飲み会の「華」はいつも同僚の彼女、誘われないのがつらいです

お悩み相談アドバイザー花房観音

 絶望的な気持ちになっています。職場の飲み会のことです。同僚の女性は、酒の席で場を盛り上げるのに、私は話をしたりするのがあまり得意ではなく、人を楽しませたりもできません。それでも、公務員として、真面目に仕事をしていればいいと思っていました。それなのに、尊敬していた上司は、中央省庁の担当者や政治家の来る飲み会に、盛り上げ上手の彼女だけを誘いました。誘われた彼女は、私も一緒にと言ってくれましたが、上司は暗に私には断ってほしそうでした。私だってそういった飲み会に行きたいけれど、静かで盛り上げられない私は断ったほうがいいんでしょうか? 飲み会の盛り上げや愛想の良さで判断されるのはつらいです。(ハンドルネーム:糸)

A:「華」になるには正直すぎるあなた、卑屈にならず聞き上手で

 あなたの相談を読んで、私の人生で何度もあった光景が浮かんできました。飲み会の「華」になれる女性は、すっと躊躇ためらいなく偉い人の隣に座り、お酌をし、料理をとりわけ、たとえその偉い人の話がどんなに退屈でつまらなくても、愛想よく接します。

 私はそれができませんでした。女としてのコンプレックスが強く、私みたいな女が隣にいたら、楽しくないだろうと、なるべく目立たぬ端っこの方に座ります。私なんかにお酒を注がれたくないだろうと、お酌もしません。料理をとりわけるのも、人には好き嫌いや、食べたい量があるから、各自で取り分けたほうがいいと思って手を出しません。そして、面白くない自慢話などを聞かされ続けるのも嫌なので、「早く帰りたい」というのが表情に出てしまいます。

 当然、可愛かわいがられるのは、私ではなく、お酒の席を盛り上げ、お酌をしたり料理を取り分けて気をきかせて、偉い人を気持ちよくさせる女性です。また、世の中には、本当にそういう酒の場の「華」になるのに長 けている人がいます。

「華」や「つきあい」より重要なことがあります

 小説家になって、そういう世界から解放されたつもりでした。けれど、「偉い先生とは仲良くしとけ。仕事もらえるから」「コネは大切だから。飲み会には必ず参加しろ」と、親切のつもりの「アドバイス」をしてくる人がいました。実際に、愛嬌があり、誰とでも仲良くなるのが上手く、飲み会やイベントには積極的に参加し、電話やメールもマメで、そこから仕事をもらう人はいます。

 私はそもそも東京に住んでいないので、飲み会などには出られないのですが、それで重要な連絡が私だけ来ないことなどもありました。うんざりしたし、小説家にとって重要なのは、そういうことじゃないよなとも思って、きっぱりとそういうつきあいを断ち切り、とにかく書くことに専念しました。今のところ、それで仕事は途切れることなくもらっています。

劣等感や居心地の悪さが、周りに伝わっていませんか

 あなたの相談を読んで思ったのは、飲み会に同じ職場の彼女だけが誘われたのは、彼女が盛り上げるのが上手いという以上に、かつての私のように「私は人を楽しませられないつまらない女だ。私なんかいないほうがいい、邪魔だと思われている」という気持ちが表情に出ているのではないかということです。

 劣等感や卑屈さが、自分でも知らないうちに態度や表情に表れて、だから上司は、接待の席にあなたを誘わない気がするのです。多分、あなたは正直な人で、周りもあなたが飲み会で居心地悪いのを察しています。

態度に出さず、まずは笑顔で

 じゃあ、あなたはどうすればいいのか。簡単です。別に盛り上げなくてもいいから、とにかく明るい表情でにこにこしてください。決して、卑屈になったり、暗くなったりしないこと。それを態度に出さないように、気をつけること。そして、自分から話すのが苦手なら、聞き上手を目指せばいい。ホステスさんでも人気のある人は、話し上手より聞き上手です。飲み会の「華」にならなくていいけれど、とにかく暗い表情をしない。笑顔になるのは、とても簡単ですし、笑顔で損することはありません。寡黙でもいいから、まずそこからはじめてみませんか。

花房観音
花房観音(はなぶさ・かんのん)
作家

 京都市在住。京都女子大学中退後、映画会社、旅行会社などに勤務。2010年「花祀り」で第1回団鬼六大賞を受賞し、作家デビュー。12年に発表した「女の庭」など、女の性愛や情念を描いた作品で注目を集める。近著に「わたつみ」(中央公論新社)、「楽園」(中公文庫)、「色仏」(文藝春秋)など。花房観音HP花房観音御開帳

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