ライフスタイルは今も憧れ…向田邦子没後40年特別イベント

美術展ナビ

愛猫家でも知られた向田邦子さん 写真提供:かごしま近代文学館

内面も磨きたいあなたへ、読売新聞の運営する美術展情報サイト「美術展ナビ」から、働く女性の感性を刺激するアートの展示会やイベントを紹介します。

「阿修羅のごとく」「父の詫び状」「思い出トランプ」……。テレビ脚本家、エッセイスト、小説家として珠玉の名作を次々に世に送り出し、51歳の若さで台湾の空に散った向田邦子さん(1929~81年)。その没後40年を記念するイベント「いま、風が吹いている」が2021年1月、東京・青山の複合文化施設「SPIRAL(スパイラル)」で開かれます。内容は展覧会、ドキュメンタリー上映、「寺内貫太郎一家」をオマージュした舞台や、ドラマのテーマ曲などをフィーチャーしたコンサートなど盛りだくさん。比類ない文筆の業績を振り返るとともに、その軽やかで心豊かなライフスタイルを発想源に創作されるクリエーションが、向田さん最後の10年を暮らした青山の地で繰り広げられます。何かと窮屈なこの時代に生きる私たちに、活力を届けようという意欲的な試みです。

展覧会「いま、風が吹いている」

スパイラルガーデンでは、展覧会「いま、風が吹いている」を開催。向田さんの愛用品、生原稿、写真など約300点の資料を展示します。仕事もプライベートも好奇心いっぱいに駆け抜けた彼女の人生をたどります。会場の吹き抜けの空間には「風の塔」を設置。小泉今日子さんが語りを担当し、向田作品からよりすぐった言葉が、観客に届けられます。

向田邦子さん 写真提供:かごしま近代文学館
左から、向田さんの生原稿、愛用の筆記具、椅子
向田さんのワンピース

ドキュメンタリー「向田邦子の贈り物」

スパイラルホールで放映される「向田邦子の贈り物」は、向田さんに魅せられた各界の30余人が「わたしと向田邦子」をおおいに語り、歌い、踊り、つくるドキュメンタリー。小説家の角田光代さん、女優の岸本加代子さん、アーティストの小松美羽さん、エッセイストの酒井順子さん、漫才師の太田光さん、アナウンサーの中井美穂さん、チェリストの西谷牧人さん、脚本家の井上由美子さんらが、出演。未来につなぐ「今」の記録です。(※配信公演のみとなりました。)

上左から角田光代、太田光、中左から小松美羽、中井美穂、下左から西谷牧人、井上由美子(以上、敬称略)

舞台「寺内貫太郎33回忌」

一世を風靡ふうびしたドラマ「寺内貫太郎一家」。昔かたぎの石材店主人・寺内貫太郎が亡くなって32年。あっちの世界から、こっちの世界から、縁者が集まってワイワイガヤガヤ。昔ながらの寺内貫太郎一家が蘇ります。

左上から時計回り、浅田美代子、溝端淳平、荒川良々、小林亜星、青木さやか、眞島秀和(以上、敬称略)

出演は、女優の浅田美代子さん、俳優の溝端淳平さん、荒川良々さん、眞島秀和さん、タレントの青木さやかさん、作曲家の小林亜星(声)さん。(※配信公演のみとなりました。)

音楽「向田邦子・風のコンサート」

「阿修羅のごとく」「あ・うん」のテーマ曲をはじめ、向田作品おなじみの十数曲を、「石田組」の石田泰尚さんら、一流アーティストが奏でる1回限りの特別コンサートです。(※配信公演のみとなりました。)

「石田組」の石田泰尚(左)、チェロの西谷牧人(右)、ピアノの山中惇史(奥)(以上、敬称略)。豪華出演陣がそろった

食「ままやセット」

向田邦子さんと末妹・向田和子さんが共に開いた赤坂の小料理屋「ままや」。その看板メニューだった「ひと口カレー」「人参のピリ煮」「さつまいものレモン煮」を、料理家の冷水希三子さんが再解釈してよみがえらせました。1日限定30食。

「ままや」のロゴ入りマッチ

ほかにも、向田さんの著作の書籍の販売なども行われます。

監修にあたった末妹の向田和子さんは「51歳の生涯、その後衣食住の取材をあらゆる方々から受け、新聞雑誌等に紹介され続け、テレビドラマ、随筆、小説等は演劇、朗読、教科書等に採用され、今も皆々様のお力添えのもと生き続けています。ありがとうございます。没後40年イベント、開催。大好きな青山の住まいから300歩。スパイラルでお待ちしています」とコメントを寄せています。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

向田邦子 没後40年特別イベント 「いま、風が吹いている」

会期:2021年1月14日(木)~24日(日) 11:00~20:00
会場:SPIRAL(スパイラル)(東京都港区南青山)
*入場制限がある場合があります。

展覧会
会場:スパイラルガーデン(1F)*入場無料
1月14日(木)~24(日) 11:00~20:00

ドキュメンタリー『向田邦子からの贈り物』
1月20日(水)15:30、18:30
1月21日(木)12:30、15:30、18:30
上映時間:約80分
料金:配信500円(※配信公演のみとなりました。)

演劇『寺内貫太郎33回忌』
1月23日(土) 14:00、17:30
上演時間:約80分
料金:配信1000円(※配信公演のみとなりました。)

音楽『風のコンサート』
1月24日(日) 15:00
上演時間:約80分
料金:配信1000円(※配信公演のみとなりました。)

※イベントに関する詳しい情報はホームページへ。また、イベントに関する情報を随時更新しているインスタグラムも開設されている。

向田邦子(むこうだ・くにこ)
脚本家、エッセイスト、小説家

 1929年、東京生まれ。保険会社に勤める父親の転勤に伴って、幼少時から高等女学校時代まで日本全国を転々としながら育つ。実践女子専門学校(現・実践女子大学)国語科を卒業後、映画雑誌の編集者を経て、ラジオの構成作家、テレビ脚本家として活躍。代表作には「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」などがあり、70~80年代のヒットメーカーとなる。46歳での乳がん発症をきっかけにエッセイを手掛けるようになり、「父の詫び状」を出版。80年「小説新潮」に連載中の『思い出トランプ』の「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」で第83回直木賞を受賞し、“時の人”となる。81年8月、飛行機事故で急逝。享年51。残した作品と同様に、旺盛な好奇心を寄せたセンスのいい生活スタイルが多くの人々を魅了し続けている。

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