結婚したら夫が変貌、愚痴のオンパレードで眠れません

お悩み相談アドバイザー村木厚子さん

 新婚なのに不安しかない状況を相談したいです。夫は長期の出張ばかり。結婚後半年で1週間しか一緒に住んでいません。夫の仕事は理解していましたし、彼も仕事に誇りを持っているようだったのに、結婚してすぐ、彼の愚痴のオンパレードが始まりました。
 夫からの愚痴メールで私の携帯履歴はいっぱいに。内容はすべて会社のこと。確かに夫が勤めている会社は超ブラックです。土日は無いし、残業は当たり前。会社を辞めていいと言っているのに、辞める気配もなく、延々と私に愚痴メールを送ってきます。
 朝起きて愚痴のメールを受け取り、それに慰めの返信をし、夜にまた愚痴メール。愛のささやきも無く、ひたすら夫の愚痴に対応する毎日。もっと幸せになるつもりだったのに、うつうつとした毎日がつらくなり、夜眠れなくなるほどです。結婚前までは愚痴一つこぼさず、どんなに忙しくても会いに来てくれた夫が、結婚してすぐ、こんなにも変わるものか。もちろん夫の会社は最低ですが、夫の変貌ぶりにも不安を覚えます。新婚でこの状況だと、この先、妊娠出産なんて考えられないです。 (ハンドルネーム:ゆうか)

A:甘えた夫の「お母さん」になっていませんか?彼に幸せを託すだけでは不安定です

 ご相談を読んで最初に思ったことは、あなたの夫があなたに「甘えてるなあ!!!」ということです。日本の男性は妻に「お母さん」を求めると言いますから、あなたの場合も結婚したとたんに「お母さん」役を求められたということでしょうね。もっとも、夫の勤める企業は「超ブラック」な企業だそうですから、結婚は夫にとってはとてもよかったですね。

 私はよく言うのですが、池の中に杭が1本、その杭の上に2本の足をそろえて立っているのはとても不安定、池に落ちてしまいます。杭が2本になれば、ずっと安定はよくなる。彼は「仕事」のほかにくつろげる「家庭」ができ、杭が2本に。これでずいぶん気分は安定したことでしょう。

愚痴を言う人は答えを求めていません

 でも、延々と愚痴を聞かされるあなたはたまったものではありませんよね。それはよく理解できますが、ちょっと気になる点も。一つはあなたがその愚痴の中身をとてもまじめに受け止めていることです。愚痴を言う人のほとんどは答を求めていません。あなたの夫も、例えばひどい上司のことをあなたに相談したら解決策が見つかるとは思っていないでしょう。愚痴を言うことで気持ちはスッキリ、答まで求めていないのではないでしょうか。

 我が家でも私は夫に盛大に愚痴を言いますが、真面目に解決策を提供されるとかえってけんかになってしまいます。黙って、ふんふんと聞いてくれることが大事なのです。愚痴を言われる夫は、時間を取られるし、真面目に聞いてうっかり解決策を提案するとかみつかれるし、踏んだり蹴ったりかもしれませんね。あなたの場合のようにメールなら、こちらが都合がいい時間に見ればいいのですから、延々とそばで愚痴を聞いてあげるよりかなりましでしょうか。その分、こちらの反応が見えないと相手の不満がたまりますから、ときどき「大変ね、大丈夫?」とか「がんばってね」といった返事は必要かもしれません。

「反芻」して自分を苦しめるのはやめましょう

 もう一つ気になるのは、メールのことで夜も眠れなくなるほどだということ。つまりあなたが彼の愚痴を「反芻」していることです。バレーボールで日本を代表する選手として活躍し、後に実業界に進んだ三屋裕子さんが面白いことを教えてくれました。仕事の関係である人から本当に腹の立つ一言を言われた。その言葉を何度も何度も思い出し、悔しく、腹立たしく、つらくて夜も眠れないほどだった。だがある日気が付いた。彼がそれを言ったのは一回だけ、あとはすべて、自分がそれを思い出して自分で自分を苦しめていたのだと。夫の方は愚痴メールを打ってそれでスッキリ、あとは忘れているかもしれないのに、あなたがその「愚痴」を反芻して、自分を傷つけるのはやめましょう。

 何度かご相談を読み返してみて、もしかしたら、あなたの杭が1本になっているのではないかと思えてきました。結婚したから、新婚だからということで、ご自分の幸せがすべて彼のありようにかかっているような気持になっていませんか。これでは1本の杭の上に足をそろえて立っているようなものです。

    自分自身の趣味だったり、やってみたい仕事だったり、あるいはこれから生まれるかもしれない子どもだったり、たくさん自分がやりたいこと、大切なことがあった方が、つまり杭がたくさんあった方が気持ちが安定しますよ。ほかの杭を探しながら、夫のことも大切に考える、そのぐらいの気分でいいのでは。

村木厚子(むらき・あつこ)
津田塾大学客員教授

 前厚生労働次官。伊藤忠商事社外取締役。1955年生まれ。高知県出身。78年に旧労働省に入省。2009年に郵便不正事件で逮捕されたが、冤罪とわかって無罪になり、厚生労働省に復職した。17年4月から現職。

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