取引先との飲み会でセクハラ、撃退法を教えて

お悩み観音アドバイザー花房観音

 セクハラへの対処法を知りたいです。外回りの営業職で、取引先との飲み会に「女性枠」としてかり出されます。職場の男性から「ハナちゃんは部長の隣に」と言われて、偉い人の隣に座らせられ、お酌をさせられます。彼氏はいるかとか、仕事に関係のない私生活を聞かれた上に、肩に手を伸ばしてくる人も。同じ会社ならきっぱり言えるのですが、取引先だと先輩たちも見て見ぬふり。手をやんわりと払い「セクハラですよぉ」と、冗談っぽく受け流していますが、本当は「いいかげんにしろ!」と言ってやりたい。私の給料には、こんな我慢まで含まれているのでしょうか。(ハンドルネーム:ハナ)

 A:たちの悪い「悪気のなさ」と「勝手な動機」、ネタと上司で封殺しましょう

 セクハラには堂々と声をあげていきましょう! はっきりそれは性的嫌がらせであると抗議しましょう!……と、言いたいところですが、現実には社会の中の組織に所属していると、一筋縄にはいきませんよね。特に取引先は気を使います。

 バスガイドの仕事をしていると、セクハラで嫌な目によくあいます。お酒を飲んだお客さんにさわられる、容姿や年齢を揶揄やゆされる、私生活を根掘り葉掘り聞かれる……お客さんはともかく、運転手さんでもこれをやる人がいます。以前、ある旅行会社に勤めていたとき、セクハラが嫌だという話をすると、そこの上司に「それも仕事のうちだから」言われました。あなたの質問を見て、「そんなわけねぇだろ」と思った、あのときの嫌な気分がよみがえってきました。

  セクハラの何がたちが悪いかというと、「悪気がない」ところです。自覚してセクハラしている人は、ほぼいません。さわられたり、女扱いされたりするだけマシだなんて言う人もいるし、「親しみがある、好意をもっているから」というのを動機にされます。悪気がないから、黙っていると段々とエスカレートします。

 ハードなネタと「妻や娘なら?」で問いかける

  さて、場の雰囲気を壊さずに、「不快である」ことを伝えるためにはどうすればいいか。いくつか、「セクハラネタ」を持っておくのはどうでしょうか。「セクハラで会社を訴えた話」「彼女がセクハラされて彼氏が激高した話」「セクハラされて復讐ふくしゅうした話」などのエピソードです。できるだけハードなエピソードのほうがいいです。手を払って「セクハラですよ」と言ったあとで「そういえばこんな話があって……」と、セクハラエピソードを披露するのです。「セクハラは不快な行為である」ということを会話の中で伝えます。

 とは言っても、それでも「他人事ひとごとで、自分は違う」と都合よく思う人のほうがきっと多いです。なので、どこかでやんわりと「あなたの奥さんや娘さんが、同じようなことをされても平気ですか?」と、問いかけてみてください。もしも想像力がある人ならば、それで気がついてくれるかもしれない。

あなたの身体も私生活も酒の肴にしなくていい

 ただ一番いいのは、理解ある上司に訴えることです。信頼関係がある上司なら、あなたの話をちゃんと聞いてくれ、対処も考えてくれるはずです。「セクハラ」というと、軽く解釈する人もいますけど、それは「嫌がらせ」であるということはきちんと知っておいてもらいたい。「我慢しろ」などと返されたら、それはもう、労働問題です。

 態度は柔らかいままでも、言葉は毅然きぜんとして抵抗し続ける。ものすごく厄介で気を使う問題ですが、あなたの身体はあなたのものであって、他人が平気でふれていいものではないし、あなたの私生活の情報を仕事関係者に話して酒のさかなにしなくていい。それは確かです。

花房観音
花房観音(はなぶさ・かんのん)
作家

 京都市在住。京都女子大学中退後、映画会社、旅行会社などに勤務。2010年「花祀り」で第1回団鬼六大賞を受賞し、作家デビュー。12年に発表した「女の庭」など、女の性愛や情念を描いた作品で注目を集める。近著に「わたつみ」(中央公論新社)、「楽園」(中公文庫)、「色仏」(文藝春秋)など。花房観音HP花房観音御開帳

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