デートやショッピングに人気の港町・横浜。中華街で肉まんや小籠包に舌鼓を打ち、山下公園でのんびり海を眺めるのもいいですが、たそがれの時間にふらっと歩き、感動をお土産にするのはいかがでしょう。
ふりむくと「貴婦人」の姿
今回の「美術館ジャーニー」は、JR・横浜市営地下鉄「桜木町」駅からスタート。桜木町駅から横浜美術館を結ぶ「動く歩道」の途中で海側を見ると、横浜ランドマークタワーや大観覧車「コスモクロック21」、「海の貴婦人」と称された「帆船日本丸」が目の前に。迫力ある景色を楽しめます。火点し頃、万国橋まで足をのばせば、まるで絵に描いたようなみなとみらいエリアの夕景、夜景が一望でき、フォトスポットとしてもおすすめです。
風俗街がアートのまちに
かつて、違法風俗店舗が立ち並んでいた横浜市中区の「黄金町エリア」は、「アートによるまちづくり」を主軸として、NPO法人「黄金町エリアマネジメントセンター」がまちづくりを進めています。国内外の画家、彫刻家、建築家らを招き、若手クリエイターの実験の場として街を開放。地域コミュニティーに新たな可能性を生み出すアートフェスティバル「黄金町バザール」や、年齢や分野は関係なく、誰でも受講ができる「黄金町芸術学校」など、多彩な活動が行われています。

みなとみらいから山下公園のエリアで展覧会やアートイベントなどを精力的に企画・運営している「BankART1929」は今年3月、横浜みなとみらい線新高島駅構内地下1階に約1500平方メートルのアートスぺース「BankART Station」を新たにオープン。展覧会やイベントはもちろん、美術、演劇、ダンス、写真などアート全般をテーマにし、この15年間で延べ4900人を超える受講生を輩出した「BankART school」の講座も行われています。近隣の書店併設カフェ「BankART Home」、アートスペースの「BankART SILK」「R16 Studio」の4つのアート施設と連携して運営しているので、各施設のイベント開催時に横浜散策と併せて巡るのもおすすめです。
横浜美術館でオランジュリー美術館コレクション

1989年11月3日に開館した横浜美術館が30周年を迎えました。七つの展示室、11万冊を超える蔵書が自慢の美術情報センター、多彩なワークショップが行われるアトリエなどがあります。2011年からは、3年に1度行われている国際展「横浜トリエンナーレ」の主会場の一つにもなっています。日本を代表する建築家・丹下健三氏が設計した建物は、シンメトリーな外観と吹き抜けの開放的なグランドギャラリーが特徴的です。

油彩・カンヴァス、116×81cm
Photo © RMN-Grand Palais (musée de l’Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF
パリのオランジュリー美術館所蔵の名画を紹介する「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」が2020年1月13日まで開催されています。楽しそうな少女たちと明るい色彩が印象的なルノワールの代表作「ピアノを弾く少女たち」をはじめ、マティス、ピカソ、セザンヌら計13人の画家の69作品を展示。名作がまとまって来日するのは21年ぶりで、オランジュリー美術館の改修工事に合わせて実現しました。

ミュージアムショップでは、開館30周年を記念してニュージーランドにワイナリーを持つ大沢ワインズとコラボし、ラベルに所蔵作品の図版をあしらった記念ワインを発売。白ワインのラベルは、ルネ・マグリットの《王様の美術館》、赤ワインは、長谷川潔の《狐と葡萄(ラ・フォンテーヌ寓話)》です。
館内にある「Café小倉山」では、展覧会限定メニューとして「恋するオランジュリーラテ」を販売しています。オレンジピールとチョコレートの甘酸っぱいラテで、展覧会の余韻も味わえます。
600以上の飲食店が軒を連ねる「野毛」
みなとみらいエリアから15分ほど歩き、JR桜木町駅を挟んだ反対側に足を運ぶと、横浜随一の飲み屋街「野毛」があります。古くからある店や若いオーナーの新しい店など600以上の飲食店が軒を連ねています。都会的なみなとみらいエリアとはまた違った雰囲気で飲み歩きを楽しめます。

野毛に店を構える「イタリアン・バジル」は、テーブル席3つと8人用の立ち飲みカウンターのこじんまりしたダイニングバー。生ハムやレバーペーストの前菜のほか、定番のマルゲリータやパスタなど、ワンコイン(500円)で食べられるメニューも豊富。午後2時からオープンしているので、散策のついでに気軽に立ち寄ってのどを潤せます。
■横浜美術館
■黄金町エリアマネジメントセンター
■BankART1929
■イタリアン・バジル
