【お悩み相談】ワンオペ子守は「無理」と逃げる夫がストレスです

お悩み相談アドバイザー村木厚子

 育休から復帰してフルタイムで働いています。夫は保育園の送迎を手伝ってくれ、育児に協力的だとは思います。でも、たびたび「無理」と言われるのが嫌なのです。子どもに熱があるので薬を与えてと頼むと「やったことないから無理」、残業で遅くなるのでご飯を作って食べさせてと頼むと「無理」。あてにならないのです。やりたい子守だけをやって、イクメンだと思っている。文句ばかり言いたくはありませんが、ずっとこれが続くと、ストレスがたまって爆発しそう。どうしたらいいですか。(ハンドルネーム:ちはる)

「無理」を「当たり前」にするカギ「ほめてやらねば人は動かぬ」

 「無理」ですか……。

 この相談が届いた直後に、深夜のテレビ番組で「数年付き合った彼女にプロポーズしたら『今は無理!』。1年後に再度プロポーズするか、もうあきらめるべきか」という人生相談をやっていました。二つの相談のどっちの「無理!」がマシかなあと思わず苦笑。テレビの回答は、「頑張って1年後に再度プロポーズを」でした。あなたの夫の「無理」も「今は無理」ということ。頑張って変えていきましょう。

初めての育児は夫も不安、一つずつ練習を

 まずは、夫の「できること」を増やすこと。我が夫の解説によれば、育児は父親にとっても母親にとっても初めてのことが多く、不安がいっぱい。父親は「無理」と言えばたいていは通るので、失敗を恐れて逃げてしまうのだそうです。

 病気の時に薬をあげるのはけっこう上級編。病気の子どもは、機嫌が悪いし、こぼしたり、吐き出したりするかもしれない。ご飯もそう。作っている間、子どもをどうするかも難題で、「作る」と「食べさせる」と二つあるというだけで育児初心者はビビるかも。

 そこでどうするか。まず、あなたがいる時に一つずつやらせて「練習」を積ませましょう。かの山本五十六(真珠湾攻撃の時の連合艦隊司令長官)も言っています。「やって見せ 説いて聞かせて やらせてみ ほめてやらねば 人は動かぬ」と。やり方を丁寧に教え、見守って、自信をつけさせてあげましょう。そうやって「得意なこと」「できること」を増やすことが基本です。このテクは子育てでも役立ちます。

家事分担で得をする「比較優位」の考え方で

 次に、相手が得意だと思っていることを生かしながら、積極的に家事を「分担」しましょう。すべての家事は妻の方が上手という家庭でも、夫が「家事の中ではこれが得意」「家事の中ではこれがマシ」と思っていることをやってもらいましょう。

 我が家の場合はこんな感じ。夕食が終わると私が「お皿洗うから、コーヒー入れて」と頼みます。夫は、お皿洗いよりはコーヒーを入れる方が楽だと思うので「まあ、仕方がないか」と思います。私も、夫が手伝ってくれて「少し楽になったなあ」と思います。

 大事なことは、あなたが家事を全部ひとりでできる余裕があるときでも、必ず二人で家事をすること。そうすれば二人が得をします。ウソだと思ったら、経済学の教科書で「比較優位」という考え方を調べてみてください。

 ところで、間違ってもここでコーヒーの味に文句を言ってはいけません。我が夫いわく「できたと思ったのに、文句を言われたら、自信もやる気もなくなる」。少々難があってもOKです。

 まず「できること」「得意なこと」をふやす。それをベースに、「家事は二人でやること」を「あたりまえ」にするのです。そのうち、子どもも、この輪に加えましょう。

ほめられたい夫と責められたくない妻

 そのためにも、相手をほめてあげましょう。「なぜ、あたりまえのことをやっているだけで(あるいはそれすらできていないのに)ほめてあげなきゃいけないの!」というお怒りはごもっとも。でも、山本五十六の言葉通りに「人は動かぬ」になっては困りますよね。

 現状では、だれもが心のどこかに「家事・育児は本来、女性の仕事」という思いを持っています。だから、ちょっとでも家事をやれば夫はほめてもらいたいし、ちょっとでもできていないと妻は後ろめたいのです。「ほめられたい夫と責められたくない妻」だということを夫婦双方が認識していると、けんかが減ると思います。

 我が家の夫の口癖は「俺をほめろ、ほめれば木にも登る」です。

村木厚子(むらき・あつこ)
津田塾大学客員教授

 前厚生労働次官。伊藤忠商事社外取締役。1955年生まれ。高知県出身。78年に旧労働省に入省。2009年に郵便不正事件で逮捕されたが、冤罪とわかって無罪になり、厚生労働省に復職した。17年4月から現職。

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