素朴な暮らしとリゾートが共生するインドネシアの島へ

リフレッシュ! 極上旅

 日本人ツーリストにとって、今も昔も大人気のインドネシアの島々。なかでも、日本から直行便が飛ぶバリ島は、アクセスもしやすく、とてもポピュラーな旅先としてにぎわっています。が、今回の旅先は、そこから南東約400キロ・メートルに位置するスンバ島。バリ島からわずか1時間足らずで、その風景はがらりと変わります。

バリ島から約50分で行ける秘境の島

 インドネシアは、首都ジャカルタがあるジャワ島、バリ島、スマトラ島、カリマンタン島など、大小さまざまの島からなる世界最大の群島国家。そのひとつ、スンバ島は、リゾート地として有名なバリ島から飛行機で約50分のところにあります。

かつて、サンダルウッドの伐採が行われたスンバ島。昔に比べると木々は減ったものの、島にはまだまだ緑がたくさん

 この島は、オランダ統治下に入る20世紀初頭まで、島外との接触がほぼない秘境でした。近年はサーフスポットとしても知られていますが、「マラプ」と呼ばれる独自の精霊信仰が息づき、とんがり屋根の伝統的な家が立つ風景は、昔とほぼ変わっていません。

 秘境、精霊……ともすれば、どこか謎めいた印象を抱くかもしれませんが、島の風景は穏やかで、人々はとてもフレンドリー。そして、この島には「世界一のホテル」に選ばれたリゾートがあるのです。

貯水池で水浴びや洗濯をする女性たち。これも島の日常風景

 スンバ島南西部の「ニヒ・スンバ」は、アメリカで絶大な影響力を持つ旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」で、2016年から2年連続で「世界一のホテル」に選ばれたリゾート。東京ドーム約50個分の広大な敷地に、27の独立したヴィラ(客室)とレストラン、ボートハウス、厩舎きゅうしゃ、ヨガパビリオンなどが点在し、目の前には約2.5キロ・メートルものプライベートビーチが続いています。

スンバ島の人々は、子どもも大人も、みんな人懐こくてフレンドリー

 そんなニヒ・スンバへと私が旅した理由はずばり、特別な体験ができるから。単に、「秘境で面白そう」とか「ラグジュアリーリゾートに泊まりたい」からではありません。リゾートの収益(つまり、私たちが使ったお金)が地元に還元され、村々に井戸や病院が作られていること、島の生活に触れられるアクティビティーが用意されていることに、好奇心が刺激されてしまったのです。

 スンバ島に行くには、日本からバリ島までの直行便を利用すると、体に負担がないと思います。私はスケジュールの都合上、最短コースが選べず、ガルーダ・インドネシア航空を利用し、羽田→ジャカルタ(ジャワ島)→デンパサール(バリ島)→スンバ島というフライトを選択。ちょっと時間はかかったけれど、それはそれで、秘境に向かうワクワク感を楽しめました。

セミオープンカーで、いざ、隠れ家リゾートへ!

 デンパサール空港(バリ島)での乗り継ぎは、ニヒ・スンバのスタッフが手取り足取りのサポートをしてくれます。空港でのチェックイン、そして機内に搭乗するまでのエスコート付き。トランジットには、何の不安もいりません。

トランジットのデンパサール航空では、チェックイン業務から搭乗にいたるまで、「ニヒ・スンバ」のスタッフがエスコート

 スンバ島のタンボラカ空港からニヒ・スンバまでは、送迎車で約2時間。この移動中も、スペシャルな時間です。ココナツジュースとホームメイドのケーキが用意されたセミオープンの車で、南国の風を気持ちよく浴びながら、リゾートへ。

スンバ島の空港から「ニヒ・スンバ」まではセミオープンエアの送迎車で移動。希望すればエアコンが利いた普通車にも乗れるけれど、断然こちらのほうが気持ちいい!(左)。車内には、ウェルカムドリンクの天然ココナツジュースと手作りのお菓子が

 途中、何度も島の人と目が合い、手を振り合い、子どもたちに「ダダー!(島の言葉で「ヤッホー!」)」と笑顔を向けられます。島の人は500年も前の慣習を守っていると聞いて、ちょっと怖いイメージもあったのですが、まるで逆。緊張がどんどん緩んでいきました。

 島には大型スーパーや大きな建物はありません。代わりにあるのは、「精霊が宿る」といわれる伝統的なとんがり屋根の家々と、その間にあるモニュメントのように堂々とした先祖代々のお墓。いくつもの谷を越え、素朴過ぎる村を通り抜け、ようやくニヒ・スンバに到着します。

島独特の建築様式を取り入れたヴィラが点在する「ニヒ・スンバ」。ヴィラ数はわずか27。1つのヴィラに複数のベッドルーム棟を擁するタイプもあり、デザインはそれぞれに異なる

 車を降りると、すぐにスタッフが迎えてくれました。チェックイン業務は予約をしたときにメールで済ませているので、ここで待たされることはありません。さっそく、宿泊するヴィラへと案内してもらいます。当初、「繁忙期なのに、何でこんなに人がいないんだろう?」と感じたのは、広大な敷地面積に対してヴィラ数が27と少ないから。こんな贅沢ぜいたくな環境なら、「せっかく遠くのリゾートに来たのに、人だらけだった」ということはありません。

ヴィラのプライベートプールは、ゆったりとくつろげるラウンジ付き。ここで海を眺めながらビールを飲むのは至福の時間

 滞在中、いろいろとサポートをしてくれるのが、各ゲストルームの専属バトラーです。アクティビティーの予約から、「部屋にワインとおつまみを」「ヴィラの庭で海を眺めながらディナーを」といった細かいリクエストにまで応えてくれます。24時間、彼らとはメッセンジャーアプリの「WhatsApp」を使って容易にコンタクトが取れるのですが、これが想像以上にラクチン。言葉は短くていいし、リゾート内のどこにいても連絡が取れるので、電話よりもはるかに気が楽なのです。

 まずは庭にあるプライベートのプールラウンジでビンタンビールを1杯。これから至極の3日間が始まります。

ニヒ・スンバ

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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