目の前の野生動物に興奮! 南アフリカで本物のサファリ体験

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大地を駆けるインパラや、目の前を横切るバファローの群れ、木陰で寄り添う象の親子……。そんな感動的なシーンを間近で見られるのが、南アフリカの動物保護区です。エリア内には優雅なロッジもあり、ここに泊まりながら、安全に、快適に、ゲームドライブを楽しむことができます。

ダントツ人気のゲームドライブとは?

オープンカーに乗り、ブッシュのなかで野生動物を探す「ゲームドライブ」は、南アフリカで最も人気のあるアクティビティー。動物が生息している時間や場所を熟知したレンジャーのナビゲートで行われるので、野生動物にぐっと近づくことができます。

想像するだけでもワイルドなアクティビティーですが、危険な目に遭う心配はありません。やってはいけないことといえば、動物観察中に腰を上げて立つことや、動物を前に興奮して大声を発することぐらい。座って観察していれば、写真や動画を撮ることもできます。

専用のオープンカーでゲームドライブ。獲物にありつくライオンの一家が目の前に!

とはいえ、初めてゲームドライブを体験したときは、オープンカーが近づいても動物たちが平然としているのが不思議でなりませんでした。ヒョウやライオンのような猛獣に襲われるのではないかという不安も。でも、どのレンジャーも、「彼らは、人間が危害を加えないことを知っているから、襲うことも怖がることもないんだよ」と教えてくれます。無駄な狩りをしないというのは、自然の掟(おきて)、生きる知恵なのでしょうか。

ゲームドライブの代表的なスポットが、北部にあるクルーガー国立公園。四国がすっぽりと収まるほど広大な面積の中に多種多様の動物が生息する、この国最大の動物保護区です。

川を渡る像を発見!

実は、ここはかつて、趣味のハンティングや毛皮交易を目的に動物が乱獲される場所でした。1898年、トランスヴァール共和国(現在の南アフリカ共和国の北部)の大統領だったポール・クルーガーがその現状を嘆き、一帯を保護区に指定。後にエリアが拡大され、以来、120年以上にもわたり、動物たちの平和が保たれています。ブッシュで動物が人間を襲わないのは、野生を守る人々の努力の賜物(たまもの)なのかもしれません。

広大なブッシュには多種多様の動物が生息する

クルーガー国立公園の近隣には、いくつかの私営動物保護区があります。日本からはるばる南アフリカまで行くのなら、国立公園よりコストはかかりますが、私営動物保護区内にある豪華なロッジに泊まり、プライベートカーでゲームドライブ三昧の旅がおすすめです。私営といっても、決して人工的な環境ではありません。国立公園との境界にフェンスはなく、動物たちは双方を自由に行き来しています。

2~3時間かけて行うゲームドライブの楽しみは、ただ野生動物を探すことだけではありません。途中、安全なエリアに車を止めて南アフリカ産のルイボスティーとスイーツで一息つくティータイムや、大自然の中でワインを飲みながらサンセットを眺める「サンダウナー」などが用意されているのも、私営動物保護区ならではの醍醐味(だいごみ)です。

ブッシュの中でティータイム。ルイボスティーとスイーツで一息つく

国立公園より規制が少ない私営動物保護区内で、レンジャーの判断で道なき道を行き、動物を探す……。そんなゲームドライブを何度か経験し、私はすっかりサファリ好きになってしまいました。

アフリカのインテリアに囲まれた優雅なロッジでグランピング

基本的に、ゲームドライブは動物が活発に動く早朝と夕方に行われるため、敷地内のロッジに連泊して楽しむことになります。ロッジ泊は、「シャワーはお湯が出る?」「暑かったり寒かったりしない?」と心配になるかもしれませんが、私営動物保護区内にあるロッジは多くが四つ星以上。ゲストルームは独立したヴィラタイプが一般的で、大自然と一体化したような環境にいながらにして、優雅な時間を過ごすことができます。

「サビサビ・ブッシュ・ロッジ」。広いテラス、屋外プール、スパなど施設も充実

ゲームドライブが行われる早朝と夕方以外は、ほぼずっとロッジで過ごすことになります。飽きてしまわないかという心配は無用。ハイティーを楽しんだり、スパでトリートメントを受けたりと楽しみが多く、退屈する暇はありません。

ビッグファイブと呼ばれる大型動物(ライオン、ヒョウ、サイ、象、バファロー)との遭遇率が高いことで知られているのが、川に挟まれた低高原地帯に位置するサビ・サンド私営動物保護区。敷地内にある「サビサビ・ブッシュ・ロッジ」は、南アフリカらしいインテリアに心がくすぐられる、私が大好きなロッジのひとつです。

土を練りこんだ壁や自然の木をそのまま使ったインテリアが南アフリカらしい

訪れてまず驚かされるのは、スケールの大きさ。私営動物保護区の入り口からロッジまで、一面のブッシュのなかを延々と走るのです。「こんなところに豪華なロッジが本当にあるの?」と思ってしまうほど。でも、ロッジに到着すれば、一瞬にしてリゾート気分にスイッチが入る素晴らしい世界が広がっています。

かやぶき屋根のエントランスやアフリカの調度品を置いた館内は、アフリカのイメージそのもの。25棟あるヴィラはすべてスイートタイプで、天蓋付きのベッドや、ブッシュを眺めるリビングスペース、ロッキングチェアを置いた広いバスルームがあります。心地良い眠りのためのターンダウン(夕方のベッドメイキングサービス)や、南アフリカのリキュールやワインが置かれたミニバー、国産のナチュラルなアメニティー……など、用意された環境は至れり尽くせり。

アメニティーは国産。部屋にはオールインクルーシブのお酒も用意

サファリロッジでは、食事は3食とも、施設内のダイニングでいただくケースがほとんどです。ロッジによってコース式だったりビュッフェ式だったりと様々ですが、「サビサビ・ブッシュ・ロッジ」は、朝食とランチはビュッフェ式、ディナーは半ビュッフェ式(メインをオーダーし、前菜やサイドディッシュ、デザートなどはビュッフェから選ぶスタイル)となっています。ビュッフェとはいえ、食材はハイクオリティー。お肉は焼きたて、野菜はみずみずしく、チーズは豊富、野菜にかける国産のオリーブオイルも絶品! 滞在中は、ずいぶんと食べ過ぎてしまいました。

ビュッフェ式の料理は食材が豊富で新鮮

多くのロッジでは、朝夕のゲームドライブを案内するレンジャーがディナーに同席します。彼らは、ブッシュの案内役でもあり、リゾートのホスト役でもあるのです。野生動物への造詣が深い彼らの話はとても興味深く、サファリロッジでの滞在をより思い出深いものにしてくれました。

野生動物の鳴き声を聞きながらくつろぐ、大自然のロッジ

東部に位置するシュシュルウエのウンフォロージ動物保護区は、前述のクルーガー国立公園に先駆け、1885年に設立されたアフリカ最古の動物保護区です。

私がここを訪れたのは2月。南アフリカはちょうど真夏にあたります。「夏は生い茂る草木に隠れて動物が見えないだろうなあ」と期待していなかったのですが、意外なことに、ゲームドライブでは多くの動物に出会うことができました。良く晴れた青い空と緑を背景に悠々と象やシマウマが行き交う光景は、夏ならでは。寒くないので、身軽な装いで楽しむことができます。

ウンフォロージ動物保護区に隣接する私有地に建つ「マンティス・ビエラ・ロッジ」は、2018年秋にオープンした新しいロッジ。川沿いに建つヴィラからの開放的な眺めと、洗練されたインテリアは、とてもモダンな印象です。

「マンティス・ビエラ・ロッジ」。雄大な自然に包まれた優雅なひとときを楽しめる
ラグジュアリー感を損ねず、環境に配慮し、ゲストがワイルドライフを楽しめるように設計

このロッジでなにより楽しみだったのは、南アフリカ料理とワイン。ディナーでいただいた郷土料理のポイキー(鉄鍋で野菜や肉、ワインを入れて長時間煮込んだシチューのような料理)は、ワイン産地・ステレンボッシュのメルローととてもよく合いました。

デザートは、アマルーラ・クリーム(南アフリカの果実、マルーラを使ったリキュール)のティラミス。2月に実がなるマルーラは、動物たちの大好物なのだそうです。とくに象はマルーラに目がなく、実が地面に落ちていない時は、幹を揺すって果実を木から落として食べるほど大好きなのだそう。夏のブッシュには、自然発酵したマルーラの実を食べて酔っぱらっている象がいる、という逸話もあります。そんな話を聞いた翌日、象がその大きな身体で木を揺すっているシーンに遭遇! ご機嫌で酔っぱらっているようにも見えたのは、気のせいでしょうか。

農家から仕入れた食材を使った朝食に大満足
現地の言葉で火を意味するボマを囲みながら、開放的な屋外でカジュアルに楽しめる夕食「ボマ・ディナー」

連泊するのが一般的なサファリロッジでは、食事も飽きないように工夫されています。「マンティス・ビエラ・ロッジ」での最後の夜は、同じ私有地にある別のロッジまで出かけ、そこで「ボマ・ディナー」を満喫。ボマ・ディナーというのは、屋外でブラーイ(アフリカ式のバーベキュー)や、アフリカンダンスが楽しめる、にぎやかな夕食会です。これもサファリロッジならではの楽しみ。満天の星を仰ぎながら食べる郷土料理とホスピタリティーは、今も忘れられない思い出です。

南アフリカ観光局
Sabi Sabi Bush Lodge
Mantis Biyela Lodge

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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