伝統の手わざが光る日本の祭り

たび小町(PR)

 歴史や風土に育まれ、世界的にも高い評価を受ける日本の伝統工芸品。毎年私たちの心を躍らせる「祭り」の中にも、脈々と受け継がれた日本の匠の技を見出すことができます。

精巧な紙細工がつくる光の環 山鹿灯籠まつり

 どこか哀愁漂う歌に合わせ、ゆらゆらと揺れる淡い光。女性たちによる優美な「灯籠踊り」が見どころの熊本県・山鹿灯籠まつりは、和紙を使った伝統工芸品が印象的な祭りです。女性が頭の上に載せているのは、この地域の工芸品である「金灯籠」。

 灯籠師と呼ばれる地元の職人たちが、和紙と糊のみを使って制作しています。中はすべて空洞で、重量感のある見た目に反して驚くほど軽く、わずか180グラムほど。曲線部分はのりしろがなく、紙の厚みだけで貼り合わせており、祭りを彩る美しい灯籠作りには、熟練の技を必要とします。

紙と糊だけで精巧に表現される山鹿灯籠は2013年に国の伝統的工芸品に指定されました

 この祭りは約2000年前、深い霧に進路を阻まれた景行天皇の巡幸を、山鹿の里人が松明たいまつを掲げて迎えたことに由来すると伝えられています。室町時代になると、周辺地域で和紙などをはじめとする手工芸用原料の生産が盛んになったことから、松明に代わり紙細工で金灯籠を模したものが作られるようになりました。

 金灯籠以外に神社仏閣をもとにした灯籠も制作され、江戸時代には商家のお家芸として発展。灯籠作りの道具は、代々大切に引き継がれてきました。祭り2日目には、金灯籠を頭に載せた1000人もの女性たちが一度に舞い踊る「千人灯籠踊り」が行われています。

 幾重にもなる幻想的な光の環には、地域に受け継がれた伝統が息づいているのです。

山鹿灯籠まつりの中でも圧巻の「千人灯籠踊り」。灯籠の明かりが揺れ、神秘的な雰囲気に

華麗に舞う傘踊り 鳥取しゃんしゃん祭り

 鳥取県の「鳥取しゃんしゃん祭」は、色鮮やかな和傘が特徴の夏祭りです。

 祭りの中核をなすのは、この「しゃんしゃん傘」を使った一斉傘踊り。踊りに合わせてくるくると楽しげに回る傘とともに鈴の音が軽やかに鳴り響き、見る者を引きつけます。

 しゃんしゃん傘は、米子市の淀江地区で作られています。この地域では材料となる竹が豊富で、傘を干すのに適した砂浜もあったことから、「淀江傘」と呼ばれる和傘作りの技術が発達しました。洋傘の普及で衰退しましたが、しゃんしゃん傘は現在もすべて手作りです。

 振り付けの由来は鳥取県に伝わる雨乞い踊り「因幡の傘踊り」。鳥取しゃんしゃん祭では伝統が新たな進化を遂げ、毎年人々を楽しませています。

2014年には「最大の傘踊り」として世界記録を達成

『藍染』かがり火に浮かぶ藍の色 西馬音内盆踊り

 秋田県・西馬音内にしもない盆踊り(8月16〜18日)では、顔を編み笠や彦三ひこさ頭巾で隠した人々が囃子に合わせ、かがり火の焚かれた町をたおやかに踊り歩きます。踊り手が着る独特の藍染めや端縫はぬいの衣装が、不思議と祭りの雰囲気と調和します。

 およそ700年前に始まったとされる西馬音内盆踊り。江戸後期に平鹿・浅舞地方で「浅舞絞」と呼ばれる藍染めの技術が発達したことをきっかけに、盆踊りでも藍染め衣装が着られるようになりました。木綿の藍染めとは思えないほど手の込んだ絞りも見られ、祭りに花を添えています。現在使われている衣装の中には、江戸末期に製作されたものも残っています。

 祖霊と一体となる西馬音内盆踊り。かがり火に照らされる伝統衣装の踊り手たちが、夢幻の世界を繰り広げます。

藍染め浴衣や端縫い衣装が印象的な「西馬音内盆踊り」。野性的な囃子と対照的に、踊りは優雅で流れるよう

日本が世界に誇る伝統工芸・花火

 日本の伝統工芸を身近に楽しめる機会として各地の祭りを取り上げてきましたが、夏の夜空を染める花火もまた、美しき伝統技術を目にする絶好の機会です。

 日本人が花火を観賞するようになったのは、江戸時代のこととされています。中国・明の商人が駿府城を訪れた際に、徳川家康に花火を見せたという記録が残っています。以来、花火師たちは競ってその技を磨いてきました。特に優れているのは精巧さと華麗さで、上空で球形に開き、二重、三重と同心円を作る技術は、世界的に高い評価を得ています。

 ここでは、代表的な打ち上げ花火に込められた、技術の粋をご紹介します。

菊花型花火

 日本の代表的な花火が芯入りの菊花型花火です。球形の中心の光を芯と呼び、芯が二重のものを八重芯、三重のものを三重芯、四重を四重芯…と増していきます。飛び散る光(星と呼ぶ)が尾を引いて広がるものを「菊」といい、引先の色が変化する「変化菊」と組み合わせた芯入りの変化菊は、和製花火の真骨頂です。

菊花型花火 撮影:荻野陽望

千輪菊

 1つの大きな花火玉の中にたくさんの小さな玉が詰まっている千輪菊は、時間差で次々と小さな花が開きます。さまざまな色の花が夜空を彩るものは「彩色千輪菊」「百花園」などとも呼ばれています。

千輪菊花火 撮影:荻野陽望

糸柳

 丸く開かず、ポカッと割れる物もあります。代表的な「ぽか物」は「糸柳」や「蜂」で、開いた後にあまり飛び散らずに動くのが特徴です。単独ではなくスターマイン(連射)の一部として上げられることが多いです。

糸柳花火 撮影:荻野陽望

 

匠の技を見に「祭り」の旅へ

世界が誇る日本の伝統工芸「花火」鑑賞の旅へ

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