ニュージーランドのワインどころで、自然と音楽を楽しみ、貴重な酒を味わう

リフレッシュ! 極上旅

ニュージーランドの首都ウエリントンから車で約1時間に位置するワイララパ地方・マーティンボロは、有名なワインの産地。20軒あるワイナリーの多くが小規模な家族経営ですが、鑑評会での受賞歴のあるメーカーも多く、ワインどころとして国際的に高評価を得ています。私がウエリントンの旅を決めたのは、ここマーティンボロで、ワインを存分に楽しめるイベントがあったからでした。

ワイナリーホッピングと音楽のイベント

ウエリントンから車を走らせると、やがて辺りはのどかな田園風景に変わります。一面のブドウ畑が見えてきたら、そこがマーティンボロ。人口1600人ほどのこの村では、ピノノワールやソーヴィニヨンブランなどのブドウ品種が作られています。ここでおいしいワインが生まれる理由は、温暖で乾燥した気候と、昼夜の寒暖差、そして水はけの良い土壌があるから。ブドウの作付面積ではニュージーランド全体の約2~3%と規模は大きくありませんが、そのクオリティーは、世界に誇る高さです。

ウエリントンからマーティンボロまで車で約1時間。公共交通機関を使うなら、ウエリントン駅からフェザーストン駅まで電車で約1時間、そこからバスに乗り換えて約20分

そんなマーティンボロのワインを飲み、料理も音楽も楽しもう!という、ワイン好き、音楽好きにはたまらないイベントが、毎年初夏に開かれる「TOAST MARTINBOROUGH」です。1992年から続くイベントには、毎年10軒ほどのワイナリーが参加し、ワインをグラスで販売したり、フードトラックを出したり、特設ステージでライブ演奏を行ったりなどして、ゲストを迎えています。

入場料は90ニュージーランドドルで、ワインはチャージしたプリペイドカードで支払うシステム。グラスワイン付きブランチ、50ニュージーランドドル分のチャージ、オリジナルの麦わら帽子などが含まれるパッケージ(276ニュージーランドドル)もある

マーティンボロは産地として有名なものの、ワインそのものの生産量が少ないだけに、なかなか市場には出回らない希少なワインもあります。このイベントでは、そんなレアな銘柄がグラスで用意されることもあるほか、地元で話題のレストランとコラボレーションした限定料理が登場するとあって、期待は膨らみます。なにより、それぞれのワイナリーを循環するシャトルバスが運行されるから、参加者は好きなだけ(!)ワインを楽しめるのです。

芝生でくつろぎながら、生演奏を楽しんだり、ワインを味わったり

イベントは、リストバンド型のプリペイドカードを使って、シャトルバスを自由に乗り降りし、各ワイナリーのワインや料理を購入するシステムです。私は事前にチケットを購入。当日、イベント本部でテイスティング用のグラス、リストバンド型プリペイドカード、各ワイナリーで行われるライブのスケジュールなどが記されたプログラムを受け取ったら、あとはワイナリーに繰り出すだけ!

ワインの生産者に会えるのも、このイベントの魅力のひとつ

私がこの日に巡ったワイナリーは4軒。レストランが併設された1軒目でゆっくりとブランチを楽しみ、その後、それぞれのワイナリーでライブや料理を楽しみました。のんびりペースでも、1日でこのぐらいは十分に巡れます。干し草を重ねたベンチやソファ(「アルプスの少女ハイジ」で見たような!)でワインを飲んだり、生バンドの演奏で踊ったり、疲れて芝生に寝っ転がる初夏の一日は、至福の時間でした。

各ワイナリーでの料理やワインの料金は、イベントのウェブサイトに掲載されている。それを参考にしながらプリペイドカードにチャージするのがおすすめ

ワインもさることながら、思いのほか充実していたのは、ライブ会場。王道のポップスやロックからラテンのバンドまで、バラエティーに富んでいます。実は、私はここ十数年、いわゆる「フェス」からすっかり遠のいていました。人混みは大の苦手だし、フェスによってはファッションにも気を使わなければならないことが、少々おっくうだからです。でも、このイベントは、そんな煩わしさはいっさいなし。老若男女が思い思いに、自由に、自分らしく、音楽を楽しむ様子は、とても温かでステキでした。

フードコートには、旬の食材を使った料理も登場。イベントが開かれる頃に旬を迎えるアスパラガスとホワイトベイト(シラスに似た小魚)のオムレツがおいしい

2020年の「TOAST MARTINBOROUGH」は11月22日(日)に開催予定。こんな自由なイベントには、また行きたいなあ。もちろん、イベントがないときでも、ワイナリー巡りは可能で、人気のアクティビティーのひとつとなっています。

小さく美しい街、グレイタウンを散策

ワイララパ地方の中心地は、マーティンボロから車で約15分のところにあるグレイタウンという街です。人口2000人強の小さな街は、かつて「ニュージーランドで最も美しい小さな町」に認定されたこともあります。

グレイタウンはその昔、農地を求めてウエリントンからやってきた人々によって、計画的に作られた街なのだそう。メインストリートにビクトリア朝様式の木造建築が並ぶ景観は、まるで映画のセットのようなかわいらしさです。通りに点在するのは、チョコレート工房やオーガニックフード店、ブティックなど。個性的で洗練されたところが多く、散策しているだけでも楽しくなります。

コロニアル風の建物が並ぶグレイタウン

私が景観の美しさ以上にひかれたのは、食材の素晴らしさ。周辺の土壌は肥よくのため、ワインだけでなく、果物や野菜、乳製品は味が濃くておいしいのです。さすが、マオリ語で「輝く水の土地」を意味するワイララパ。

グレイタウンはその環境の良さから、移住してくるアーティストも多いといいます。映画界の巨匠、カナダ出身のジェームズ・キャメロン監督もここに家を構えているのだとか。

ジェームズ・キャメロン監督の農園「キャメロン・ファミリー・ファーム」の商品を販売しているのは、「FOOD FOREST ORGANICS(フード・フォレスト・オーガニックス)」。店内には、農園から直送される新鮮なオーガニック野菜や果物、雑穀、ハチミツなどが所狭しと並んでいました。私は抗菌作用のあるマヌカ(ニュージーランドのハーブ)入りのハチミツを購入。それまでに食べたどんなマヌカハニーよりも風味が優しく、クラッカーに乗せたり、紅茶に入れたりして愛用しています。そのおかげか、この冬はまだ一度も風邪をひいていません。

オーガニック食材がそろう「フード・フォレスト・オーガニック」
「フード・フォレスト・オーガニックス」でお土産探し(左)。庭やカフェも併設され、お茶やランチを楽しむこともできる

スイーツ好きの友人へのお土産にしたのは、チョコレート工房「Schoc Chocolates(ショック・チョコレート)」の板チョコです。イチゴやミントなど定番のフレーバーに加え、スパイス入り、ハーブ入りなど、60種類ほどのフレーバーがそろいます。ライム&チリのフレーバーは今まで食べたことがないのに、クセになる味。お土産としても大好評でした。

「ショック・チョコレート」のショコラティエ、ムーレイ・ランガムさんは根っからのチョコ職人
さまざまなフレーバーのチョコレート

ニュージーランド政府観光局
ニュージーランド航空
TOAST MARTINBOROUGH

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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