置を変えたりということができる場合もあるかもしれません。そこまでいかなくても、みんな迷惑しているということを確認できれば、ずいぶん気が楽になります。辞めるところまでいく前に、行動を起こしてみてはどうでしょう。

 もう一つは、あなた自身の受け止めです。迷惑な人がいても、不愉快なことを言われても、あまり気にしない人ととても気になる人、個人差はありますよね。自分を守るという観点からは、あまり気にしない方が楽に決まっています。でも、あなたの場合、きっと、気にするなといわれても気になる優しい性格なのですよね。だとすると、ほかに気になること、ほかに夢中になれることを作っておくと、嫌なことを考える時間を少なくできます。

 バレーボール日本代表チームの主力選手だった三屋裕子さんが興味深いことを教えてくれました。三屋さんは現役引退後、実業界に転身します。そこで、大変に意地悪な人に出会ってしまい、とても不愉快なことを言われたそうです。彼女は何度も何度もそのシーンを思い出しては、悔しい思いをかみしめたといいます。ところがある日、はっと気づいたのだそうです。その人物が、その不愉快な発言をしたのは一回、あとは全部自分がそれを繰り返し思い出していた、自分で自分をいじめていたのだと。繰り返し不愉快なことを思い出してしまうのを意図的に減らすというのは、効果があると思います。

 また、心の問題の専門家に聞くと、思い出すにしても、それを言われた時の自分とはちょっと違う角度から、少し好奇心をもってその状況を思い出すと、そこを乗り越えるきっかけになるとのこと。ああいう時の自分の反応の仕方って、いつもああなるけど、こういう性格が影響しているからかなあ、あの人、なんでああいう言い方しかできないのかなあ、きっとこういう背景があるんだろうなあとか。ちょっとだけ、客観的になってみるということでしょうか。

 いずれにしても、仕事を辞めなければならない状況になったことは悔しいとは思いますが、経済状況のいい今は、転職にとっては良い時期です。じっくり、いい仕事を探してください。

 ヒステリックな人物をあなたが引き寄せるなんてことはあり得ません。ただ、性格の悪い人は、心の弱っている人を見つけるのが上手かもしれません。まずは、あなたが元気でいることが大事です。そして、自分一人で戦えないときは、誰かにちょっと助けを求めてみましょう。

村木厚子(むらき・あつこ)
津田塾大学客員教授

 元厚生労働次官。伊藤忠商事社外取締役。1955年生まれ。高知県出身。78年に旧労働省に入省。2009年に郵便不正事件で逮捕されたが、冤罪とわかって無罪になり、厚生労働省に復職した。17年4月から現職。

  *村木厚子さんの本が出ました。タイトルは「日本型組織の病を考える」で、8月10日発売、角川新書、税別840円です。今年1~3月に読売新聞紙上で連載した「時代の証言者 『冤罪のち次官』 村木厚子さん編」を大幅に加筆・再構成したほか、公文書の改ざん、隠蔽、セクハラなど、最近相次ぐ官僚組織の不祥事について、検察による冤罪事件に巻き込まれ、その後、厚生労働次官まで務めた村木さんが語っています。

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