他人を羨んでばかり。仕事も恋愛も、自分の人生に納得がいきません!

イラスト・いわしま ちあき

 発言小町に「自分の人生に納得いきません(仕事・結婚)」という投稿が寄せられました。

 交際半年の彼氏にプロポーズされたものの、「少し好きな気持ちが下がっている」ため即答できず、保留にしているという33歳・女性のトピ主さん。加えて、仕事も満足できない状況下にあるそうです。きつい女性の先輩がいる上に、同期が全員東京に異動してしまい、自分だけが取り残されてしまった気分になっているとか。「自分の状況に納得ができず、仕事も結婚も他人の幸せを羨んでばかり、苦しいです」と心境を吐露しています。

自分の人生を決断するために。一つひとつ、問題を切り離して考えていこう

 トピ主さんのこんがらがった悩みを、少し整理してみましょう。投稿からは、【地元で彼氏と結婚する人生】と、【友達もいて、実家もある東京で過ごす人生】の二択で、心揺れている様子が読み取れます。「今住んでいる町で彼と結婚して、このままの仕事を続けて、早く出産してこの町で生きていくのが正しいと思うし、少し前まではそれを望んでいたが、なぜか納得がいかない」「仕事を辞めて地元の東京に帰って環境を変えようかと思いますが、そうなると彼氏との結婚も遠のいてしまうかも」……とのこと。

 納得できないまま“渋々”どちらかの道に進んでも、必ず後悔は残ってしまうでしょう。できるだけ満足のいく人生を送るためには、“世間的な正しさ”を基準にせず、自分の心としっかり向き合うこと。その上で、「リスクをとって現状を変えることに挑戦するか」「望みのレベルを下げるか」「視点を変え、現状への認識を変えるか」のいずれかを選ぶ必要があります。「私はこうしていこう」と自分で納得して意思決定ができるよう、一緒に考えていきましょう。

 今、トピ主さんを悩ませているのは、「現在の彼との結婚」「東京暮らし」「今の職場」の3つのテーマですよね。ひとつずつ問題を切り離して考えていきます。

 ひとつ目、結婚について。「付き合ってまだ半年、会うのは週1程度で好きな気持ちが下がり始めているいま結婚を決めてしまっていいのだろうか」とのこと。彼のことを決定的に嫌いだというわけではないようですし、いきなり「結婚か破談か」と極論で考えず、まずは一旦いったん、“納得して結婚する未来”への行動を起こしてみてはいかがでしょうか。例えば、彼に「半年では結婚を決断できない。もう少し交際の期間が欲しい」と素直に伝えてみる。トピ主さんの気持ちが固まる時間を待ってくれるかどうか、その後の態度などで、彼のよさを再認識できるかもしれません。あるいは冷め切ってしまうこともあるかもしれませんが、いずれにせよ、そうした変化は決断の後押しにもなるはずです。

東京に行けば、「ハッピーな生活」が待っているの?

 続いて、東京暮らしについて。地元である東京に戻りたくなった理由は、同期が皆そちらに転勤になってしまったからだとか。「自分だけが取り残されてしまった」とのことですが、以下の2点も、一度、考慮に入れてみましょう。

・友達と遊ぶ時間は、今後、少なくなっていく可能性がある

・異動した同僚が皆、東京ライフに満足しているとは限らない

 同期というと皆30代前半ですよね。30代は私生活に大きな変化がある方も多い年代です。結婚したり、子供ができたり、そのためにお金が必要になったりで、それまでのような“同期と頻繁に遊ぶような生活”から、自然に遠ざかっていく人も出てくるでしょう。そのうちにまた異動になる人もいるでしょうし、住む場所も暮らしも、足並みをそろえるのは難しくなってくる。トピ主さんが東京に戻ったところで、同期とたくさん遊べる日々を過ごせるのは、多くても、あと数年程度かもしれません。

 また、「東京に行った友達が皆、今もこの先も100%ハッピーに暮らしているはずだ」と考えるのは、ちょっと短絡的かもしれません。異動してまだ半年程度とのこと、しばらくは都会生活が楽しいかもしれませんが、そのうちに地方暮らしを恋しく思う人が出てくる可能性もあります。もしかしたら、「プロポーズされ、地方で衣食住豊かな結婚生活を始められそうなトピ主さん」のことを羨ましく思う人だって、出てこないとは限りません。「友達が近くにいる」「みんなと同じ」だと安心感はあるでしょう。しかし、人生はどこかの岐路で、分かれていくもの。「今」や「自分の尺度」だけで価値を決めつけず、少し広い視野で考えてみるようにするのも、自分の人生に納得するためのひとつのコツです。

人生何もかもは選べない。何かを手に入れたいなら、何かを捨てることも必要

 「今の職場は東京でない点と1人の同僚を除いてはとてもいい」とのこと。70点程度の心地良い現状を捨てて、100点に思える職場を探す旅に出てみるかどうか。次が50点で後悔するかもしれないリスクをとってでも、チャレンジしてみるかどうか――。これは、トピ主さん次第です。

 「仕事も結婚も他人の幸せを羨んでばかり」というのは、「何も失いたくないのに、何もかもを欲しがっている」ときに起こりやすい心理です。人が羨むような特別なものを手に入れている人の多くは、その分、別の人生の選択肢を捨てています。「この人生」を選ぶならば、「あちらの人生」は手に入らないのが常だからです。器用だったり、才能があったり、努力家だったりする人の中には、幾つかの人生を掛け持ちする人もいますが、それでも、何十通りもの人生は選べません。

 「私にとってはこちらが大事だから、あちらを捨てて、こちらを選んだのだ」という自覚があれば、他人の人生ばかりを羨む心理は起こりにくいです。友達、彼氏、結婚、東京での実家暮らし、今の仕事やその環境……。すべてを同時には選べないことを知り、優先順位をつけてみましょう。トピ主さんは、どの人生を今、一番選びたいですか。投稿を読む限り、「とにかく東京に行きたい」と思っている気持ちが強いように読み取れましたが、いかがでしょうか。それが自分にとって最重要だと思うならば、他の選択肢はちゃんと捨てて、自分の意思で、その選択をしていきましょう。

 「どうしても、大好きな人と結婚したい」と思うならば、この先のチャンスがあるかわからなくても、彼と別れる選択をすればいい。「東京に行きたくて仕方がない」なら、今よりも居心地が悪い職場になってしまうリスクも覚悟の上で、転勤してみればいい。結婚のチャンスも、職場や仕事を失うリスクも取りたくないならば、ちゃんと意思を持って、現状維持を選ぶのがベストかもしれませんね。「ここにいる人生を自分で選んだ」という自覚があれば、他人を羨ましがる機会は減らせるはずです。

 「人生、何もかもは選べない」という事実だけは、しっかり心得ておきましょう。「あれもこれも欲張るから、答えが出ない」ということに気づけば、結論は自ずと導かれていくはず。どうか自分らしい選択をしてほしいなと思います。微力ながら、応援しています。

外山ゆひら (とやま・ゆひら)

 女性誌の編集を経て、フリーランスに。主に対人関係、恋愛心理、コミュニケーションに関する記事や、エンタメ・カルチャーの紹介コラムを担当。芸能人から一般企業の方まで、例年100人前後のインタビューを実施。産業カウンセラー・心理相談員資格有。