知ってましたか?花のお酒~お花で美容と健康増進!~

たび小町(PR)

キンモクセイ

 さまざまな薬効や香りが加わるとして、古くから花を使ったお酒が造られてきました。古代から現代にいたるまで、健康や癒やし、あるいは美容効果を追い求める人々を魅了してきた花のお酒。 その力にふれてみましょう。

桂花陳酒 楊貴妃も愛した加香ワイン

 お酒や生薬に長い歴史を持つ中国において、よく知られる花のお酒が桂花陳酒けいふぁちんしゅです。桂花は日本でいうキンモクセイのことで、花びらと蕾を白ワインに漬け込み、数年間熟成させたもの。桂花の栽培が盛んな蘇州や杭州産のキンモクセイが多く使われ、特に初花で造られた桂花陳酒が最高ともいわれています。

桂花陳酒
きれいな琥珀色をした桂花陳酒。適度な甘みがある。オンザロックやソーダ割りがおすすめ

 桂花は中国で古くから食用・飲用に使われ、その甘い香りにはリラックス効果や不安を抑える沈静作用があるといわれています。また、食欲を伝達する物質「オレキシン」の脳内での発生を抑える効果もあるとされ、過度な食欲を抑えてダイエットの助けにもなるとして、その効果が注目されています。

 桂花陳酒の魅力は、やはり桂花とワインの香りが混ざり合った独特の芳香にあります。もともと、唐の玄宗皇帝が寵姫・楊貴妃のために造らせたものともいわれ、宮廷で美女に捧げられたお酒でした。世界三大美女のひとりといわれる楊貴妃にとって、このお酒の甘い香りが、美容はもちろん心身の健康を維持するために欠かせないものだったのかもしれません。中国では、端午の節句(菖蒲の節句)の菖蒲酒、重陽節(菊の節句)の菊花酒など、邪気払いや長寿を願って季節の節目に花のお酒を飲む習慣も生まれました。馥郁ふくいくたる花とお酒、まさに季節の風流を感じさせる組み合わせです。

桂林
風光明媚な中国・桂林はその名のとおり「桂花」の地。秋になると、いたるところでキンモクセイの花と香りを楽しめます

ロゾリオ 女性を救った花のリキュール

 ヨーロッパでは中国とはまた別の、花のリキュールの文化が芽生え、発展してきました。

 現代のリキュールは、スピリッツ(蒸留酒)に果物や薬草などの素材の香味を移し、砂糖やシロップを加えたものをいますが、こうした蒸留酒を使う混成酒の誕生は、錬金術の手法でアルコールを蒸留する技術が確立した中世以降。その拠点となったのが修道院です。

 当時の修道院では、僧侶たちが健康の維持や信者への福祉を目的に酒造りを行うのは珍しくなく、良い酒を造るのが名誉とされたほど。14世紀にヨーロッパ全土でペストが蔓延した時、スピリッツに薬草を溶かし込んだ薬酒が治療に使われています。15世紀、イタリアの医師ミケーネ・サボナローラが、病弱な女性のためにブランデーにバラの花の香りを溶かし入れたものを作りました。薬酒を嫌う女性もこれを気に入り、飲むようになったといわれています。このお酒はラテン語で「ロゾリオ」(太陽のしずく)と呼ばれ、今もバラのリキュールとして親しまれています。

ロゾリオ
ラテン語で露を指すロス(ros)、太陽を意味するソリス(solis)から、ロゾリオ(太陽のしずく)と命名されました

 また、ブルガリアはヨーロッパではバラの国と呼ばれるほど栽培が盛んで、この国のローズオイルの多くがフランスの有名香水などの原料となっています。バラの花を発酵させた「ギュロヴィツァ」という伝統的なお酒は「神様の飲み物」と呼ばれ、現代でも日常的に飲まれています。

バラ祭り
バラの国・ブルガリアのカザンラクで毎年6月に開催される「バラ祭り」。街は華やかな雰囲気に包まれ、バラのお酒もふるまわれます
バラ
香りのある華やかな花をつけるものが多く、観賞用はもちろん、バラ水や香油の原料として古代ギリシャ・ローマ時代から使われています

忍冬酒 家康が好んだ健康長寿の力

 ヨーロッパから日本へリキュールが伝わったのは戦国時代末期。宣教師がワインとともに豊臣秀吉に献上したといわれています。当時「利休酒」と記述されたのがリキュールのことではないかとされています。

 日本で生まれた花のリキュールの代表格が忍冬酒にんとうしゅ。三河から浜松に拠点を移した徳川家康が、スイカズラを使ったこのお酒を好んだことで知られています。スイカズラには利尿や解熱、解毒効果があるとされ、家康以前から浜松では忍冬酒が造られていました。花や茎、葉を焼酎やみりんに漬け込んだもので、これを家康はいたく気に入り、献上した者を手厚く保護して、自分のために忍冬酒を造らせたといいます。家康が天下を取り、当時としては長寿の満75歳まで生きたのは、はかなげな白い花で造られたこのお酒のおかげだったのかもしれません。忍冬酒は愛知県の犬山などで今も造り続けられているほか、戦前に製造がとだえた浜松でも、20年ほど前に製造が再開されています。

忍冬酒
愛知県犬山市の小島醸造は慶長2年(1597)の創業。今も、昔と変わらない製法で忍冬酒を造り続けています(写真提供:小島醸造)

 また、国内最古の神社のひとつ奈良県・大神神社とその摂社の狭井神社では、疫病を鎮める祭り「鎮花祭」が毎年4月に行われ、古来の薬草としてスイカズラと百合根が供えられ、参拝者には三輪山のスイカズラで造られた忍冬酒が配られているそうです。古くから世界各地で育まれてきた花のお酒。旅先で出会うその芳しい香りや美しい色に、人々が込めたさまざまな思いを感じてみてください。

スイカズラ(忍冬、吸葛)
花から蜜が吸えることから吸葛、冬でも緑の葉を茂らせることから忍冬とも呼ばれるように

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