【お悩み相談】キラキラしない私の夏の予定を聞かないで!

お悩み相談アドバイザー村木厚子

 うちの職場では、休暇の予定をみんなに伝えることが慣例化しています。上司に「どこに行くの?」と聞かれるので、「お盆で帰省する」とか「家族旅行で沖縄に行く」とか。私は家でぼーっとしているのが好きで、聞かれてもキラキラした予定があるわけでもなく、実家も近くなので、帰省の予定もありません。正直に「家でのんびり」と言うと、「若いのに」などと言われます。同僚からは「雑談なんだから適当に流せば」と言われますが、面倒なので聞かないでほしいのです。(ハンドルネーム・マサ)

A:「キャラ」を確立するか、雑談力を鍛えるか……声をかけられる幸せもあります

 ご相談に、思わず笑みが浮かびました。我が娘の悩みに似ているなあと。「家でぼーっとしているのが好き」な娘は自称「引きこもり系」。職場でそれをわかってもらうのに苦労しつつ、確固たる意志でそういう「キャラ」を職場内で確立したようです。果たして、それで楽になったかというとちょっと微妙。「キャラ」が確立すればするほど、実像と異なる極端なイメージが勝手に独り歩きをしてしまうことがあり、それを修正するか、そのままにしておくかで、また迷いが生ずるようです。この点は、私の想像ですが……。

おじさんは「平凡な日常」を嘆きたい

 「雑談なんだから適当に流せば」という同僚の言葉はかなり的を射ています。「キラキラした予定」がある人はそう多くはなく、特におじさんたちは「平凡な日常」を嘆いて見せることにけっこう喜びを感じているのです。

 まあ、中には、自分の「キラキラした予定」を聞いてほしくて、そういう質問を投げてくる人もいるかもしれません。酒飲みが自分のグラスが空になったときに、さすがにさっさと手酌をするのをためらって、まずは相手のグラスに酒を注ぐようなものです(これって、私のことですが……)。いずれの場合でも、「何もないんですよ。〇〇さんはどうなんですか」と返してあげればOKです。

雑談はボクシングのジャブ

 仕事をする上で、この雑談する能力はとても役に立ちます。「雑談力」というのは、あまり親しくない相手と仕事やあるいはご近所付き合いなどでそれなりに付き合っていく必要があるときに、害のない話をしながら相手との距離を測る力、ボクシングのジャブのようなものだからです。初めて営業的な仕事に配属されたとき、本題に入る前の話の持っていき方が全く分からず、「雑談力」を鍛えておくことは大事だと痛感しました。

私の若い時は「声をかけにくいヤツ」でした

 ところで、私は、正直、このご相談をちょっとうらやましいと思いました。60歳を超えた今ではそんなことはありませんが、若いころ、極度に人付き合いが苦手で、周りからも「声をかけにくいヤツ」と思われ、「夏休みの予定は?」などとたわいもない話題で声をかけられることが全くなかったからです。そんなつもりは全くなかったのですが、なぜだか、話しにくいヤツという「キャラ」が確立していたようです。声をかけられるというのは、ある意味、幸せなことだなあと思います。

村木厚子(むらき・あつこ)
津田塾大学客員教授

 前厚生労働次官。伊藤忠商事社外取締役。1955年生まれ。高知県出身。78年に旧労働省に入省。2009年に郵便不正事件で逮捕されたが、冤罪とわかって無罪になり、厚生労働省に復職した。17年4月から現職。

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