エメラルドブルーに輝く海を独り占め! 天草で絶景サイクリング

リフレッシュ! 極上旅

ここ数年、何度か訪れている熊本県の天草エリア。グラデーションを描く美しい海やドラマチックな夕景、江戸時代にキリシタンが育んだ独特の文化、とびきりおいしい食は、好奇心を刺激し、旅心を満たしてくれます。今回は、エリアの北東部・上天草市から旅をスタート。晴天のなか、レンタサイクルで島を目指しました。

走りながら海の底が見える! 感動のサイクリングコース

熊本県の南西部にある天草地方は、三つの大きな島(大矢野島おおやのじま上島かみしま下島しもしま)と、大小120余りの島々からなっています。島といっても、大矢野島と上島は、宇土半島と天草五橋(あまくさごきょう)と呼ばれる五つの橋で結ばれているので、離島ではありません。上島と下島も橋でつながり、陸路を利用してスムーズに旅をすることができます。

今回の旅は2泊3日で計画。拠点となる熊本空港からは、電車、車、船、飛行機などさまざまなアクセス手段があります。空が美しい初秋、私は景色をのんびりと楽しみながら行くべく、バスで向かいました。熊本市内から大矢野島にある上天草市の中心部まで、約1時間半のバス旅です。

上天草市の魅力のひとつが、穏やかな海と点在する島々が織りなす多島美。その景観を存分に楽しめ、しかも気軽にトライできるアクティビティーといえば、サイクリングです。ペーパードライバーで運動音痴の私でも、絶景のなか、ハンドルを握ることができます。しかも、電動アシスト自転車ならラクチン! 天草ならではの景色を満喫すべく、「AMAKUSAレンタサイクル」を活用しました。

多島美や透明度の高い海が魅力の天草。その絶景の中をひた走る!

「AMAKUSAレンタサイクル」が勧めているコースは六つあり、それぞれ景観や道のりに特徴があります。迷った末に私が選んだのは、上天草市の「野釜島のかまじまコース」。島原半島や雲仙普賢岳を眺めながら、橋を渡って野釜島に渡る風光明媚なルートです。

レンタサイクルの取り扱い施設の一つ「天草四郎観光協会(上天草市大矢野町)」で自転車を借り、出発。走り始めて30秒(!)で、早くも目の前に絶景が現れました。さっそく自転車を降りて、写真撮影。驚かされるのは、海の透明度です。すぐそばに住宅街があるにもかかわらず、岸から見える海水は、容易に海底まで見通せるほどキレイ。こうして、ふと思いたって止まることができるのも、サイクリングの魅力です。

レンタサイクル料金は2時間まで500円、30分間延長ごとに100円が課金される。1日で1500円とリーズナブル。レンタサイクルの取り扱い施設は、天草に7か所(大矢野島に1か所、下島に5か所、御所浦島に1か所)。あらかじめ電話で各取扱施設に予約をしておくと安心。サイクリングガイドの手配も可能

再び自転車を走らせ、ほどなくして、竜宮城のような存在感のある建物を発見。地元で人気の魚屋さんでした。ウッドデッキの食堂が併設され、新鮮な魚介類をいただくこともできます。「ここでビールを飲みながらお刺し身をつまみたい!」という欲望にかられましたが、まだ旅は始まったばかりです。笑顔で迎えてくれた店主のお父さんに「次は必ず!」と誓って、再出発。

「マルケイ鮮魚店」(左)。店内の生けすでは、新鮮な地魚を販売。併設のテラスでは、定食や丼もの、お刺し身を提供

島を眼下に望む、高台の隠れ家カフェでランチ

最初の絶景ポイントとされるのが、「上天草市カントリーパーク花海好はなみずき 展望台」。ここは夕景スポットとして知られています。船の帆をイメージした巨大ならせん階段を上ると展望台があり、眼下に大パノラマが広がっていました。このダイナミックな景観、夕景ではなくても見応えがあります。

ときには自転車を下りてビーチへ。マイペースで旅ができるのもサイクリングの醍醐味

野釜島コースでは、「ここが絶景ポイント」とは言い切れないほど、美しいビジュアルが次から次へと現れます。たとえるなら、風景のポストカードのなかに飛び込んだ気分。エメラルドグリーンに光る海もあれば、島影もあり、そして漁船が停泊する船着き場もあって、飽きることがありません。

野釜島へは、野釜大橋を通って簡単に渡ることができます。この橋の上から眺めるのは、キラキラと輝く有明海。コバルトブルーからエメラルドグリーン、濃厚な青……とグラデーションを描く海に、天草の豊かさを実感します。よく晴れたこの日は、北側に雲仙普賢岳を望むこともできました。ここでも目がくぎ付けになるのは、やはり海水の透明度。美しい海というと、白砂のビーチをイメージしがちですが、小石のビーチの美しさにもはっとさせられます。

野釜大橋から北を望む。晴れた日には、長崎県の雲仙普賢岳も見える

橋を渡りほどなくして、唐船ヶ浜に到着。夏は海水浴客でにぎわうそうですが、季節外れの海は、とても穏やかで、旅情を誘います。訪れたときはちょうど干潮時で、目の前の唐船島まで陸続きになっていました。干満差が大きい天草には、干潮時に歩いて渡ることのできる島がいくつかあり、ここもそのひとつです。地元では、「天草四郎もここを渡ったらしい」と言い伝えられているのだとか。四郎の伝説が残る小島に、フランスのモンサンミシェルで見た風景を思い出しながら、しばし一休み。

野釜島の海岸でひとやすみ。目の前に見えるのは、干潮時に陸続きになる唐船島

野釜島を後にすると、そろそろおなかもすく時間。絶景とランチを味わうべく、丘の上にあるカフェ「cafe Free」をめざしました。上り坂は急傾斜で、さすがに自転車の電動アシストも利きません。坂下に自転車を止め、てくてく歩いて上ると、かわいらしいカフェが。そこからの眺めは、ハードな上り坂を瞬時に忘れさせてくれるものでした。

テラス席や窓際のカウンター席から望むのは、海と野釜島。手前にこんもりとした緑や、合間に季節の花が見えて、海の青色と見事なコントラストを描いています。オーナーの松山さんは、眺めのいいところを探し歩いて、ここに一目ぼれし、木々を伐採してカフェを建てたのだといいます。

cafe Freeでランチ。テラスや窓際の席から海と島を一望する

主なメニューは、クロックムッシュやタコライス、エッグベネディクトなどをメインにしたワンプレートディッシュ。木のぬくもりを感じる温かな空間で、手作りの料理をいただきました。

ランチにいただいたのは、クロックムッシュ。おいしく、体をよく動かした日も満足できるボリューム

朝から走り始めて、サイクリングを終えてもまだまだ時間はたっぷり。次回は、他のコースも試してみたいと思っています。

AMAKUSAレンタサイクル

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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