長崎・上五島の自然を感じる、とっておきのホテル

リフレッシュ! 極上旅

長崎・上五島で宿泊したのは、高台にある小さなリゾート。朝は港を出る船の音で目覚め、夜は星を仰ぎながら温泉に入って眠りにつく……。自然を感じるこの時間が、上五島を旅する醍醐味だいごみでもあります。美しい海や緑の山を満喫できるホテルで、旅情たっぷりのひとときを過ごしました。

海をのぞむ高台のホテルでくつろぐ

「五島列島リゾートホテル マルゲリータ」に到着したのは、夕暮れどき。ホテルの前の東シナ海がオレンジ色に染まり、太陽が沈もうとしている瞬間でした。地形のくびれた部分に位置し、東の五島灘と西の東シナ海を一望できる場所。静かに太陽が昇り沈む島の空を、ホテルでくつろぎながら眺めることができます。

ホテルのエントランス前は、絶好の夕景鑑賞スポット

建物は、周辺の自然に溶け込むような低層の3階建て。部屋数は、島に点在する教会数と同じ29室で、多くの教会と同じように海を向いています。客室からの眺めは格別です。天気が良ければ、東側のゲストルームからは五島灘に昇る朝日を、西側のゲストルームからは東シナ海に沈む夕日を眺めることができます。私が選んだゲストルームは、五島灘ビューの東側。シンプルで無垢むくなイメージのインテリアに、ほっと落ち着きます。

白を基調とし、広々としたロビー
最も多いスーペリアタイプでも部屋の広さは約31平米と広々

このリゾートでなにより楽しみにしていたのが、レストラン「空と海の十字路」のディナーでした。最良の漁場として知られる上五島のイタリアンと聞けば、おのずと期待が高まります。

夕食、朝食ともにレストラン「空と海の十字路」で。メニューには和食も用意されているので、連泊すればさらに食の楽しみは広がりそう

いただいたのは、イタリアンのフルコース。食材には近くの港で水揚げされた魚介類のほか、五島牛や島の野菜など使われ、上五島の恵みをたっぷりと味わうことができました。シーフードがおいしい旅先では、豪快な船盛りもいいけれど、ワインと合わせながら、繊細な盛り付けの洋食で魚をいただくのも楽しみのひとつです。

パテや地野菜のマリネ、カルパッチョなどの前菜(左)、五島牛の煮込みなど、島の恵みを満喫

食後は、源泉かけ流しの温泉へ。造りはシンプルですが、湯量は豊富で、空と海を眺める開放感もあり、体の芯からリラックスできます。翌朝は早起きをして朝日を眺めたかったので、早めに就寝。心地いいリネンのベッドで熟睡したためか、温泉の効果か、目覚ましが鳴る前に、すっきりと目が覚めました。

源泉は、刺激の少ない単純温泉
タマネギのスープや手作りパン、フレンチトーストが目覚めの体に優しい朝食

翌朝も食の楽しみは続きます。朝食メニューは、自家製のパンやソーセージ、魚のすり身揚げなど、ていねいに手作りされたものばかり。なかでも、長崎みかんやリンゴの手作りジャムが絶品! あまりのおいしさにお土産に買おうと思ったのですが、無添加で日持ちがしないため、販売はしないとのこと。これも、ここに宿泊しなければ味わえない楽しみのひとつです。

港を一望、島の営みを感じる風景に癒やされる

翌日の宿泊は、気分を変えて、同系列の「五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾」へ。前々回ご紹介した奈良尾港周辺を見下ろす高台に立っています。

「五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾」は2019年3月にオープンしたホテル

チェックインの際にいただいたのは、ウエルカムドリンクの椿つばき茶と、地元の老舗店が作る豆ようかん。上五島に自生する椿の葉をもみ発酵させた椿茶は自然な甘さがあり、旅の疲れをそっと癒やしてくれます。

ウエルカムドリンクの椿茶とお菓子でほっこり

部屋に入ると、眼下には奈良尾港が広がっていました。夜にチェックインしたときは、ずいぶん穏やかな港だなあと思ったのですが、翌朝は何やらにぎやかな様子。この日はちょうど、大型「まき網」漁の船が船団を組んで漁に出る、月に1度の出港日だったのです。海や空の絶景も素晴らしいけれど、島の営みを感じられる、こんな風景にも旅情がかきたてられます。

部屋タイプ「エグゼクティブオーシャン」はリビング、ベッドルームともにオーシャンビュー

前日に宿泊した「五島列島リゾートホテル マルゲリータ」のレストランはイタリアンがメインですが、こちらの食の楽しみは、日本食。レストラン「海ト空○ト星(うみとそらまるとほし)」での朝食は、体に優しい食材をふんだんに使った和食膳をいただきました。土鍋で炊いた五島産のミルキー米はもちもちとおいしく、小鉢の料理はバラエティーがあり、朝から食が進みます。

朝食は炊きたてのご飯と優しい和食膳

スタッフの齊藤勇希さんは、時間さえあれば釣りを楽しむという、島の魚を熟知した方。次回は夕食も予約して、たっぷりと魚料理を楽しもうと思っています。

さて、海が美しい上五島で、ずっと気になっていた食材が、添加物を入れずに海水だけで作る天然の海水塩でした。そこで、手作りの塩工房、「矢堅目やがための塩本舗」を訪ねることに。工房は、もうもうと湯気が立ち上り、まきでたく釜の中で海水がふつふつと煮詰まっているところでした。

強火で一昼夜かけて煮詰めた後は、さらに弱火で煮詰めて結晶化させます。そして、うまみや甘みを引き出すために約2日間寝かせてろ過。こうして完成する塩作りは、オーナーの川口秀太さん夫妻が、すべて手作業で行います。昔ながらの「平釜式」と呼ばれる製法で、完成までには数日がかかるのだそう。

満潮時に目の前の海から水をくみ取り、「平釜式」と呼ばれる昔ながらの製法で煮詰めて塩を作る(左)。添加物を入れない、ミネラル豊富な天然の塩

粗塩を味見してみると、最初は強い塩味を感じますが、後からまろやかさが広がります。「五島の海は濃度があるので、パンチがきいた塩ができるんです。白身魚の刺し身や焼き魚に合いますよ」と川口さん。

工房に併設したショップには、お土産にしたくなる小箱入りの塩や、塩を使ったキャンディーや調味料などがずらりと並んでいました。椿茶で風味付けしたものや、海藻と煮詰めた藻塩もしおなど、塩の種類も豊富で、塩好きとしてはいろいろと試してみたくなります。

パッケージや風味、サイズもいろいろあり、お土産にぴったり

入手した各種の塩はその後、キッチンで大活躍。まろやかな「藻塩」はステーキに、上品な香りの「つばき茶塩」はサラダに、「あら塩」はアヒージョやカルパッチョにと、幅広く活用しています。

さて、2017年から続いた「リフレッシュ! 極上旅」はこの回で最終回となります。旅先で出会った人や物、風景、ときにはハプニングを振り返りながら記事を書き、毎回、私も皆さんと一緒に旅をしていた気分でした。旅で重要なことは、そこを訪れた回数や滞在日数ではなく、「何を感じたか」ですね。皆さんも、旅に思いをはせたり、振り返ったりと、これからも素敵な「旅時間」をお過ごしください。

新上五島町観光なび
五島列島リゾートホテル マルゲリータ
五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾
矢堅目の塩本舗

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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