ダイナミックな景色を楽しめる山岳鉄道の魅力

たび小町(PR)

ブリエンツ湖の絶景を見渡せるブリエンツ・ロートホルン鉄道(スイス)

 本格的な登山やハイキングでなくても、壮大な山岳景観の中を旅してみたい。そんな願いを叶えてくれる心強い味方が、登山鉄道など山岳を走る鉄道です。今回のは、世界各地の個性豊かな鉄道を紹介します。

人々の夢をかなえたスイスの登山鉄道

 山岳鉄道の中でも、文字通り山を登るために生まれたのが登山鉄道です。最高峰のモンブラン(標高4810m)をはじめマッターホルン、ユングフラウなど数々の名峰を擁するヨーロッパアルプスでは、18世紀後半に本格的な登山の時代が到来しました、続いて、登山家以外の人々もその景観を楽しみにやってくるようになりました。高台や山頂など見晴らしのよい場所にホテルが建ち、19世紀になるとイギリスなどからの訪問客で相当な賑わいを見せていたといいます。

雄大なアルプスの眺めを楽しめるユングフラウ鉄道(スイス)

 こうした山岳観光の人気の高まりと、徒歩やロバに頼らずもっと安全に、もっと楽に登りたいというニーズに応えて、スイスに登山鉄道が生まれたのは1871年。日本でおか蒸気が走り出す前のことです。ヨーロッパ初の登山鉄道となったフィッツナウ・リギ鉄道の完成に続き、ピラトゥス鉄道、ベルナーオーバーラント鉄道、ブリエンツ・ロートホルン鉄道、ユングフラウ鉄道などが相次いで登場。スイスは一気に登山鉄道王国となっていきました。

 今ほど掘削などの技術が発達していなかったこともあり、スイスの登山鉄道の多くはトンネルが少なく、急な傾斜を登りながら連続するカーブ、谷を越える橋梁など地形を生かしたルートとなっています。雄大なアルプスの眺めを存分に、かつ手軽に楽しめるスイスの登山鉄道は多くの人々を魅了し、他の国々でも個性的な登山鉄道が生まれていきました。

急勾配を制する工夫が個性的な魅力に

 険しい山あいをゆっくりと登っていく登山鉄道。こうした急勾配を進む方式として古くから多く採られているのが、ラックレール式という仕組みです。2本の走行用線路の間に凹凸のついた歯形状のレール(ラックレール)があり、これを車両側の歯車とかみ合わせて進みます。

 急峻なルートを行くため、さらに独特の工夫が施された登山鉄道は多いですが登山鉄道王国スイスの中でもとりわけ異彩を放つのが、ピラトゥス鉄道です。運行距離はわずか4.6kmながら高低差は1600m以上。最大傾斜度は48%(1km進む間に480m登る)でラックレール式登山鉄道では世界一と言われています。1889年のパリ万博で発表されたロッヒャー式という当時の革新的なシステムによって、この急登を克服しました。
※ロッヒャー式:ラックレール式のひとつで、2つの歯車が歯形をがっちり挟み込む仕組み。

急峻なルートを行くピラトゥス鉄道(スイス)

 湖畔のアルプナッハシュタートからピラトゥス山頂に向け、牧草地から白い岩壁へとぐんぐん上がっていく赤い車両は、傾斜に合わせた平行四辺形。車内も駅のホームも階段状の構造で、すべてが急勾配仕様です。山頂駅には屋外テラス、絶景レストランがあるホテルが立ち、運行期間(5~11月)には世界中から旅行者が訪れます。一般の鉄道の場合、機関車は先頭から客車や貨車を牽引します。ところが、登山鉄道では機関車が後ろに回り、最後尾から客車を押し上げるものもあります。これは安全性への配慮で、いざという時に機関車で踏みとどまれるようになっているのです。

ブリエンツ・ロートホルン鉄道(スイス)

 1892年の開業当時と同様、今も蒸気機関車で運行される登山鉄道スイスのブリエンツ・ロートホルン鉄道もそのひとつです。大きな窓に覆われた客車を、小さな機関車が後ろから押し上げていきます。蒸気を吐く音や汽笛を背後に聞きながら、ブリエンツ湖やベルナーアルプスなどの絶景を見渡すことができます。

 映画『サウンド・オブ・ミュージック』にも登場したオーストリアのシャーフベルク鉄道や、世界最古のラックレール式鉄道、アメリカ・ニューハンプシャー州にあるワシントン山ラック式鉄道なども「後ろ押し」のスタイルです。勾配に合わせて機関車のボイラー部が少し傾いた昔ながらのユニークな列車たちが、今も元気に山を登っています。

美しい景観を創り出す橋梁やループ

 ダイナミックな自然の中に敷設された山岳鉄道は、車内からの眺めはもちろん、地形を生かし、高度を稼ぐための仕組みそのものが美しい景観を創り出しています。

ランドヴァッサー橋を行くレーティッシュ鉄道(スイス)

 2008年、鉄道としてスイス初の世界遺産に登録された「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」。自然景観はもちろん難所を攻略した鉄道建築の美しさが高く評価されています。とりわけ有名なのがアルブラ線のランドヴァッサー橋。緩やかにカーブする石造りのアーチ橋で断崖絶壁に掘られたトンネルに列車が吸い込まれるように消えていきます。5kmの間に400mも登るアルブラ谷の5つのループトンネルも見どころです。

鉄道王国スイスの魅力が凝縮されたベルニナ線

 一方、1800mもの標高差があるアルプス越えのルートを、長いトンネルも使わずに通常のレール(粘着式)で克服したベルニナ線は、数々の氷河の風景を仰ぎ、ビアンコ湖畔などを大きく旋回するカーブが続きます。歴史を感じさせる石造りの橋梁も多く、鉄道王国の魅力が凝縮された路線といえます。

 ノルウェーのフロム鉄道は、海抜わずか2mのフィヨルド沿岸から標高866mのミュルダール駅までを結びます。北欧らしいフィヨルドや山岳など、約20kmの運行距離の間に車窓の景色は目まぐるしく変わっていきます。氷河の浸食で造られたフロム峡谷には名瀑が多く、夏シーズンは沿線の滝見物のために一時停車することもあります。

阿里山森林鉄道(台湾)

 アジアで個性的な山岳路線といえば、台湾の阿里山ありさん森林鉄道。日本統治時代、木材を運搬するために建設された鉄道で、始発駅と終着駅の標高差が実に2200m以上あり、3段式スイッチバックや約3回転もするスパイラル区間など、山岳鉄道ならではの醍醐味を存分に味わえます。

ダージリン・ヒマラヤ鉄道(インド)

 1999年に世界遺産登録されたインドのダージリン・ヒマラヤ鉄道は、イギリス統治時代・紅茶を運ぶ役割も担って敷設されたものです。トンネルを極力少なくしてループやスイッチバックが多用されました。小回りのきくわずか60cmほどの狭軌に、「トイ・トレイン」と呼ばれるおもちゃのような小ぶりな車両は、とてもかわいらしく見えます。ゆっくりとしたスピードでヒマラヤや紅茶畑の景色を堪能できます。

高所を行くスリリングな絶景体験も

 ヨーロッパの山岳鉄道には主に観光目的で造られたものが多いですが、北米には開拓時代の鉱石運搬用としてなど「働く列車」として生まれたものも数多く存在します。このため、今では観光鉄道でありながら、「本当にここを走って大丈夫?」と思ってしまうようなスリリングな体験ができる鉄道もあります。

アメリカとカナダの雄大な景色を味わえるホワイトパス&ユーコンルート

 そのひとつが、アメリカ・アラスカ州スキャグウェイからカナダ・ユーコン準州へ走るホワイトパス&ユーコンルート。多くの人が一獲千金を求めたゴールドラッシュの頃に建設され1988年観光鉄道として復活しました。アラスカやカナダらしい雄大な景色とともに、今なお残る建設当時の面影が魅力で、木造の鉄道橋がきしむ様子は夢の時代のワンシーンに紛れ込んだような気分にさせてくれます。

レトロな機関車が牽引するジョージタウン・ループ鉄道(アメリカ)

 アメリカ・コロラド州のジョージタウンはかつてシルバーラッシュにわいた町。鉱石輸送のために敷設されたジョージタウン・ループ鉄道は1938年に廃止されたものの、1984年に観光鉄道として復元されました。レトロな機関車が牽引する客車には屋根がないものもあり、ループを描く急勾配のレール上で、風と音をダイレクトに感じられます。

ラ・ポルボリージャ鉄橋を行く「雲の列車」(アルゼンチン)

 南米では、アルゼンチン北部・サルタの山岳部を走る「雲の列車」を挙げます。標高約4200mのラ・ポルボリージャ鉄橋を目指し、ループ橋やスイッチバックで高度を上げて走る世界屈指の高原列車です。長さ約220m、高さは70mもあるスリリングな鉄橋が印象的です。文字どおり雲の上のような高地を走るため、車内には酸素ボンベや看護師も配備され、ミュージシャンの演奏でアンデスの音楽も楽しめます。

 日本ではまず出会えない雄大な山々や峡谷の景観、そして飛行機や車では行くことが難しい絶景の地へ、個性豊かな鉄道に乗って訪れてみましょう。

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