【お悩み相談】転職して子どもの頃の夢を追いかけるべき? でも、勇気が出ない私

お悩み相談アドバイザー・Drまあや

 専門職として働いています。仕事は、日勤と夜勤のあるシフト制。とても忙しいですが、やりがいはあります。
 しかし、充実した日々を送りつつも、一つだけ心に引っかかっていることがあるのです。
 それは、“パティシエになりたい”という夢です。
 すでに現職でのキャリアも積み、今さら何を、と自分でも思うのですが、ずっと心のどこかに引っかかっていました。
 今年でちょうど30歳。とても若いわけではないですが、まだギリギリ挑戦できる年齢なのではと思っています。
 今まで積み上げてきたキャリアを捨て、夢を叶えるために新しい世界に飛び込むことにだんだん迷いが出てきて、どうしても一歩が踏み出せません。
 一方で、今後年を重ねていき、いま行動しなかったことを後悔するかもしれない――という恐怖感があるのも事実です。
 転職してみるべきでしょうか。それとも、今の生活を続けるべきでしょうか。
(ハンドルネーム・ぱんだ)

 A.「なんだかんだあったけど、面白い人生だったなぁ〜」と言えるような選択を

 私が、脳外科医から専門学校に入学したのが、34歳の時です。24歳で大学を卒業し、脳外科医になるべく、必死に走ってきた10年間。しかし、ちょっとしたつまずきがきっかけで、「デザイナー」になることを思い立ち、専門学校へ入学し、翌年ロンドンの大学へ留学したのです。

 帰国後、脳外科医として働きながら、スタイリストのアシスタントを少しやらせてもらい、デザイナーの仕事をやり始めて、今に至ります。

「自分の夢を追ってよかった」。まあや流 後悔しないための7つのポイント

 悩み苦しむ時は、シンプルに考えることです。私の場合は、「面白いか、面白くないか」。

 脳外科医とデザイナーという道を進む奴(やつ)が、この世に1人くらいいてもいいのかな? 面白そう! やってみよう!となったわけです。

 あなたにとって、後悔しない基準が何か? これだけは譲れない人生のポイントは何か?

・結婚して幸せな家庭を築きたい

・子供だけは絶対に欲しい

・自分が一生懸命になれるか

・とにかく、苦労したくない

・お金になるかどうか

・平和に暮らせるかどうか

・地位や名声を得られるか

 などなど、基準はその人によっていろいろ。何が一番大事かによると思うのです。

 また、方法についても探ってみる必要があります。

・専門職+パティシエが両立できる方法があるのか?

・専門職をいったん休職して、パティシエの勉強をする期間をもらい、再出発できるのか?

・そのような状況を許してくれる環境があるか? 家族はどう思うのか? 

・専門職を究める道を本当に諦められるのか? 

・パティシエだけを目指す道も考えるのか

 方法と対策と、それを最終的に決断させるシンプルな基準が自分にとって何かを、よく考えて進むと、後悔しないと思います。そして、ある意味で勝手な行動にとられがちなこの状況を家族や周囲の人々に理解してもらえるのか。もしそうでなければ、迷惑をかけてしまったことを謝罪し、いつか結果を残して、皆さまに還元してあげられるような気持ちで頑張れるといいな、と思うのです。

自分だけ浮いてしまう可能性も。あなた自身に「覚悟」はある?

 次に、新しい道に進んだ際の問題点として考えないといけないことがあります。

 それは、「覚悟」についてです。

 新しい道に進んだ時に、自分の中にあるちょっとしたプライドが傷つけられることにも遭遇します。年齢がかさむと、仕事でもプライベートでも、自然と価値観が定まってきていると思うのです。しかし、それが新しい道へ進んだ時に邪魔をすることがあります。

 例えば私の例で言いますと、専門学校へ行くと、周りはほとんど18〜20代前半の若い学生ばかり。そんな中で勉強していても、才能がある子たちは、いろいろなことをスムーズに柔軟にこなしているのに、自分はできない、頭でっかちさが出ているような気がして、先生の言うことも素直に聞けない、と気がつきます。

 ロンドンの生活でも、シェアフラットという生活がどうしても受け入れられず、食生活においても日本食が恋しくなることがよくありました。せっかくの留学生活なのに、多文化を受け入れられず、せっかくの機会なのに、1人で過ごす時間が増えてしまう、なんてことが起きます。

 スタイリストのアシスタントをしている時も、なかなか思うように動けず、迷惑をかけてしまったり(太っているせいでもありますが)、会社の同世代の人々で立場が上の方々の、ちょっとした態度についムッとしそうになったりして。そんな時に、はっと我に帰り、「今は下っ端、勉強している身だ!」と自分の立場をわきまえるように心がける、なんてこともあるわけです。

 同世代や年下の人の下で働くことになる覚悟は必要で、今まで培ってきたプライドを捨てて、一から学ぶ姿勢を作れるかどうかが、大事になっていくと思います。

転職しなかったら…と落ち込むことも。それをはねのける気持ちも必要

 そして、きわめつけは、前の仕事に対しても、自分の中のプライドが傷つけられる場面に遭遇します。「脳外科医を究める」という道は、諦めざるを得ない状況になったのは、自分で決断したことですから、仕方がないことです。しかし、今でも時々、この手術、私だったらどうするか?と考えることがあります。脳外科医としてしっかりやってみたかったなぁ、とか一緒に働いてきた先輩や同期や後輩などが活躍している姿を見て、私もなんとかならなかったのかな、と思いながら、自分で決断して違う道を選んだくせに、なんだか情けない気分になり、落ち込んだりもします。

 そんな状況ではありますが、私は脳外科医をやりながら、新たな道であるデザイナーという険しい道に進んだことを後悔してはおりません。自分の夢を追って、新しい道に進んでよかったと思っております。

 脳外科医として働いている途中つまずき、自分が生きる道について、あの時真剣に考え、自分の人生になるべく後悔がないように選んだ結論なので、現在、脳外科医+デザイナーとして歩み始めたことは良かったと思っています。

 自分が亡くなる瞬間に、「なんだかんだあったけど、面白い人生だったなぁ〜」とつぶやいて目を閉じることができたら、本望ですね。

Drまあや(ドクター・まあや)
脳外科医・ファッションデザイナー

 岩手医科大学医学部卒業後、慶應義塾大学脳神経外科に入局し、脳神経外科専門医取得。その後、日本外国語専門学校海外芸術大学留学科に入学し、翌年、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズへ留学。帰国後に、脳外科医として働く傍ら、スタイリストのアシスタントを開始。2013年Drまあやデザイン研究所を設立し、2014年初個展「カラフルデブの挑戦」を開く。2015年にテレビのインタビューをきっかけにメディアに出演するようになる。著書に「カラフルデブを生きる-ネガティブ思考を強みに変える女医の法則40」(セブン&アイ出版)がある。

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