五感で楽しむ鳥取の旅、別世界に誘われる森の中へ

リフレッシュ! 極上旅

 鳥取、と聞くと真っ先に思い浮かぶのが、砂丘。その印象はあまりにも強く、「ほかにイメージが湧かない」という人も多いかもしれません。でも、旅をしてみると想像以上に発見がたくさん。人口が日本最少のコンパクトな鳥取県は、宝物にあふれていました。週末を使った鳥取旅、まずは美しい森の中へ!

アンチエイジング効果も期待できる森林セラピー

 東京から鳥取へのアクセスは、飛行機を利用するのが一番。鳥取県には、東部の「鳥取砂丘コナン空港」、西部の「米子鬼太郎空港」と、二つの入り口があります。それぞれ1日に5~6便が運航し、所要時間も約1時間と短いので、旅のプランも立てやすいと思います。

 私は鳥取砂丘コナン空港から西へと移動し、米子鬼太郎空港から帰京する2泊3日の計画を立てました。短い日数で、自然も食も温泉も文化も堪能する、盛りだくさんのプランです。

 まずは、智頭町ちづちょうの森へ。コナン空港から車で40分ほど走ると、日本の原風景のような景観に迎えられます。ここを訪れた目的は、「森林セラピー(R)」。これは、癒やし効果が科学的に検証された森林浴のことをいいます。全国各地にセラピーができる森はありますが、ここ智頭町の醍醐味だいごみは、清流と渓谷美のコントラストを眺められること。

雨や雪が多い智頭町での森林セラピーの特徴は、深い緑と清流が織りなす渓谷美

 三つのコースのうち、私が体験したのは所要約3時間半の「中国自然歩道コース」です。朝9時にスタートして、午後には鳥取市内に戻ることができるので、気軽にトライできます。

 歩き始める前に、指先にセンサーをはめて指尖しせん脈波を測り、「ストレス・リラックス度」と「ココロの柔軟性」をチェックします。私は、ストレス度が5.5、ココロの柔軟性が5.4と、理想とされる標準値よりやや高いという結果に。「ココロの柔軟性が高いのは、よい状態なのでは?」と思いきや、標準値よりも高い数値は、パワーが不足していることを表しているのだそう。前日の睡眠不足が響いていたのかもしれません。

歩き始める前と後に、測定器と専用ソフトを使ってストレスチェック

 コースは、山から材木を切り出すトロッコが通っていた道を利用しています。青々とした葉の香りは爽やかだし、落ち葉で埋め尽くされた足元はフカフカでラグジュアリーホテルの絨毯じゅうたんのようだし、気持ちがいい!

セラピー(ガイド1人、3時間半、8000円)は智頭町の水とおやつ付き。おやつは、地元産のお米を使ったあられ

 ほどなくして、ガイドの方が「ここで森を眺めて、色を数えてみましょう」と言いました。「森だから緑しかないでしょ」と思ったものの、目を凝らすと、葉の緑、小枝の茶色、山桜のピンク、空の青……と、たくさんの色が見えてきます。森がこんなに豊かな色彩だったなんて。

滝から上るマイナスイオンを浴びてリフレッシュ。そして滝にストレスを流す“ストレス流し”で晴れ晴れとした気分に

 途中、木に抱きついて木の波長を感じたり、落ち葉の香りをかいだりと、さまざまな遊び心が仕込まれています。なんだか童心に帰ってはしゃいでいるかのようですが、森林セラピーは、ストレスホルモンの減少や心理的緊張の緩和、免疫力アップ、アンチエイジングなどの効果が見込めるアクティビティー。智頭町のプログラムはクオリティーも高く、都会のビジネスマンにもリピーターが多いのだそうです。

森とたわむれ、癒やされる時間

 智頭町の森林セラピーは、ただ森を歩くだけではありません。ゆっくりと歩きながら、森を五感で楽しむプログラムです。極めつきは、土の上にシートを敷いて寝転ぶ30分間。好きな場所を選んで、あおむけになって過ごします。

小川の近くで寝転ぶこと30分。ふだんの昼寝とはまるで質が異なり、たっぷりと熟睡したかのような満足感

 一瞬、「初夏の紫外線が気になる!」と野暮な考えが頭をよぎってしまいましたが、森の中では太陽光線の約80%が吸収されるため、優しい木漏れ日を感じることができます。小川のせせらぎ、いろいろな野鳥の鳴き声、風と葉擦れの音、木漏れ日の暖かさ……、それらがただただ心地よくて、この間、間違いなく私は別世界にいました。

小川のせせらぎがさらに耳に心地よく……

 ガイドが鳴らす鐘の音で目覚めたら、川沿いでランチタイムです。予約しておいたセラピー弁当をいただきました。お米は100%、食材品目の80%が智頭町産にこだわったお弁当です。かなりのボリュームで食べ応えもあるのですが、カロリーは600~800キロカロリー、食塩は3.5g以下に抑えられています。もちろん、完食しました。

セラピー弁当(1000円・要予約)は旬のものがたっぷり。この日は、山菜の煮物、野菜のかき揚げ、さつまいもの天ぷら、サバのかす漬けなど

 おなかを満たした後は、杉林の道を再びゆっくりと歩いて、森歩きを終了。スタート時と同じ測定器で「ストレス・リラックス度」と「ココロの柔軟性」を測ると、明らかな違いが! ストレス度は5.5から1.8に、ココロの柔軟性は5.4から5.1に、総合的に理想的な数値になっていました。

 今回は森林セラピーだけの体験となりましたが、智頭町には、ほかにも気になるスポットがいろいろあります。次回は、自家製酵母パンが人気のベーカリーや古民家を改装したカフェなども、ゆっくりと時間をかけて訪ねたいと思っています。

森林セラピーちづ

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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