なだらかに続くジャガイモ畑とカラフルな家々、穏やかな青い海と切り立った赤土の崖――。カナダの東海岸、セントローレンス湾に浮かぶプリンス・エドワード島は、どこを切り取ってもフォトジェニックな島です。ドライブ中は、インスタ映えするスポットが次々と目の前に現れます。そんな「世界で一番美しい」ともいわれる島へ。旅するほどに、心身がどんどん元気になるのを実感するはずです!
青い海と赤土の畑が描くコントラストの美しさ
この島の名前を聞いて、ルーシー・モード・モンゴメリの長編小説「赤毛のアン』を思い浮かべる人も多いことでしょう。もちろん、島の魅力はそれだけに終わりません。小説の舞台となった村は観光客でにぎわっていますが、愛媛県とほぼ同じ面積のプリンス・エドワード島には、ほかにも多くの見どころやグルメスポットがあります。

たとえば、入り江にカラフルな漁師の家が並ぶフレンチ・リバーは、絵ハガキのような風景が広がる、島きっての絶景ポイント。入り江に漁師たちの色とりどりの家が並ぶ、素朴で温かな景観に心が奪われます。

赤い岩と青い海のコントラストが美しいキャベンディッシュ・ビーチや、風車が回るノース・ポイント、そして、海岸線を彩るレトロな灯台や、田園の中にぽつんと立つ住宅……。景勝地にかぎらず、ちょっとした風景も絵になるから、何度も車を止めたくなってしまいます。
プリンス・エドワード島は、エア・カナダのモントリオール直行便を利用するのが便利。日本からモントリオールまでは約12時間、国内線に乗り換え、わずか約1時間半。たどり着けば、世界で一番美しい島の風景に迎えられます。
一般的に、プリンス・エドワード島を旅するのに必要な日数は少なくとも6日間。日本(成田空港)を夕方に出発し、島に到着するのが同日の23時ごろになります。3日間楽しんで、5日目の朝に島を出発、日本には翌日の午後に到着するスケジュールなら、主要な場所はおさえることができるでしょう。
現地の移動はレンタカーが断然、便利ですが、中心部のシャーロットタウンを基点にし、他のスポットへはタクシーをチャーターして巡るのもいいし、現地の旅行会社でツアーに申し込む方法もあります。
ヒストリカルな街と村を、赤毛のアンになった気分でめぐる
プリンス・エドワード島は、一島でプリンス・エドワード・アイランド州を形成しています。旅の拠点となるのは、州都のシャーロットタウン。島の経済と文化の中心であり、1864年にカナダが自治領として独立する際の建国会議が開かれたこの街は、カナダ連邦発祥の地としても知られています。そんな街には歴史的建物が点在して、まるで街全体が映画のセットのようです。
州都とはいえ、街はコンパクトで徒歩だけで十分に回れる規模。ランドマークでもあるセントダンスタンズ大聖堂から歩き始めましょう。レンガ造りの建物が並ぶビクトリア・ロウは、のんびり散策にはぴったりの通りです。カフェやレストラン、ギフトショップが並んでいて、飽きることがありません。
中心地から港にかけての一帯は、濃厚に歴史を感じさせるエリア。カラフルな壁の住宅や、重厚な石造りの建物がずらりと並んでいます。夏期には当時の衣装を着たガイドが案内するヒストリカルツアーも開催され、公式ウェブサイトから申し込むことができます。

シャーロットタウンから車で30分のところにある村・キャベンディッシュは、「赤毛のアン」の舞台としてあまりにも有名です。小説に登場する「緑の切妻屋根の家」のモデルとなった建物「グリーン・ゲイブルズ・ハウス」を訪れれば、たちまち名作の世界へと誘いこまれてしまいます。

私は特別に「赤毛のアン」のファンというわけではありませんが、20世紀初頭のカナダの島の暮らしには、がぜん興味がひかれました。なんといっても、家具やインテリアがかわいらしくて、細部までじっくり眺めたくなります。
ハウスのすぐ近くには、実際に物語に登場する「お化けの森」と「恋人の小径」もあります。「赤毛のアン」が初めて出版されたのは1908年。当時を振り返りながら、アンが愛した風景の中を歩いてみました。コンピューターや通信など便利なものがない時代、少女が片田舎で過ごした日々は、モノにあふれた現代よりも幸せな時間だったのかもしれません。
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