どうする? 仕事と出産(2)女医にガツン!人生は分けられない

「どうする仕事と出産」セミナー

 「大手小町」と読売新聞の医療情報サイト「ヨミドクター」がコラボしたイベント「どうする? 仕事と出産」(NTTドコモ「dヘルスケアパック」協賛)のセミナーの内容を4回にわたって紹介します。

第2子のときから残っていた受精卵

プロゴルファー 東尾理子さん

 体外受精で子供を授かったのですが、採卵といって体から卵を出して、受精させて戻すという過程があります。第2子の妊娠の時、「この移植がうまくいくとは限らないので、次のためにまた卵子を採って受精させておこう」と準備をしていたのです。それが、第2子ができた後も順調に育っていてくれて、「自分がつくり出した命、これをどうしよう」と。

 私は子供は何人いてもいいって思いました。年齢的に何人もは無理だけど、ここに受精卵が1個ある。私はとにかくこれを破棄したくなかった。「自分たちが子供を欲しいと思ってつくり出して、まだ形は見ていないけど、私はこれを戻したい」と言ったら、主人(石田純一さん)は「えっ!」という感じ。「もう2人でいいでしょう」と言いましたが、最後には「わかった」と納得してくれました。

 そして、授乳を終わらせて何か月か後、受精卵を大切におなかに戻したら、びっくり、うまくいって第3子を授かりました。

女医にガツン! 夫も本気になった

 不妊治療は、主人と子供が欲しいとことを確認して始めました。病院で精子検査しなければいけないんですけれども、主人は全く抵抗がないタイプだったので、反対にこっちが「ちょっとマスクか何かしない?」と言うぐらい普通にしていました。目立って、病院の方に「ちょっと部屋に入りますか」と気を使わせるぐらい堂々としてましたね。

 そのときに50代後半。年齢とともにどうなっているかという検査をしてくれて、やっぱり精子の運動率が悪かったり、量が減っていたりというのがありました。最初の先生がバリバリの女医さんで、その結果を見た瞬間、「ああ、旦那さん、これはだめですね」みたいな。すごい「どストレート」に、私もちょっと同情するぐらいでした。

 けれども、結果としてはこれが良くて、主人は、「だめなら俺が責任とらなきゃいけない」と。女医さんにがつんと言われて、ちゃんと自分も向き合わなければいけないという心を持ってくれたみたいです。

東尾 理子(ひがしお・りこ)

 2009年に俳優の石田純一さんと入籍。仕事と子育てをしながら、妊娠を望む人たちの助けになりたいとNPO法人FINE のピア・カウンセラーの資格を取得したほか、妊娠や出産についての正しい知識を伝える活動「うむうむプロジェクト」の立ち上げに関わる。13年に、輝いた母親に贈られる「第1回マタニティ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。プロ野球の元投手・監督の東尾修氏を父に持つ。

妊娠は管理職登用の前? それとも後がいい?

少子化ジャーナリスト、作家 白河桃子さん

 キャリア女性ほど20代で第1子って思っている人がすごく多くて、みなさんの悩みを聞いています。仕事は代わりがいるんですよね。パートナーもいて仕事もあって、妊活を先に延ばす理由が仕事以外にないときは、私はもうゴーしていいんじゃないかなと思っているんです。

 管理職登用のタイミングがちょうど30代くらい。その試験とかがあったりするんですね。試験の前に妊娠したほうがいいですか、後にしたほうがいいですかって、よく聞かれるんですよ。でも、はっきり言って、年齢と仕事が結びついていることほどナンセンスなことはないなと思っています。30歳まで仕事をして、30歳ぴったりで産もうと思っても、予定どおりにいかないのが妊娠。仕事で「ここを逃したらもう二度と出世できない」と見えるかもしれないが、今はママになっても転職する方も結構います。自分の今の一本道のキャリアだけが全てと思わないでほしいなと思います。

 働きやすさは、会社によってぜんぜん違う。フルフレックスタイム、1時間単位でとれる時間有休、テレワークもある。長時間労働を是正しようという空気。これがそろうと、すごくやりやすくなるんですね。そうした制度がある会社で、30代でお子さん2人いらっしゃる研究職の女性にインタビューしたら、「もう今は、あきらめなきゃいけないと思うことがほとんどなくなった。この働き方さえあれば、もっと早く産めばよかった」と。だから、キャリアを一本道で考えるのではなくて、転職も考えていいかもしれない。

「今は仕事、それから妊活」 そう人生は分けられない

 日本人ってやっぱり真面目。仕事に全力投球、子育てにも全力投球。「一つのことが終わって、もう一つ」と考えがちなのですけれども、今は両方やりながら、という時代です。

まだお子さんがいない若い女性と話したところ、「この時期は仕事を頑張る、そして出産」と人生をきっちり分けて考えている。そうしたら、妊娠中や子育て中の人が、「そんなに分けられないから」って。「何々オンリーって考えないほうがいいよ」と話していました。それを聞いた若い女性は、「気持ちが楽になった」と言っていました。

 働き方が変わる会社も本当に多くて、制度なんて明日変わるかもしれない。今も会社で頑張るにしても、転職するにしても、希望を持って常に情報を仕入れてほしい。もし会社で何か動かせる立場、上の人に言える立場だったら、「他社は今こうなっているんですよ」と情報を会社に伝えて、意識を変えてほしいと思います。

白河 桃子(しらかわ・とうこ)

 相模女子大学客員教授。「働き方改革実現会議」「一億総活躍国民会議」の有識者議員も務め、女性のキャリア、働き方改革などをテーマに発信。「『婚活』時代」(山田昌弘共著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)で「婚活ブーム」の火付け役に。著書に「妊活バイブル」(共著、講談社+α新書)、「後悔しない『産む』×『働く』」(共著、ポプラ新書)など。OTEKOMACHIでコラム「スパイス小町」を連載中。

仕事と出産セミナー1  減る卵子、妊活はいつから?