【お悩み相談】職場で「後輩」から「先輩」に……重圧で押しつぶされそう

お悩み相談アドバイザー花房観音

 今まで職場では「後輩」の立場でしたが、最近、新人が入り「先輩」の立場になりました。少人数というより、人手不足の職場で、私と新人の2人きりになると、取引先からの問い合わせに、私が先輩として対応しなければならないのに、経験不足でわからないこともあります。常に気を張り、緊張状態が続いています。ストレスでつい食べすぎ、体重が増えてしまって医者にもやせるよう注意されてしまいました。疲れから帰宅してもやる気が起きず、すぐに寝てしまい、家事もできません。自分にも新人時代があったのに、繁忙期には、積極的に仕事を覚えようとしてくれない新人に、ついイライラしてしまいます。そんな自分がイヤになります。上司は女性同士のほうがうまくいくと思っているらしく、傍観しています。一通り仕事を覚えた中堅社員としての重圧に押しつぶされてしまいそうです。どうすれば気持ちが楽になれるでしょうか?(ハンドルネーム:ちい)

A.できなくて当たり前

 数年前、私がまだ会社勤めをしていたとき、大きなミスに気づき、急いで先方に電話で変更を伝えました。相手は大ベテランで仕事に厳しい人なので、怒られるのが怖くて震えながら、とにかく謝りました。その際、そのベテランさんは私のミスを、ひとこと「誰にでも間違いはあります」と言うだけで済ませてくれました。その言葉で、私は安心しながらも、2度と同じミスをしないように自分を戒めました。感情的になることもなく、冷静に口にされたその言葉を、今でも何かある度に思い出します。

 あなたが先輩という立場になって気を張り、重圧に苦しんでいるのは、先輩として完璧にやろうという責任感と使命感が強すぎて、失敗を怖がっているからです。冷静に周りを見てください。先輩だって、上司だって、30代、40代、50代と、年齢を問わず、普段どんなに仕事ができる人だって、ミスや間違った判断をすることがあります。あなたは今まで後輩の立場だったのですし、まだ20代で、わからないのが当然、できなくて当たり前です。

 新人にイライラするのは、自分の強い責任感と使命感を後輩にも期待してしまっているからです。自分に厳しいから、他人にも厳しいし、失敗することを恐れすぎてストレスになっています。

 自分が思うほど、他人はあなたに仕事の完璧さを求めていません。「誰にでも間違いはある」のが、当たり前なのです。周りはあなたを信頼してはいるでしょうけれど、その信頼は「全く間違いなく完璧に仕事をこなし、新人をきちんと教育する」ことではありません。あなたが教わってきたことを新人に教えて、そこからきちんと仕事ができるようになるのかどうかは新人次第です。もし失敗したとしても、あなたのせいじゃない。

 あなたの責任感と使命感の強さは性格だから、いきなり「気持ちが楽に」というのは難しいでしょう。でも、私がベテランさんに言われた「誰にでも間違いはあります」という言葉を、常に心に留めて何かやるときに思い出してください。そして後輩にも、周りの人にも、わからないことはわからないと、できないことはできないと伝えるようにしましょう。誰もあなたをパーフェクトな人間だとは思っていないし、そんな人はいないのだから。

花房観音
花房観音(はなぶさ・かんのん)
作家

 京都市在住。京都女子大学中退後、映画会社、旅行会社などに勤務。2010年「花祀り」で第1回団鬼六大賞を受賞し、作家デビュー。12年に発表した「女の庭」など、女の性愛や情念を描いた作品で注目を集める。近著に「うかれ女島」(新潮社)、「恋塚」(講談社文庫)、「くちびる遊び」(新潮文庫)、「わたつみ」(中央公論新社)、「楽園」(中公文庫)、「色仏」(文藝春秋)、「鬼の家」(KADOKAWA)など。花房観音HP花房観音御開帳

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