クリエイティブなウエリントンはブルワリー巡りが楽しい!

リフレッシュ! 極上旅

ニュージーランドの首都ウエリントンは、豊かな食も楽しみのひとつ。この国のグルメといえばワインが有名ですが、目下、クラフトビールにも熱い視線が注がれています。ブルワリー直営のタップルーム(たる生クラフトビールが飲めるバー)を訪ねれば、造り手のこだわりが反映された個性的なビールが勢ぞろい。珍しいテイストのものも多く、いろいろと飲み比べたくなります。

味とストーリーを楽しみたいクラフトビール

「Garage Project」は、ウエリントンだけにとどまらず、ニュージーランド中のビール愛好家に知られているブルワリー。醸造所らしからぬ風変わりな名前は、建物がかつて車の修理工場だったことから名づけられたのだそうです。

ガソリンスタンドと併設の修理工場を改装した「Garage Project」

特徴はユニークなフレーバーの数々。香り高いホップを使い、シャンパンのように仕立てた「ホップス・オン・ポアント」や、さわやかなユズの香りとグリーンペッパーが利いた「ユズコショウ」まで、さまざまなものがそろいます。ずばり日本語そのものが名付けられたピルスナーの「初恋」や、昆布や日本のかつお節を加え、うまみ成分にこだわった「UMAMI MONSTER」、沖縄の黒糖を使った黒ビールの「KURO」など、日本からインスピレーションを受けたものもありました。

醸造所ではビールの量り売りも。試飲をしてから選ぶことができる

醸造所では数種類のビールの試飲に加え、ペットボトルや持ち込みの容器に詰めてテイクアウトできる量り売りも行っています。容器に炭酸ガスを入れ、中の空気を抜いてからビールを入れるので、状態はフレッシュなまま。新鮮なクラフトビールを自宅でゆっくり飲めるなんて、うらやましい環境です。

醸造所から歩いてすぐのところには、直営のタップルームもあります。平日の16時に訪れると、すでにビール好きで大にぎわい。カウンター奥には、たくさんのタップ(サーバーからビールを注ぐ口)が並んでいました。

タップハンドルがずらりと並ぶタップルーム。夕方早いうちから大にぎわい!

ビールは種類が多すぎて、何を飲もうか迷ってしまうほど。私は日替わりのテイスティングセットを試すことにしました。このとき試した「CAN LAH!」はマレーシア料理店とのコラボレーションで生まれた一品。トロピカルフルーツの香りに、東南アジアのスパイシーな屋台料理が恋しくなる味です。「La Calavera Catrina」は香辛料のハバネロ入りでピリッとした風味がクセになりそう。原料がユニークというだけではなく、味わいもよく、すっかり奥深いビールの世界に迷い込んでしまいました。

2011年、3人で立ち上げたブルワリーは今、世界が注目するまでに成長。ジョス・ラッフェルさんは創業者の一人

2011年、3人の有志で立ち上げた「Garage Project」は今、世界から高く評価されるブルワリーに成長しています。その背景にあるのは、ビールへの愛情と、斬新なアイデア、世界中の食に対する探求心。創業者の一人であるジョス・ラッフェルさんに説明をうかがっているとき、日本語の「わび・さび」という言葉まで飛び出して驚かされました。

昼間からさわやかに飲みたい中心部のブルワリー

街の中心部にあり、より行きやすいのは「FORTUNE FAVOURS」。前回紹介した個性的なショップが点在するハンナーズレーンウェイにあります。階段で2階に上がると、大きな窓のある開放的なフロアは活気いっぱい。カフェでコーヒーを飲むような和やかな空気の中、多くの人がクラフトビールを楽しんでいました。お酒を飲むところというよりも、集い、語り、リラックスする場所といった雰囲気です。

明るく開放的な店内

このブルワリーでも、醸造したての新鮮なビールを提供しています。店内には、ビールを醸造するタンクもありました。気持ちのいいテラス席で飲むもよし、タンクを眺めながら店内で飲むもよし。

店内にはビールを醸造するタンクも

手のひらの形をしたタップハンドルから注がれるのは、個性豊かなビール。代表銘柄のペールエール、「Naturalist」は柑橘かんきつ系のフレーバーで、渇いた喉を潤してくれます。「Adventurer」はテラスで飲むのがぴったりの、爽快な味わいのピルスナー。「Necromancer」は、キウイのホップを使った黒ビールです。

手の形をしたタップハンドルがユニーク

こんなタップルームなら、カフェ感覚で一人でもぶらっと立ち寄れそう。一杯飲んで、また街歩き。日本でもクラフトビールが浸透しつつありますが、ウエリントンはよりカジュアルに楽しめる印象があります。私はこの旅で、ビールがより好きになりました。

コンテンポラリーアートを楽しむ、デザインホテル

街歩きを楽しんだウエリントンで拠点にしたホテルは、「QT  Museum Wellington」。オーストラリアで展開する新進気鋭のデザインホテルブランドの「QTホテルズ&リゾーツ」が、アートに特化した「ミュージアム・アート・ホテル」をリブランドし、2017年にオープンしたホテルです。私は以前にオーストラリア・メルボルンでQTホテルを利用したことがあり、今回もその個性を楽しみにしていました。

アート作品が飾られたパブリックスペース

館内に入り、まず迎えてくれたのは、大胆なコンテンポラリーアート。ロビーだけでなく、廊下にレストランなど、いたるところにアート作品が飾られています。ともすれば、とんがった雰囲気があるかといえば、ラグジュアリー感を損なわないようディスプレーしているので、とても落ち着きます。

ゲストルームのドアノブは、カバの形!

4階のゲストルームはすべて、地元のアーティストによる内装が施されています。部屋に入り、ぱっと目に飛び込んできたのは、窓の外のハーバーと、壁に大胆に描かれた絵。港町ウエリントンをモチーフにした絵は、テラスの壁にまで描かれていました。

アートホテルと聞いて、「ゲストルームはアバンギャルドな雰囲気なのかな?」と思っていたのですが、リラックスできる、とても温かな空間でした。

部屋の壁を飾るのは、地元アーティストが直接描いた絵

ちなみに、このホテルには有名なエピソードがあります。前身の「ミュージアム・アート・ホテル」の時代、ホテルは現在よりも海に近い場所にありました。しかし、地盤沈下が起こったため、1993年に引っ越し。なんと、4階建ての建物を、レールを敷き、けん引して移築したのだそうです。ホテルの壁には、そのエピソードをモチーフにした絵も描かれていました。

ニュージーランド政府観光局
ニュージーランド航空

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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