育児と家事で手いっぱい 周りから取り残されそうで焦る

お悩み相談アドバイザー村木厚子

 育児休業明けの30代。会社に戻ると、社外の勉強会や大学院に通う同僚が多く目について、焦っています。私は職場の仕事をこなすことと、育児と家事で手いっぱいで、時間も余裕もありません。このまま時間に追われているうちに、外部からの刺激やインプットが足りなくて、自分だけ取り残されるのでは、と心配です。もっと時間がほしい! これからの自分の仕事を考えて、私が今しておくべきことは何でしょうか。(ハンドルネーム:33歳)

A:心配無用! いつか追いつく

 ご相談を読んで、「今、何が欲しい?」と聞かれたら、迷わず「時間!」と答えていた30代のころを思い出しました。子育て真っ最中のその当時、女性の先輩たちがこんなふうに言って励ましてくれました。「30代は子育てとの両立で大変ね。40代は責任も重くなって、胸突き八丁。50代は、会社の中でこんなに自分の意見が通っていいのか怖いくらい。60代、定年後は天国よ」。私はこの言葉をお守りのようにして働き続けてきました。ちなみに退職して今は天国に。ただ、天国は思ったよりも忙しいところでした。

 結論から言うと、心配無用です! 私自身が長く組織の中で働いて、また、子育てをしながら長く働いた同僚たちを見ていて思うのは、産休や育休、短時間勤務などで仕事上の「経験」を積むことができず差がついてしまったように見えた人たちが、みんなやがて追いついていくことです。仕事も育児も楽しんで、長く働き続けてください。

 そのために、こんなことが役に立つのではないかと思うことをまとめてみました。

ワーママに役立つ4つのこと

1.お金で時間を買う

 可能な限り、家事や育児の時短・合理化をしましょう。わが家では、食洗器や衣類乾燥機、ロボット掃除機などをいち早く導入しました。料理は週末にまとめて作って冷凍したり、調理済みの食品も活用しましょう。家事の外注もありです。

 時間は、子どもが後から思い出して、とても愛されていたなあと思えるようなものに重点的に使うのがいいと思います。例えば、子どもの話をよく聞いてあげたり、一緒に絵本を読むとかでしょうか。「親に愛された記憶」は子どもの自信になります。

2.悩むときは生産的に

 職場に迷惑をかけているのでは…、みんなから取り残されているのでは…、いい母親ではないのでは…と悩むと仕事のパフォーマンスが落ちます。あなたにとっても職場にとってもマイナスなのでやめましょう。悩むときは生産的に悩みましょう。どうしたら、短時間で、いい仕事ができるか、子どもとしっかり触れ合えるかと悩みましょう。ただ、職場との貸し借りの感覚、つまり、今は借りている、いつか誰かにお返ししようという気持ちだけは持っていてください。

3.協力者を増やす

 パートナーがおられるなら、いかに家事育児をシェアするか、知恵を絞りましょう。親や、ママ友、ご近所、頼れる人を増やしましょう。子どもがたくさんのいい大人とふれあうチャンスにもなります。

4.自分だけの時間を大事にする

 私の場合、通勤時間は貴重な自分だけの時間でした。行きは新聞を読むために、帰りは、気分転換のために小説を読んでいました。トイレでもお風呂でも、出張の行き帰りでも、小さくても「自分だけの時間」を見つけて上手に使いましょう。

決してあきらめないこと

 一番大事なことは、やりたい仕事をあきらめないことです。長い職業人生、育児や介護、あるいは自分の病気など、どうしても、立ち止まって休んだり、スピードダウンをせざるを得ない時はあります。大切なことは、また歩けるようになった時に、しっかり歩きだすことです。どうせ遅れちゃったからと、そのあとずっとだらだら歩くというのが最悪です。職場にも、同僚にも迷惑が掛かりますが、あなた自身も「いい顔」でなくなります。今、ちゃんと悩んでいるあなたなら、こんな心配は無用ですね。

人生のハイライト楽しんで

 いろいろ書きましたが、そもそも、子育ては仕事にとってマイナスでしょうか。私の場合は、子どもができてから職場での評価が急上昇。「懐が深くなった」と言ってもらいました。「思うようにならないもの」の相手をして、視野が広がり、忍耐力がついたのだろうと思います。「仕事のストレスは育児で発散、育児のストレスは仕事で発散」で気分も安定、よいこともたくさんあります。

 誰かが言っていました。「人生のハイライトは、一人目の子どもの小学校入学式だ」と。ぜひ、人生のハイライトを楽しんでください。

村木厚子(むらき・あつこ)
津田塾大学客員教授

 元厚生労働次官。伊藤忠商事社外取締役。1955年生まれ。高知県出身。78年に旧労働省に入省。2009年に郵便不正事件で逮捕されたが、冤罪とわかって無罪になり、厚生労働省に復職した。17年4月から現職。

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