インドネシア・スンバ島にひっそりとあるリゾート「ニヒ・スンバ」への旅。なにしろ数百年前の文化が今も息づく島だけに、リゾートの周辺はもちろん、島内にはレストランも免税店もありません。代わりに用意されているのは、敷地内のダイニングで食べるおいしい食事や、ニヒ・スンバでしかできない特別なアクティビティー。ここで過ごしていると、「退屈」という言葉をすっかり忘れてしまいます。
独り占め気分のプライベートビーチ
滞在中、多くの時間を過ごしていたのが、目の前に広がる美しいプライベートビーチ。ゴミひとつ落ちていない、まるで絵ハガキのような真っ白な砂浜です。広大な敷地に立つヴィラはわずか27棟と贅沢な造りのニヒ・スンバだけに、ゲストで混み合うことなく、いつ訪れても、まるで自分専用のビーチにいるような感覚で過ごせました。

ニヒ・スンバには、この美しい海をステージにしたさまざまなマリンアクティビティーが用意されています。シュノーケルやスタンドアップパドルボードなどスタンダードなものから、スピアフィッシング(素潜りで銛や水中銃を用いて魚をとる水中スポーツ)、島民と一緒に海藻やカニを探すツアー、プライベートのボートクルーズなどスペシャルなものまで、個性的なメニューがそろいます。

私はサーフィンをしませんが、スンバ島はサーファーにとってもパラダイス。世界中から多くの人が最高の波を求めてやって来ます。とはいえ、自然保護のため、ニヒ・スンバでは海に入る人数を1日10人までに制限。海が混雑することはなく、いつも美しい環境が保たれています。
もちろん、アクティビティーの舞台は海だけではありません。山頂からの風景を楽しむダイナミックなヨガや、洞窟探検、敷地内の工房でのチョコレート作り、伝統的なイカット織りなど、アウトドアから文化体験まで多岐にわたり、選択に迷ってしまうほどです。

迷ったあげく、私が選んだのが、ニヒ・スンバが立ち上げたスンバ財団がサポートする小学校や病院を訪問するツアーでした。このリゾートのスピリッツに触れるツアーですが、実は、参加することに対しては、少し不安もありました。「見知らぬ外国人が訪ねて、上から目線だと思われないかな」と……。そんな私を迎えてくれたのは、元気いっぱいの子どもたち。村の小学校を訪れたとたん、子どもたちが笑顔で駆け寄り、次々と話しかけてきてくれたのです。屈託がないのはもちろん、外国人に興味津々であるのを隠さないのも、素直でかわいい!

このときに思い出したのは、スンバ島に到着した初日のこと。「ニヒ・スンバ」に向かう私たちの車に人々が笑顔で手を振ってくれたのは、このリゾートが島と共生しているからこそだと実感しました。
秘境なのにシステムは機能的、インクルーシブの料理にも大満足
一日中リゾートで過ごすのなら、気になるのは食事です。ニヒ・スンバでは、3食の費用が宿泊費に含まれ、敷地内のダイニングで食べることになります。出発前は、「さすがに食は飽きてしまうだろうなあ」と思っていたのですが、むしろ真逆。ヘルシーな朝食や、穏やかな波を眺めながら食べるランチ、星空の下で味わうディナーは、楽しみでなりませんでした。

ダイニングは3か所。中でも、よりカジュアルな雰囲気でリラックスしていただくバーベキューランチは、つい長い時間を過ごしてしまうほどの居心地のよさでした。3食とも、食事はレストランがオープンしている間に行けばよく、予約は不要。ディナーの時間を気にして貴重な旅の時間を拘束されてしまう……ということも、ここではありません。

部屋で過ごすことも多い隠れ家リゾートでは、客室のハウスキーピングのタイミングも気になります。その点、ニヒ・スンバはいつでも専属バトラーとコンタクトがとれるので、常に快適な状態が保たれていました。たとえば、朝食に出かけた後に、バトラーへメッセンジャーアプリの「WhatsApp」を使って不在であることを伝えると、その間に掃除をしてもらえるのです。部屋に帰れば、すでにベッドメイキングが済んでいて、午前中からきれいな部屋でくつろぐことができました。

同じく、ターンダウン(夕方、ベッドスプレッドをはずして寝やすいようにベッドを整えるサービス)もサンセット観賞やディナーを楽しんでいる間に行われます。国外では、うっかり「don’t disturb(起こさないでください)」の札をドアに掲げたままくつろいでしまい、ハウスキーピングのタイミングを逃してしまうことが多い私にとって、これはうれしいシステム。機能的であることは、快適な滞在のポイントです。
ちなみに、ニヒ・スンバの収益は、スンバ財団を通して地元に還元され、安全な生活用水を供給する井戸の建設や貯水タンクの設置、小学校の給食、マラリア予防対策などに活用されています。私たちが使ったお金が島で役立つなんて、とてもうれしいこと。島の人が幸せであればあるほど、私たちゲストはこのリゾートに滞在する意味があるのだと思います。なにより、ラグジュアリーな空間以上に、島の人たちとのコミュニケーションが心を満たしてくれました。
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