日本からぐっと行きやすく! 郷愁を誘うポルトガルの美しい街へ

リフレッシュ! 極上旅

坂道を走るケーブルカーは、リスボンのアイコン的存在

その独特の風景に、世界中の旅人が憧憬どうけいを抱くポルトガル。400年以上も前から日本と深いつながりを築いてきたこの国は、私たち日本人にとっては、どこか懐かしさを覚える異国でもあります。ユーラシア大陸の最西にあるポルトガルと、アジアの東にある日本。遠く離れた両国ですが、10月28日からアシアナ航空によるソウル―リスボンの直行便が就航したことにより、ぐっと旅がしやすくなりました。

スムーズな乗り換えで、一路、リスボンへ

ポルトガルを旅する人の間でよく使われる言葉が、「郷愁」や「憧憬」を意味する「サウダージ」という言葉。日本人であればなおのこと、その感情を強く覚えるかもしれません。なぜなら、ポルトガルは日本に初めて西洋文化をもたらした国だから。街を歩いていると、ふと心がくすぐられるような、懐かしい風景や文化に出会うことがあります。

石畳の通りにカラフルな建物が並び、旅情を誘うリスボン

それはたとえば、甘~いスイーツを食べたとき。大航海時代(15~17世紀)から日本に渡ってきた貿易商人や宣教師たちは、さまざまなお菓子を日本に伝えました。砂糖菓子の「コンフェイト」は金平糖、卵の黄身と砂糖を型に入れて焼く「パオンデロー」は、カステラ……と、身近な和菓子のルーツがポルトガル菓子にあるのは知られた話。郷土料理は魚を使ったシンプルなものも多く、異国にいながらにして、懐かしい味が楽しめます。

カステラのルーツの「パオンデロー」(左)や修道院に伝わるレシピで作るエッグタルト(右)など、ポルトガルはスイーツもバラエティー豊か
イワシの炭火焼き(左)やバカリャウ(干しタラ)を使った料理(右)など魚料理も多いポルトガル

そんな「遠くて近い国」とも言えるポルトガルへはこれまで、ヨーロッパの各都市で乗り継いで行くのが主流でした。そのため、コスト的、時間的、身体的にややハードルが高い旅先とも言えましたが、この秋、アシアナ航空がソウル・仁川インチョン(韓国)とリスボン(ポルトガル)をつなぐ直行便を就航。日本から乗り継ぎやすい仁川空港を経由するため、各段に旅がしやすくなっています。

私もさっそく、初就航の10月28日にポルトガルへ。直行便のスケジュール(月・水曜に運航)にあわせ、実質7日間でポルトガル各地をめぐるプランです。ポルトガルは何度目かの旅になりますが、ヨーロッパの都市を経由していたこれまでは、乗り継ぎの煩雑さに悩まされることもありました。その点、今回はとてもスムーズでストレスがありません。

エコノミー席よりも座席幅が広い、アシアナ航空のエコノミースマーティウム席。仁川―リスボン間は、エコノミー席にプラス約1万7000円とリーズナブル
仁川での乗り継ぎ時間は2時間50分。ビジネスラウンジでくつろぐにはちょうどいい時間の長さ

成田を午前9時に出発し、約2時間40分後、あっという間にソウルに到着。ソウルからリスボンまでの所要時間は約13時間20分と長いため、私は通常のエコノミー席より座席幅が7~10㎝広い「エコノミースマーティウム座席」を予約しました。足を伸ばせて身体的な負担が少ないことに加え、往路の仁川空港での乗り継ぎ時にビジネスラウンジも利用できます。2時間50分の乗り継ぎ時間は、ラウンジでビールを飲みながらゆったりとくつろいで、リスボンへと出発しました。

リスボンから足を延ばして中世の村へ

足を伸ばしてくつろいだり、機内Wi-Fi(有料)で仕事をしたりして空の上の時間を過ごし、リスボンに到着。リスボン空港から市の中心まで車で約20分と近く、定刻の午後6時50分に空港に到着した後、ディナーを楽しむことも十分に可能です。

さて、一口にポルトガルといっても地方色はさまざま。古城が残る森もあれば、シーフードがおいしい海辺のリゾート、中世の建物が残る古都など、その土地ごとに個性豊かな風景や文化があります。この旅では7日間を有効に使い、各地を訪ねました。

リスボンから足を延ばしやすく、女性ツーリストに人気のスポットといえば、中部地方のオビドス。人口800人ほどの小さな村ですが、美しい教会や家々の軒先で咲き乱れる花々が優しい雰囲気で迎えてくれます。ここは19世紀まで代々、「王妃の村」だった場所。1228年にデニス王が、妻のイザベル王妃にこの村をプレゼントしたことから、王妃の直轄地となりました。イザベル王妃は、新婚旅行で訪れたこの地をとても愛していたのだそう。村の風景だけでなく、そんな話もロマンチックです。

オビドスは、この地に魅せられたイザベル王妃に、デニス王がプレゼントした可愛らしい村
「谷間の真珠」とたたえられるオビドス村。旧城壁の中には100人ほどが暮らす

丘の上にある村は、ぐるりと城壁に囲まれています。ポルトガルでは、こうした中世の小さな村は決して珍しくありませんが、オビドスはより可愛らしい印象。

名物のサクランボ酒「ジンジーニャ」を売る店の構えもキュートで、いっそうメルヘンチックなムードを醸しています。

名物はサクランボのリキュール「ジンジーニャ」。チョコレート製の小さなカップに入れて飲むのが定番

そんなロマンチックな村もあれば、屈強な要塞のあるたくましい雰囲気の村もあり。オビドスから車で1時間強のトマールは、キリスト騎士団の本拠地として栄えた頃の面影を漂わせています。キリスト騎士団というのは、ローマ教皇によって認可された中世ヨーロッパの騎士修道会のこと。ポルトガルを大航海時代に導いた、かの有名なエンリケ航海王子も団長を務めていました。

12世紀に創立された「キリスト教修道院」は世界遺産に登録。ゴシック様式やマヌエル様式など、さまざまな建築様式が混在する
修道院を案内してくれたガイドさん。壁の装飾やアズレージョ(絵タイル)の意味を、ユーモアを交えながら話してくれる

丘の上に建つのは、キリスト修道院。祈る場所でもあり、敵からの攻撃を耐え抜いた要塞でもあります。キリスト騎士団が活躍していた当時、この修道院で暮らしていたのは修道士、つまり男性だけ。同じ中世に栄えた村のオビドスとは違った雰囲気もまた、新鮮に目に映ります。

雨に濡れる中世の都市トマール。優しい雰囲気に包まれながら、散策

騎士団の本拠地と聞いて、ちょっといかついイメージもあったトマールですが、丘を下りて街中を歩くと、素朴な風景が広がっていました。日没後は、雨に濡れた石畳の通りをオレンジ色の街灯が照らし、とても優しい雰囲気に。ポルトガルの地方の町や村は、こんなふうに街中をぶらりと歩くのが、なによりの楽しみでした。

アシアナ航空

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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